第16話

「精霊王様のお屋敷にご招待頂けるんですか!?」


「そうですね。一時的にですが。後、私に魔法を習いたいというのも魔法学校でおこなう週一の授業に参加するという形なら大丈夫ですよ」


「ホントですか!?」


彼女の目的だった俺に魔法を教えて貰う事も大丈夫ですよと伝えると、尻尾ちぎれない?大丈夫?ってぐらい尻尾をブンブン振り始めた。


「わざわざこんな嘘つきませんよ。で、あそこにある門が屋敷に繋がる転移門になります。私は精霊神様からお願いごとをされてしまったのでこの後ご一緒出来ないので、何かあったらオフィーリアかマルタに相談してください」


屋敷に同行しないことを伝えると、さっきまでブンブン振っていた尻尾が垂れ下がってしまった。

すげー悪いことしてる気持ちになるなこれ。


「…分かりました」


「今回で会うのは最後という訳じゃないですし、また今度時間がある時にゆっくりお話しましょう」


「絶対ですよ!」


「是非ダイワのお話を聞きたいと思っていたので、その時に色々聞かせてください」


少しは持ち直したかな?ダイワは江戸時代の日本風の国って聞いてるから話を聞きたいのはホントだしね。



「お待たせしました。リースさん天然物の精霊門がある場所までお願いします」


今回移動させる精霊門の場所を俺は知らないのでリースさんの転移でその場所まで連れて行って貰った。


「久しぶりぶりねコウくん」


「お久しぶりですアルさん。異世界の神討伐の時は力を貸して頂きありがとうございました」


転移先には当然だけどアルさんがいたので挨拶をする。


「妾への挨拶はなしか?コウ」


「久しぶりホムラ。あれが精霊門ですね?」


精霊が魔法で作り出す精霊門そっくりなものがあるのでこれが天然物の精霊門なのだろう。

精霊が作り出すものが似てるんじゃなくて天然物の精霊門を再現できるように作ったのかな?


「そう、これが天然物の精霊門。フェムトからいきなり移動させるなんて言われたからビックリしたのよ?」


妾の扱い雑すぎるじゃろ!と騒いでいるホムラを放置してアルさんとの話しを続ける。


「俺が異世界の神が拠点にしてた島を管理することになったから、それならそこに移動させた方が守護もしやすいだろうって話になって、精霊王集まってるし丁度いいじゃんって言うことで急遽決まったんですよ」


「確かに、その方が管理しやすいのには同意するけどね。ティアナにも会いに行きやすくなるだろうし。ホムラはなにいじけてるの?時間がかかるんだから、早く始めましょう」


やっぱり時間かかるんだ移動作業。

パって終わらないかなって思ってたんだけど、精霊王が4人全員必要な作業が簡単な訳ないか。


「実際何をすれば良いんですか?精霊王が4人必要なことぐらいしか知らないんですけど」


「別にやること自体難しくないわよ。精霊門を囲むように魔法陣が書いてあるでしょ?そこに精霊王の4人が均等に魔力を流せば良いだけよ。ちなみに1人ずつじゃなくて4人全員同時に魔力を流さないとダメよ」


単純だけど4人の息をピッタリ合わせなきゃいけないから難易度は高そう。


「それじゃあ私は先に島に行って、そっちにも同じ魔法陣を書いておくから、こっちの魔法陣に魔力を流し終わったら島に来てね」


そう言ってアルさんは飛んで行った。


「どうせすぐに成功する訳ないのだからさっさと始めるぞ。今日中に成功すれば良いが…」


今日中に成功すれば良いがってやだよ俺夜はちゃんとお布団入って寝たい。


「ダメだ〜成功しない」

既にあたりは真っ暗になってしまったが一向に成功する感じがしない。

アルさんも島の方の魔法陣を書き終わってこっちに戻ってきて、今は魔法で辺りを明るくしてくれてる。

ただ、25%ずつ魔力を流せばいいだけなら簡単なんだけど、4人の魔力を均等に混ぜながら魔法陣に魔力を流すとなると難易度がすごい上がる。

今のままだと成功する気しないんだけど。


「今のやり方じゃいつ成功するか検討もつかないな」


「と言っても、他にやり方なんてないじゃろ?」


「何が難しいのか考えれば解決法が浮かぶかも?」


「4人の魔力を均等に混ぜながら魔法陣に流す。これを同時にしなきゃならないのが難しい…なら同時にしなければ良いのよ!」


「まず、4人の魔力を均等に混ぜてから魔法陣に混ぜ終わった魔力を魔法陣に流すってことですか?」


「そう!」


確かにその方が何倍も楽にできそう。

全員同じ意見だったので、その方法でやってみる事になった。


「やった。全員の魔力を均等に混ぜるのは成功した!」


今まではここまですら言ってなかったので全員かなりの手応えを感じている。

さっきまでほんとにこれ成功するの?って感じで顔が死んでたけど、やっと終わりが見えたとやる気が戻ってきた。


「この後失敗したらまた最初っからだから気を抜いちゃダメよ」


アルさんが気を抜くなと言うけど、みんな帰りたいって気持ちでいっぱいなので気を抜くなんてしないはずだ。


魔法陣へ事前に均等に混ぜた魔力を流していく。

魔力をほとんど流し込んだ辺りで魔法陣が光出した。


「おめでとう。成功よ」


「「「「終わったー!!」」」」


「そうね、ここは終わりね。だけど、移動先の島に書いた魔法陣も同じことしなきゃダメよ?」


そりゃそうですよね。

4人の精霊王の顔が絶望に染まった。








読んでいただきありがとうございます。












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