第2話
「陛下、例のお客様が目を覚まされましたので、お連れしました」
とうせ。中から声が聞こえてきた。執務室の外で警備している騎士がドアを開けた。
「来てもらったのに申し訳ない、この書類だけは終わらせなくては行けなくてね。そこのソファーに座って少し待っていてくれるか?」
座って良いって言われたけど、立って待ってた方が良いのかな?もしくは1度出直すのが正解?
そう考えていたらメイドさんがお茶を用意し始めた。
良いから座って待ってろって事ね。
貰ったお茶を飲みながら黙って、国王の用事が終わるまで待つ。
このお茶不味くは無いけど城のお茶って考えるとランクが少し低い気がする。
お茶に詳しい訳じゃないけど、いいお茶を飲む機会が沢山あったし、何となく分かるようになってきた…気がする。
「それにしてもメイドさんも戦えるんですね?」
「魔法でお湯をだしたからそう思われたんですか?私の魔法の腕はそれこそどこでもお茶が入れられるぐらいの腕しか無いので戦うことなんて到底できません」
「魔法じゃ無くて、あなたの身のこなしを見てです。確実に素人じゃない」
伊達にフェムトに毎回、訓練と言って死ぬ寸前までボコられてる訳じゃない。
人の歩き方とか重心とか見れば戦える人かそうじゃないかぐらいすぐに分かる。
「賭けはお前の負けだな。カルア、やはり彼は何らかの技能は持ち合わせている」
「それはそうかもしれないですけど。たかが召喚された程度でパニックになって気絶する男ですよ?技能があったとしても戦えるとは思いません」
たかがね。俺だってただ転移したぐらいじゃあんな事にはならなかったよ。
フィア達にもう会えないかもって思ったからああなっただけだし。
まぁそんなこと言ったって信じるつもりはないと思うけどね。あの女。
「はぁ、カルアこれは王命だこれ以上私がいいと言うまで口を開くな。済まない。本来3人しか召喚出来ないはずだったのに、4人目である君が召喚されてしまったことで、術者である彼女の姉が死にかけてね」
あの時口から血を吐き出して死にかけてた女性の妹だったのね。
こっちからしたら、勝手に呼びつけられてるわけだから。もし、俺のせいで死にかけたんだとしても絶対謝らないけど。
「そうなんですね。まぁそんなこと俺にはどうでもいい事です。それでなぜ、別の世界から人間を呼び寄せる事なんてしたんですか?帰れるんですか?元の世界には妻だっているんです」
まぁ、この世界の問題を解決すればフェムトが迎えに来てくれるけど、呼びつけた張本人達も帰還させる方法を持ってるのか聞いておいて損は無いだろう。恐らく持ってないけど。
「すまないが帰る方法を私たちは知らない。だが君が帰る方法を探すと言うなら全面的に協力しよう」
「なるほど、正直に教えて下さりありがとうございます。帰る方法は目処がついてるんで大丈夫です。まぁ異世界から人を召喚する事になった原因を排除しないと帰れないって話ですけど」
「帰れる方法が有るのか?本当に?」
「わざわざ嘘つきませんよ。妻の1人が次元を越えての転移ができるだけです」
…このままゆっくり呼んだ理由を聞くつもりだったんだけど。どうやらそうは行かないらしい。
魔物の大群が飛来して来てるのを魔力感知で捉えた。
「どうやら、お客さんみたいです。街からも見えてるだろうし。直ぐに報告が来ると思いますよ。俺は八つ当たりも兼ねてボコってきます」
執務室の窓を開けて上空に飛び立って、魔物が到着するのを少し待つ。
こっちから倒しに行っても良いけど、国王に見えるところで戦った方が面倒事を幾つか回避出来るだろう。
「おっ来たきた」
目視できる位置に現れたのは恐らく古代竜クラスのドラゴンを筆頭に飛行系の魔物勢揃いって感じだった。
ドラゴンだけじゃないってことは誰かが操ってるのかな?と言うか古代竜の背中に乗ってる角の生えた男あれが操ってるのか。
全員、氷漬けで一撃で終わらせても良いけど、ストレス発散も兼ねてるからそれは無し。
古代竜の頭上に転移して思いっきりかかと落としを食らわせて地面にたたき落とした。
角の生えた男も一緒に地面に墜落すると思いきや自前で飛べるらしい。驚いた顔をしてこちらを見ていたと思いきや、棒状の魔石のようなものを砕いたと思ったら転移魔法が発動して消えた。
使い捨てだけど転移できる魔道具ってことか。面白そうだしお土産に幾つか欲しいな。
今は残った魔物たちの処理が先だ。
「さてと、古代竜はどうなってるかな?」
かかと落としされて怒り狂って襲いかかって来るかな?と下を見ると、古代竜はピクリとも動いてない。
「手加減したつもりだったんだけど、倒しちゃったか…落ちた時の体勢が悪くて首の骨でも折れちゃったかな?」
念の為氷の刃で首を切り落としておいた。
古代竜がダメでもまだ変わりはいっぱいいるから、そいつらでストレス発散しようと思ったら、魔物を操っていた人物が消えたからか、それとも1番強い古代竜があっさり殺されたからかほとんどがこの場から逃げようとしていた。
「流石に逃がすには良くないし、お遊び無しで一撃で決めるか」
飛来して来ていた魔物を全て氷漬けにする。
「やば、下に人いたら大変な事になるじゃん」
幸い、人はいなかったので、報告は大事だろうと思い、国王の執務室に転移した。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます