第17話
「1度成功させたから1回で成功したけど、それでも結構時間かかったな」
移動場所の方の魔法陣に魔力を流し込む作業はやり方がわかったから失敗はしなかったけど、時間はそれなりにかかった。
もう2、3時間すれば空が明るくなってくるだろう。
「お疲れ様。後は私がこの魔法陣を起動させれば…」
アルさんが魔法陣を起動させると特に凄い演出とか無かったけど、魔法陣の上に精霊門が現れた。
「ひとまずこれで成功ね。後は4人に精霊魔法で結界を張って貰えば今度こそ終わりよ」
幸い、この結界は4人が魔力を均等に混ぜて発動する必要はなく、魔力を使えば使うほど結界の強度が上がるらしいので限界まで魔力を使って結界を張った。
「もう日が登ってきて完全に朝だ」
この世界に来てから一徹程度なら何ともない体になったんだけど、既に世界樹のダンジョン攻略のために一徹した状態で、凄い集中力を必要とする作業を一晩中して二徹はやばい。
今すぐ布団に入って寝たい。お風呂とかご飯なんてどうでもいいから今すぐ寝たい。
もう帰って良いよね?
「もう、解散で良いですよね?」
「本当は、ちゃんと精霊門が起動してるか通って見て試すんだけど。それぐらい私1人でも大丈夫だから帰っても良いわよ?」
それを聞いてほかの3人は逃げるように帰って行った。
精霊界側にはフェムトがいるだろうから、今あったら確実に拘束時間増えるだろうからな。
「コウくんは帰らなくて良いの?」
「フェムトにも会っておきたいですし」
後、何となくだけど面白いことになる気がするんだよね、何故か。
「じゃあ、精霊界に移動しましょうか」
まず人化したアルさんが門の中に入って行って、俺が2番目に門の中に入った。
「なるほど、精霊界側はリバイアサンの里に移動させたのね」
リバイアサンは強いし、俺も信用してるのでここにあるってだけで安心できる。
そして面白いことが起きるって感も当たってたらしい。
「ここは人化したリバイアサンが暮らしている場所なのね。じゃあティアナもここにいるのかしら?」
「勿論、いるはずですよ。俺の別荘があるんで、ひとまずそこに向かって歩いて行きましょうか」
別荘まで転移で移動することもできるけどせっかくだから歩いて向かうことにした。
朝ごはんも屋台をやっているリバイアサンから物々交換すればいいだろう。
「なんと言うか、知らない内にリバイアサンが面白いことになってるわね」
俺が持ってる食材と物々交換した、コッペパンに炒めた千切りキャベツと白身魚のフライを挟んでトマトピューレで味付けしたものを食べながらアルさんがそう言った。
確かにリバイアサンが料理してるって普通考えないよね。普通に上手だし。
ただ、これを食べるとマヨネーズ作ってタルタルソースを作りたくなるな。
どうしよう作っちゃおっかな?
これを作ってるリバイアサンもソースがこれだ!ってモノが決まらなくて探してるって言ってたし。
「ディアーネさんの布教活動の影響でリバイアサン以外の幻獣種も料理に目覚めた種族も多いんですよ」
リバイアサン以外の幻獣種もちらほら物々交換をして料理を貰っている姿が目に入る。
俺が来てから幻獣種同士の交流が増えて来てるみたいだ。
「私がずっと門番をしている間そんな面白いことになってたのね精霊界は」
精霊門があの島にあるならずっと門番をする必要も無いだろうからアルさんも自由な時間がとれるようになるだろう。
「な、なんでアルビオン様がここに!?」
もう少しで別荘に着くかな?と言ったところでティアナさんがすっ飛んできた。
「あら、ティアナ私はここに来ちゃダメだった?私が門番をしていてよっぽどの事が無いと移動が出来ないって知ってるのに会いに来てくれなかったから、私の方から会いに来たのよ」
「そ、そうだったんですね。私もリバイアサンをまとめたり育児があったりで忙しくて、こちらから会いに行けなくて申し訳ございません」
ちょっと焦ってたけど思ってた程面白い事にならなかったな。
「確かに長としてリバイアサンをまとめ上げて、これだけのものを作り上げるのは大変だったでしょう。イスカちゃんもいい子だったし。私の事をくそババア呼ばわりしていたあなたがここまで立派に成長してるのを見れて私は嬉しいわ」
アルさんをくそババア呼ばわりって自殺志願者かな?
少なくとも俺は絶対に呼べない。
「ちょっとアルビオン様!それはもう昔の話です」
「せっかくの再会なんですから、まずは別荘でゆっくりお茶を飲みながらお話した方が良いんじゃ無いですか?」
「確かに、失礼しましたアルビオン様。
お茶だけでなくお茶菓子もご用意致しますので」
これ以上は俺、邪魔だろうし人間界の屋敷に戻って寝よう。
そう言えばフェムト出てこなかったな。
(世界神様に呼び出されたせいで今神界にいるんだよ。せっかくのコウとイチャイチャするチャンスだったのに)
フェムトは世界神様に呼び出されて精霊界にいなかったらしい。
「俺は先に人間界に帰りますね」
そう言ってリンファス王都の屋敷に帰った。
読んでいただきありがとうございます。
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