第9話

磯で潮だまりに取り残された魚を観察しながら待っていると、シャルとイスカがやけにメタリックな魚を持って海から帰ってきた。

メタリックとい言うか金属その物か?

という事はあれが例の金属生命体なんだろ

う。


「げぇ、ついに魚タイプまで現れだしましたか。これはまた戦況が大きく動きそうですね。私にはもう関係ない話ですけど」


金属生命体は俺がイメージしていたゴーレム見たいな姿じゃなくて、地球上に存在する生き物や乗り物の姿を模倣しているらしい。

今までは鳥類、人、戦艦タイプが殆どだったらしい。


魚って言っても小魚だし戦艦タイプの方がよっぽど脅威じゃないのか?って思ったら、小さいから包囲網を抜けられるのが問題らしい。

水だけで増殖するから近くまで小魚で来て、そこから人知れず増殖。

最後まで見つけられないといきなり戦艦タイプが現れた。なんてことが起こりかねないという事だった。


南極で戦っている部隊も、それを阻止するために今度から小魚見たいな小さな反応にまで注意する必要が出てきて戦闘に支障が出る可能性が高いことも予想される。


実際、南極から沖縄の近海まで来ちゃってる

ことを考えるとその通りになっちゃいそうだ。


愛が言った通り俺らには関係ない事だけど。

ただ見なかった事にして、消滅させちゃうと人間側がこの事に気づくのが遅れて、手遅れになっちゃうのも可哀想だったので、シャルとイスカが倒した魚タイプの金属生命体を海に投げて海流を操って人が多い漁港とかビーチに流れるように操作した。


これなら俺たちに関係ないところで人が気づいて、金属生命体に魚タイプまで現れだしたことが広まるだろう。

政府が情報を握りつぶしたりしなければ…。

その対策として人が多い場所を選んだから大丈夫だと思うけど。


「人間って金属生命体に勝てるの?このままだと滅ぼされる未来しか見えないんだけど」


「国とか関係なしに一丸となって金属生命体と戦わなきゃ行けないのに、まとまれずにお互いに足引っ張りあってる状態ですから、正直このままじゃ人類に未来はないと思いますよ」


う〜んやっぱり。どこかでそれに気づいて人類側が勝利することを祈っておこう。

魚タイプの金属生命体が見つかったら騒がしくなるだろうから、沖縄観光は終了にして、レンタカー屋さんの車を返して愛の家に転移した。


「おかえりー、主」


家に帰ってくるとルージュが迎えに来てくれた。

ルージュは昨日ハジメくんの妹である結衣ちゃんと仲良くなって、今日も1日一緒に遊びたいと言ったので、家にお留守番をしていた。


「結衣ちゃん楽しく遊べた?」


「一緒に色々ゲームしてた。ド○ポン楽しかった!」


なんでわざわざ友情破壊ゲーを選んだんだ?

楽しかったんなら良いけど。


「皆さんお帰りなさい。今日はなにか巻き込まれたりしましたか?」


ルージュを追っかけてきた結衣ちゃんにそんなことを聞かれた。

ハジメくんは俺の事をなんて紹介してるのか1度聞いておく必要が有りそうだ。


「テロに巻き込まれたりとかは無かったよ。魚タイプの金属生命体は見つけたけど」


「お兄ちゃんの言う通りほんとに厄介事を引き寄せちゃうんですね。魚タイプって新種ですよね?しかも沖縄近海までたどり着いてたって事ですから、今頃は国中大騒ぎですね。後でニュースを確認することにします。

そうだ!全く関係ないですけどコウさん、

エア○イドやりませんか?ルージュちゃんと2人でやってたんですけど、やっぱり4人でやった方が楽しいので」


結衣ちゃん意外と古いゲームが好きなのかな?

と言ってもエア○イドは本当に名作。

エア○イドをやるためだけに未だにW○iをテレビに繋いでるぐらいには、大好きなゲームだ。


最下位の人が交代のルールでエア○イドを遊んだ。

最後のゲーム内容によっていつもは強機体が変わったり、回収するパワーアップアイテムの優先順位が変わるから本当にエア○イドは何回やっても飽きない。


ハ○ドラ使って他の機体壊しまくって妨害してたら途中からハ○ドラ禁止にされたけど。

初期機体を全員ハ○ドラにして遊ぶのも以外に楽しいからやってみない?って言っても却下された。



最終的には「先輩こういう事するから友達少ないんですよ?」と会心の一撃をくらいオーバーキルされた。


「そう言えば、皆さんは明日もどこかに観光に行くんですか?」


「2、3日は水族館、動物園巡りをするつもりだよ」


明日以降、ルージュがこっちに着いてきたら1人になっちゃうから寂しいって事かな?

両親とハジメくん達は異世界の常識を教えたり、持っていくものの整理で忙しそうだし。


「その…お邪魔じゃなければ一緒に連れて行って貰えませんか?どう考えても邪魔なのはわかってるんですけど…」


超能力が発現してからは自由に外に出られないし、友達と遊んだりも出来なかったから、ルージュと外に行きたい見たいだった。


1人増えたぐらい何にも問題ないので当然OKを出した。

ルージュが傍に着いていれば何かに巻き込まれても安心だし。

でも、一応ご両親にも許可は取っておくよう伝えておいた。




読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る