第10話
「オークの最上位種か。結局どれぐらい強いの?配下のオークを強化するタイプで自身の戦闘力は大して高くないとかだったら、ボス部屋で戦うなら配下の数もだいぶ制限されるしあっさり倒せたりするだろうし」
「戦闘力も高いですし、配下の強化もしてきます。それに配下の数は制限されてますが。こちらも6人までしか同時に入れないので、絶望的な状況ですね」
確かに敵の数は少なくてもこっちも最大人数は設定されてるから、あんまり意味無いのか。
「出現してしまったオークエンペラーを誰かが倒さないと先に進めませんのでコウ様が倒して来て貰えませんか?順番とかそんな事言う冒険者もいない筈なので」
確かに全員ドアから離れてご自由のどうぞと言う状態だ。
「それは問題ないけど、みんなも一緒に入って、ダメージにならなくても良いから攻撃すれば大量の経験値貰えるんじゃない?」
ここで一気にレベルアップすればこの先進むのに少し楽ができる。
「恐らくですが。コウ様以外ではオークエンペラーの攻撃が掠っただけでも即死でしょう。同じ事を考えはしましたがリスクが高すぎます」
それもそうか。…待てよ?ハルくんは勇者補正で魔王を倒すまでは死んでも生き返るんだよな?
「何でこっちみてるんですか!絶対嫌ですよ!」
ハルくんに全力で拒否られたので、仕方なく1人でボス部屋に入った。
「オークエンペラーに取り巻きが三体、鎧着てるしオークナイトかな」
中に入って少し進むとドアが自動で閉じてオーク達が動き出す。
オークナイト三体がこちらに向かって来て、オークエンペラーは後ろに下がり距離をとる動きをしている。
鎧を着ているのに想像以上の速度で迫ってくる。
「ここまでただ後ろをついて行くだけだった分、少し遊ばせてもらおうか」
氷で篭手を作り出してオークナイトの内一体を殴り飛ばした。
オークエンペラーと一直線になっているタイミングで殴り飛ばしたので、そのまま吹っ飛んでいけばオークエンペラーにもダメージを与えられるだろう。
とは言っても飛んでくるのは見えてるだろうしこのままじゃ普通に避けられちゃうだろう。
なのでオークエンペラーが避けようとした方向に氷の壁を作り出して妨害した。
動こうとしたタイミングにピッタリ合わせたので綺麗に氷の壁にぶつかって動きが止まる。
動きが止まったのは1、2秒だけど結構な速度でオークナイトは吹っ飛んで行ってるので、オークエンペラーに見事着弾。
2体ともボス部屋の壁に激突した。
ちなみに残りのオークナイト2体は一体を殴り飛ばした時に首を狙って氷の刃で攻撃したので既に2体とも討伐済み。
首を切断しても切断面が瞬時に凍りつくので血が飛び散ることは無い。
オークエンペラーはどうなってるかな?突っ込んで行った壁を眺めていると、オークナイトがこっちに向かって吹っ飛んできた。
部下を砲弾替わりにしたらしい。
俺と同じ事をして仕返ししてやろうとでも考えたのだろうか?
わざわざ相手の思いどうりに動く意味も無いので、転移を使ってオークエンペラーの目の前に移動して精霊刀を取り出し居合切りで首を切り落とした。
後ろではオークエンペラーに砲弾にされたオークナイトが壁に激突していた。ちゃんと死んでるか確認しないと行けないので近づこうとすると閉ざされていたドアが開き、ボス部屋の真ん中に魔法陣が現れた。
敵は全滅したとダンジョンが判断したという訳だろう。
収納魔法に全部しまって、外に移動した。
俺が1人でオークエンペラーを倒した事に驚いてるのか、誰も中に入ろうとしない。
「ボス部屋は開きましたよ?」
「1度オークエンペラーが出現しているのを見てしまってますからね。低確率とはいえまたオークエンペラーが出てきたら…エンペラーじゃなくてもキングが出てきたら…と不安なんですよ。ボス部屋は1度入るとボス側挑戦者側どちらかが全滅するまで開きません。中に入って自分が倒せないボスが出てきたら死ぬしか有りませんから」
そういう事か、低確率だから大丈夫だと思っても、実際にオークエンペラーが出てきたのを目撃しちゃった訳で、自分が挑戦した時に出て来たらと想像してしまったのだろう。
入らないなら先に入って良い?って交渉しての良いけど急かすようなことしたくないしオークエンペラー達の解体でもしながらゆっくり待つことにした。
「4体のうち三体は首を切断して一撃。残りの一体も鎧に殴打されたあとがくっきり残ってますね、オークジェネラルの鎧は相当頑丈で殴打武器を使っても凹ませることは困難と言われているのですが…」
ボス部屋で倒した4体の血抜きをしているとレックスさんがまじまじと眺めながらそう呟いた。
あのオーク、ナイトじゃなくてジェネラルだったのか。
「そう言えば、ほんとにHPってダメージを肩代わりしてくれてるんですか?俺が攻撃すると全くそんな感じしないんですけど」
俺はこの世界のシステムが適応されてないからHPが肩代わりしてくれるって言うのが上手く動作してないとか?
「単純にコウ様の攻撃が強すぎてHPが一瞬でゼロになってるだけかと」
不具合じゃなくて凄い単純な話だった。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます