第9話
「レベル15ですか…。安全にボスと戦うにはレベル20は欲しいところですね。3人のみで戦って貰う訳ですし」
出来るだけ敵を倒してボス部屋がある20階層まで降りて来たんだけど、ボスを相手するなら少しレベルが足りないらしい。
一度にボスと戦える最大人数は6人。6人で戦うなら今のレベルぐらいでもじゅうぶんらしいけど、今回は半分の3人。
みんな神から優遇されてるから、ステータスやスキル、魔法が優秀なのでそれでも勝てるだろうと結論は出てるけどレックスさんはもうちょっと慎重に行きたいらしい。
負けそうだったら俺らが介入すれば良いんじゃない?とも思うけど、そう簡単に介入してちゃレベルだけ上がって実力がつかないか。
「だったら入ったらモンスターが大量に出てくる罠部屋みたいなものは無いんですか?そこにわざと入れば経験値稼ぎになるじゃ無い?」
ゲームでよくあるモンスターハウス。
その階層より強い敵が出てくることも有るし、レベル上げの時間短縮にもなるだろう。
「確かに上の階に戻って敵を倒すよりはいいかもしれませんね。ちょうどこの階にもモンスターが大量に出てくる罠部屋も存在するようですし」
「まさか、それも私たち3人だけで戦うんですか?」
まさかそんなこと言いませんよね?と言った感じで魔法使いの子がレックスさんに質問する。
「出来るだけ3人で倒して貰う予定です。本当に危なかったら助けに入る予定です。コウ様もそれで宜しいですか?」
割とスパルタだなレックスさん。HP削って足を潰すぐらいは手伝って上げようかな?って俺は思ってたんだけど…。
でも、レックスさんがそう言うなら3人でもモンスタートラップを突破出来ると考えてるからそう提案してるはずだ。
今のレベルでボスに挑むのを反対してるのはレックスさんだし。スパルタだけど、無理な事をさせる人じゃ無い。
「レックスさんがそう言うなら手は出しません」
魔法使いの子が絶望的な顔をしている。
「マコさん、そんなに不安にならなくても大丈夫です。ここのトラップは発動した後、部屋に閉じ込められる訳じゃないので、わなの起動後、直ぐに通路に撤退すれば一体ずつ戦えます。なので大した苦戦はしないはずです」
やっぱりレックスさんにはしっかり考えがあって3人のみで戦って貰うって言ったみたいだ。魔法使いの子、マコって言ううらしいけど。その子もそれならって感じになってるし大丈夫そうだろう。
「なら、罠を発動させて魔物を釣る役目は俺がやりますよ」
自由に転移も使えるし俺が適任だろう。
特に反対意見が無かったので、囮役は俺がやる事になった。
決まったあと、ハルくんは露骨に安堵していた。
まぁ、俺がやらなかったらハルくんがやる事になってただろうし仕方ないか。
50mほど続く一本道、その先にある部屋の中に例のモンスタートラップがあるらしい。
確かにこれなら、部屋に閉じ込められないなら、通路に誘き出してチマチマ倒せる地形だ。
他の人達には一本道のところで待ってて貰って部屋の中に入る。
部屋の真ん中辺りに移動した瞬間部屋全体に大きな魔法陣が現れた。
魔法陣からはオークがニョキニョキ生えてきている。
「俺が相手をするわけじゃないし、さっさと転移で戻りますか」
まだニョキニョキ生えてきている個体がほとんどだけど、既に何体か動けそうな個体もいたので、転移でみんながいた所まで帰ってきた。
「どう?ちゃんとこっちに来てる?」
「聞かなくてもわかるでしょう!大盛況ですよ!」
部屋からゾロゾロとオークがこちらに向かってきてる。
人間が3人横1列で通れるぐらいの幅しかない通路なのでオークは1匹づつしか通れないみたいだ。
後はオークがいなくなるまで 、3人が魔法を撃ち続けるだけで終わるだろう。
「これでラスト【サンダーボルト】」
ハルくんの魔法で最後のオークが倒れた合計で100体ぐらい出てきただろうか。
一体づつとは言え100体も相手にするのは流石に疲れたらしい。
「レベルはどこまで上がりましたか?」
オークを倒し終わって休憩をしている3人に
レックスさんがそう質問した。
3人はステータスを確認する。
「全員レベル17です」
全員同じレベルなんだ。魔物の倒した数はバラバラだし、レベルに差が出ると思ってたんだけど。
3人が魔物を倒して手に入れた経験値は等分されてるのかな。
「モンスタートラップは連続では作動しませんし、少し不安ですがボスに挑戦しに行きましょう」
レックスさん。連続でモンスタートラップが作動するならレベル20になるまで連戦させるつもりだったな。
3人は露骨に助かったという表情をしていた。
今はボスの部屋の前で順番が来るのを待機している。
並んでるパーティーもいるし少し時間がかかるかな?と気長に待っていると、戦闘が終了したみたいだ。
ボスの部屋に入るためのドアが開いた。
だが、中を確認した先頭に並んでいるパーティーが中に入ろうとしない。
「オークエンペラーがでた!」
先頭の冒険者がそういった途端、周りが騒がしくなる。
普通はオークナイトがお供に普通のオークを数匹連れてくる感じらしいんだけど、極低確率で出てくるオークのランクが上がることが有るらしい。
ちなみにオークエンペラーはオークの最上位種だそうだ。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます