第20話

まずフィア達に確認してみたけど、城から感じる瘴気は俺しか感知できて無いらしい。


かと言っていきなりコノハさんに聞きに行くのは…。

もしかしたら敵なのかもしれないし。

この瘴気を放つやばい魔物を将軍家が封印してるって可能性もあるけど。


「結局、直接聞きに行くしかないか…」


船室を出てコノハさんが使っている船室に向かう。


「精霊王様、コノハ様に何かご用事が?」


「もう着陸寸前だし、下船の準備で忙しいなら別に無理する必要無いんだけど、ちょっと聞いておきたいことが」


扉の前で警備をしている武士に会えるか確認をしてもらう。


許可が出たので部屋の中に入ると、コノハさんは十二単を着ていた。

十二単とか初めて見た、それにしても妖狐に十二単ってすごい似合うな。


「えっと精霊王様。何か私に聞きたいことがあると言う話でしたが」


そうだった。


「城はいつもああなの?ってこととコノハさんは俺の味方なのか敵なのかそれだけ聞きたくて」


そう言った途端、護衛の武士が刀に手をかける。

コノハさんが一旦落ち着きなさいと武士たちをなだめる。


「精霊王様にはあの禍々しい魔力が見えているんですね」


「そりゃもうはっきりと」


「ここでは詳しい話は出来ないですが、私達は精霊王様の敵ではございません。説明はしないのに信じるのは難しいかもしれませんが…」


「分かりました。今はコノハさんの事を信じます。忙しいタイミングにお時間をいただきありがとうございます」


コノハさんのいた船室から退出して自分の船室に戻ってきた。


「厄介事に巻き込まれるのは確定か。なので確実警戒はしっかりするように」


まぁ、今回そこまで大事にはならないだろう。

それにコノハさんを助けるためにも、今は敵の罠にかかった方が良いだろう。


「リアも戦闘員じゃないけど今度パワーレベリングしとこうか。そうすれば多少の自衛もできるようになるし」


リアは戦闘員じゃないし基本ディアーネさんが護衛をしてるから、レベルをあげたりしてなかったけど。

戦闘に巻き込まれた時自衛ぐらいできるようにレベルをあげておけばよかったな。


「そうですね。私が護衛している間はリファーリアに指1本触れさせる気はありませんが万が一ということもあります。今回の件が終わったらレベル上げをしましょう」


城の近くに飛行船を止める場所が無かったので少し離れたところに着陸して馬車で城に向かう。


コノハさんと同じ馬車なんだけど、コノハさんが震えながらごめんなさいって呟いている。

このまま敵のところまで連れて行ってくれれば後は俺が勝手にやるから気にしなくていいんだけど……コノハさんが罪悪感感じちゃって可哀想だし、もう始めるか。

将軍家が住む城があるダイワの都アズチ周辺の時間を止める。


「ここからは歩いていきましょう。コノハさん貴女に指示をだしている奴の場所まで案内してくれますか?ここにいる人達以外の時間を止めてるので怯える必要は有りませんよ」


「時間が…止まってる?」


えっ何言ってるんですか?って言う反応をするコノハさんに外でて確認してみ?

と言って馬車のドアを開ける。


全てが停止している光景を見たコノハさんも固まってしまう。


「コノハさん?」


「ホントに時間が止まってるんですね…」


「だからこのまま敵のところに行って、倒すだけだね。人質とかいるなら先に助けに行けるし。城に向かいながら色々教えてくれると助かります」


城まで歩いて向かっている間、コノハさんに教えて貰ったことは、1週間前、酒呑童子と名乗る鬼が突然現れコノハさんの父つまり将軍様が精神支配で操り人形、それに抵抗した母親は魔力を封印されて幽閉されてしまったらしい。


両親を人質にとられ自分自身にも人肉が大好きな虫の魔物の卵を植え付けられて、裏切ったら卵を孵化させると脅されていたらしい。

えげつないことするもんだね、酒呑童子も

その話を聞いて直ぐにフィアによって魔物の卵は消滅させられたけど。


「海賊に捕まってたのも演技だったの?」


「あれは完全にイレギュラーです。リンファスに行ってどんな方法でもいいから精霊王様を連れてこいって言うのが酒呑童子の命令だったので」


酒呑童子は何を考えてたのか知らないけど俺をご所望だったと。

って考えると色々対策してそうだけど、流石に時間停止には対策してなかったっぽいな。

そもそも俺が時間を止めれるって知ってる人なんてフィアたち以外ほぼいないし。


城に向かって歩いている間、みたらし団子とかお煎餅、焼きおにぎりを売っているお店があったりして凄く気になる。酒呑童子倒して時間停止解除したら食べに来ます!と言い残し先に進む。


フィア達に着物を買って着てもらうのも良いなー。


流石に気を抜きすぎだなと気合いを入れ直す。


そもそもなんで酒呑童子は俺を手に入れたがったんだろう?


「ねぇダイワってヤマタノオロチとか封印されてたりしない?」


「確かに封印されているという湖は有りますが、大昔の話なので本当に封印されてるのかわ謎です。突然どうしたんですか?」


酒呑童子の父親はヤマタノオロチだったとかそんな話を聞いたことあったけど…俺を手に入れて何らかの方法でヤマタノオロチの封印を解くつもりだった?


考えても答えは分からないけど、可能性としてヤマタノオロチが復活するかも?って警戒しておこう。


ひとまず酒呑童子を倒してダイワを救おう。

城に入り酒呑童子がいるという地下へと降りていった。





読んでいただきありがとうございます。






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