第4話
「あれだけ見せられれば、2度目ってのも納得せざるを得ないよ。疑ってごめんなさい」
「気になって当然だし気にしなくていいよ。だしたお菓子とかは好きに持ってって構わないよ」
凄い食べたそうに見てる子もいるし、食べ物の恨みは恐ろしいからな。特に甘い物。
「コウ様は異次元空間に食材を大量にストックしてるんですか?」
「食べれる物以外もストックはしてるけど、それなりの量ストックしてるよ」
なんでそんなことを?って一瞬思ったけど、大精霊が封印されたせいで雨も降らず土地は痩せてるんだから、農作物は大凶作。
食糧不足になってると考えるのが普通。
そこに大量の食べ物を持ち歩いてる人がいれば、分けて欲しいと思うのは当然だろう。
「いっぱい有るし、食料の提供ぐらいなら勿論させてもらうよ」
「ありがとうございます。お金はしっかり払いますので」
でも、俺の持ってる食べ物を全部放出しても全ての人には絶対行き渡らないし、長くは持たない。大精霊を解放しても成長の促進ぐらいはできても、一瞬で作物が育ちわけじゃ無いから…もしかしてだいぶ詰んでる?
肉は魔物がいるから何とかなるだろう。
「野菜もダンジョンで取れれば良いのに…」
「野菜の姿をした魔物がでるダンジョンは有りますよ?ただ、野菜の姿をした魔物は地味に強いんです」
野菜の魔物がいるのか。こっちの異世界。
俺も味が気になる。その地味に強い野菜の魔物を倒せる人が増えれば、大精霊達を救い出して、次の収穫まで耐えられるかな?
でも、強いってことはいいお値段値段する訳で…。貴族しか買えないとかだったら意味が無い。
「俺がドラゴン素材を渡して装備を強化したら野菜の魔物って倒せる人増える?」
「ドラゴンの装備が有れば余裕で倒せるはずです」
「なら、ドラゴン装備の代金を現金じゃなくて野菜の魔物で払ってもらうことにしよう。後払いになる訳だから、信用出来ない人には流せないけど」
そうして現金替わりに手に入れた野菜の魔物を安い値段で流せば何とかなるかな?
細かいところはガバガバな考えだけど、そこはこういうのを考えるのが得意な人に考えてもらおう。
「そんなことが出来るなら確かに餓死者は減るでしょうけど。コウ様は大損ですよね」
「確かに大損だけどこうでもしないと滅んじゃうでしょ?魔族とか関係なしに。いや、魔族が大精霊を封印したからこうなってるんだから、魔族もバリバリ関係してるか」
メイドさんが再度警戒し始める。
無償の善意って裏がありそうで怖いもんな。
受ける側からしたら、タダより高いものはないってよく言うし。
「代価として俺が何を要求するのか怖いって事でしょ?俺は魔族を倒した後、少ない食料を巡って人間どうしの争いがおきるのが嫌なだけ。だから、信用して欲しい。なんなら契約書みたいの書いてもいいよ。これに関しては何も要求しないって。調子に乗ってあれもこれもって言ってくるやつには相応の報酬を要求するけど」
「分かりました。コウ様の事を信用してこの話を父に話してきます」
「お任せします。その前に大精霊の封印されているダンジョンがどこにあるか、地図とか貰えませんか?」
「直ぐに用意させます。それでは失礼します」
そう言ってメイドさんはダッシュで部屋を出ていった。
「何か、俺たち召喚された意味ある?って感じだな。勇者なのに」
「それ、一回目に転移した時にも勇者に同じこと言われたよ。でも、ハジメくんがそうだったように呼ばれたからには勇者にしか出来ないことが絶対にあるはず。邪神にトドメを刺したのは勇者である。ハジメくんだったしね」
頑張ればハジメくんがいなくても倒せたけど、ハジメくんがいたから楽に倒せたし。
勇者が魔王に特攻を持ってるなんてド定番だし。
この世界の神がそうなるように勇者のスキルを調整してるはずだ。
「1度世界を救ってる人から言われると説得力があるな。よし目指せハーレム。勇者として魔王を倒すぞ!」
「理由が俗物すぎる!」
3人組の内、杖を持って魔法使いっぽい装備をしてる女の子に勇者の男子が、杖で頭を叩かれた。
「いいと思うよ俗物で、無償の救済なんて何も救わない。勇者の彼の精神だって持たなくなるだろうし。皆、勇者なんだから助けてくれて当然だろうって言い始めるよ?いや、確実に言い始める輩はでてくる。それだけは覚悟しておいた方がいい。人間ってのはそういう生き物だから」
俺はそう言うこと言われたことほとんど無いけど、ハジメくんはかなり被害に合ってるらしいし。
「今すぐにでも勇者を辞めたくなったんですけど、どうにかなりませんか?」
「無理。だから、そう言う時に助けてくれる本気で信用できる仲間を沢山作っておいた方が良いよ」
ダンジョンの場所が書かれた地図を持ってきた人が凄い落ち込んでいる勇者君を見て、何したのか聞かれたけど、適当に流しておいた。
ダンジョンに1人で行こうと思ってたけど、
強くなるために3人も一緒に行きたいという事だったので、連れて行く事にした。
魔法使いの子が罠を探知、解除できる魔法が使えるらしいので丁度良かったし。
読んでいただきありがとうございます。
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