第3話

「という訳で襲ってきた魔物は全部倒してきました。死骸はそのまま放置してるので好きに使ってください。氷漬けにしてるから腐ったりもしないと思うので」


転移で国王の執務室に戻ってきて何事も無かったかのように報告を始めた。

転移で帰ってきたことには驚いていたけど、何も聞かずに報告を聞いてくれた。


「そ、そうか死骸に方は素材として有効活用させてもらおう。それと質問なんだが、角の生えた人間は中にいなかったか?」


「いました。ドラゴンにかかと落としして地上にたたき落としたのを見て、やばいと思ったのか転移で逃げられちゃいましたけど」


「やはり関わっていたか…。そやつらは半年前突然現れて自らを魔族と呼び、魔物を従えて人間を蹂躙し始めた奴らだ」


「では、魔族と戦うのが召喚された人の使命という事ですね」


「そう言う事になる。厳密には魔族の王である魔王の討伐を手伝って欲しい。神託の巫女の言うには魔族は魔王を倒そうば自然消滅するらしい」


嘘を言ってるようには感じないな。魔族が攻めてきてたのは事実だし。

まだ、優しい魔王説が俺の中で消えた訳じゃ無いから、自分でも色々情報収集はするけど。


「それで、俺は何をすれば良いのでしょうか?今から魔王のところに殴り込みに行けば良いんですか?」


「いや、まずは魔王と戦いダンジョンに封印されてしまった。大精霊様を救出して頂きたい。あの方々が封印されたままでは魔王が人を滅ぼす前に大地が死んでしまう。既に雨は降らなくなって、大地に活力も無くなり、火山が無尽蔵に噴火、風はそよ風程度しかふかなくなってしまっている。そのせいで人間どころか生物全ての絶滅の危機にさらされている。元気なのは魔力のみで生きられる魔族と魔物ぐらいだ」


俺の中の優しい魔王説も流石に無さそうだなって思えてきたぞ。

本当にそこまでやらかしてるんなら完全に敵って感じがする。

魔族の情報を色んなところで集めながら、大精霊を助けるのが当分の予定って事で良いだろう。

もし、魔族に交渉の余地が有りそうだったら、それはその時に考えよう。


それにしても火山だけは活発化するんだな。

火山は火の精霊が噴火を上手い具合に調整してたって事かな。今は調整する精霊がいないから常時、蛇口全開状態になってると。


「それにしてもやけに精霊に元気がないと思ってたら、精霊のトップが封印されてるからって事でしたか。…水の精霊達ならなんとかなるか?」


昔、水の精霊達から魔力を貰ったことが有るけど、今回は逆に魔力を与えてみる。


抑えてる魔力を解放して全力で放出してるから国王とまだ部屋にいたメイドさんカルアって言われてたっけ?にはキツいと思うけど、我慢してもらおう。


スポンジに水を吸い込ませてるみたいにすごい勢いでどんどん魔力が吸われていく。

徐々に水の精霊が元気になっているのでこれであってるみたいだ。

少しするとぽたぽた雨が降り出した。

魔力3分の1ぐらい持っていかれたな。

まぁ元気になってくれれば自分で魔力を生成出来るだろうし、当分大丈夫だろう。


「一体何者なんだい君は?」


「自己紹介がまだでしたね。私はコウ・アポストロス。人間と精霊のハーフです。元いた世界では水の精霊王と呼ばれていました。

どうぞ宜しく」


ーーー


自己紹介をした後、1度情報を整理する時間が欲しいと言われたので、俺が寝ていた部屋に帰った。


「さっきは申し訳ございませんでした」


部屋に帰ってくるなりメイドさんに謝られた。あれかな?俺の事悪く言ったから嫌われて殺されたくないからとりあえず謝っとけ的なやつ?


「どうしたんですか?突然」


「お客様が妻だっているって言った時に大切な人が居るのは居るのは私だけじゃないって当たり前の事に気づきました。なのにあんな事を言ってしまったので…」


本気で反省してるみたいだな。


「別にあなたのお姉さんを殺しかけたのは事実だし謝る必要は無いよ。俺も突然拉致られた被害者な訳だから、謝罪はしないけどね」


うーん、嘘でもごめんなさいするべきだったかな?なんか空気が重い。

でも、それはそれで上手くいかなかった気もするし。

どうしたもんかな?と考えているとドアがノックされる。

メイドさんがドアを開けて対応してくれた。

でも、召喚された時に口から血を吐き出して死にかけてた女性がお姉さんなら、この人もメイドさんじゃ無いよね。

あのお姉さんドレス着てたし。


「一緒に召喚された方達がお話をしたいということなんですが、大丈夫でしょうか?」


高校生3人組か。まぁ別に問題ないか。


「構わないですよ」


「畏まりました」


3人組が中に入ってきたので先に挨拶する。


「初めまして、コウ・アポストロスです。

日本人だけど、強くてニューゲーム状態。

2度目の異世界転移なので、ちょっと外国人っぽい名前になってます。どうぞ宜しく」


「異世界転移2回目…そんな事って有り得るんですか?」


3人組のひとりがメイドさんに質問する。


「私としては何とも…」


そりゃそうだろう。実際ならなきゃ分からないよこんな事。


収納魔法にある有る魔物の素材とか魔道具を出せば証明になるだろう。

収納魔法を発動して中から色々取り出し説明を始めた。





読んでいただきありがとうございます。



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