第8話

「いや〜久々に疲れることした。改変した歪みが大きくならないように細心の注意をはらう必要があったのが厄介だったね」


想像以上に疲れているらしく、俺の膝の上でデザートを食べさせてあげたり、頭をなでなでしたり 、フェムトの要求通り一通り甘やかした後、今日は先に寝てるねと1人で宛てがわれた寝室に入っていった。


「それにしてもやっぱりハジメくんは主人公体質なんだね」


「テロに巻き込まれたり大丈夫だって油断してた認識阻害があっさり見破られたり、コウさんもじゅうぶん巻き込まれてるじゃないですか。1番驚いたのは地球もファンタジー世界になってたところですけどね」


それは誰も想像できなかったと思うよ多分。

そのせいで治安も悪くなってるし、だからこそテロに巻き込まれたんだけど。

想像していた地球観光よりだいぶ物騒なことになってるから、海外は諦めた方が良さそう。

国同士での仲が悪くなってるとか有りそうだし。

他所から来たってだけで敵対されるのは嫌だからね。

予定より早く帰ることも考えとかなきゃダメかな。


「それは俺もびっくりしたよ。1番びっくりしたのは、愛に認識阻害が効かなかったことだけど、しかも超能力関係なくだったし」


認識阻害ごしでバレたのだけは正直未だに信じられない出来事だ。


「それでハジメくんはもう帰るの?」


「家族にあっちの常識を教えたりとかもあるし、レイラ達からしたら折角の異世界ですから、もう少し滞在する予定です」


まぁ事件に巻き込まれてもどうにかなるような人いないし、ここも精霊魔法で許可が無い人が入ると迷う様になってるから安全だろう。

精霊王4人で発動した訳じゃ無いから結界の効力は落ちるけど、こっちの人間で突破できる人はいないだろう。


「あっちに行ってからも大変だろうけどね。勇者の家族として認識されるんだから」


お父さん、妹さんには山のような縁談が来るだろうし、地球にいる時と同じく狙われることも有るだろう。


「地球にいるよりはマシだと思うんですよね。パワーレベリングして、高級な魔道具を持たせるだけで、最低限自衛はできるようになりますし。俺も勇者として圧をかけられるんで」


確かにあっちの世界の方がハジメくんも自由にできるし、こっちの世界ほど酷いことにならないか。

ハジメくんがパワーレベリングするなら勇者の効果でレベル上がりやすくなる筈だから、自衛どころか普通に戦えるようになるかもしれない。


「そう言えば、チートスキル的なものは貰えるんですか?今回、異世界転移する人達」


「スキルの付与は予定していません。平均より上の魔力と何らかの魔法適正を与えるぐらいですね。今のところは」


チートスキルは無しか。まぁ面倒臭い事になるのは目に見えてるし、一般人よりちょっと

強くなりやすいぐらいが丁度いいか。

超能力持ちの2人は既にチートスキル持ちみたいなもんだし。


それと金属生命体についてちょっと聞いたけど、水さえあれば増殖するらしい。

それを聞いた時、もう金属が枯渇することはなさそう。

ある意味無限の増殖する鉱山だ。どれぐらい強いのか知らないけど。


気づいたらもういい時間だったのでここでお開きとなった。


「やってきました沖縄!今日は平和に終わると良いなーって思うけど。多分何かしらに巻き込まれるんだろうな」


観光地だからターゲットになりやすい気がするし、おれが行くと何かしら問題が起きるし。

自分で言っててなんか悲しくなってきた。

逆に考えよう。狙われやすい場所だってわかってるんだから、その分警備も厳重になってるはず。巻き込まれても直ぐに鎮圧されるはず。


レンタカー屋さんで全員乗れる大型の車を借りてまずは世界遺産巡りをしながら途中のお土産屋さんで色々買い込んだ。


午後からは水族館に行って、秋葉原にいる時に買っておいた、一眼レフで写真を撮りまくった。

家の水槽のレイアウトの参考になる水槽ばっかりだから写真で残しておこうと買っておいた。向こうで充電して動かせるように大型のモバイルバッテリーと発電機を買っておいた。

ゆくゆくは電気じゃなくて魔力で動かせるようになればいいけど、俺にはそんなことできないので錬金術師の皆さんに丸投げである。


シャルがイルカを見て、ディルフィーニに似た種類はいないんですか?って聞かれたから、ほかの水族館には飼育されてるところも有るよと答えたら明日はその水族館に行くことになった。

そしたらメルもこっちの世界の虎がみたいという事なので2、3日は水族館、動物園巡りが決定した。


「と言っても今からじゃ、ゆっくり見る時間が無いから水族館、動物園めぐりは明日以降ね。今日はこの後何する?国際通りフラフラする?お土産屋さんも多いし」


どうしたいか聞くとイスカとシャルがこっちの海で泳ぎたいって言ったので、車が近くで停められて、人がいない場所を探した。


「海で泳ぐのは止めないけど2人とも絶対元の姿に戻っちゃダメだからね。特にイスカ、もし元に戻ったら大騒ぎじゃすまないから」


リバイアサン状態のイスカはサイズがデカすぎて魔道具じゃ完璧に認識阻害をかけることが出来ないので大変なことになる。

新しい敵性生物か?見たいな大混乱になっちゃうからとさんざん言い聞かせてから海に送り出した。あと、漁業権がある物もあるから勝手に採集しないように言いつけた。





読んでいただきありがとうございます。


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