第15話

(コウ。ちょっとお願いがあるんだけど、聞いてくれる?)


フェムトがお願い?また世界滅亡の危機的な?


(そんなんじゃないよ。前にアルビオンの仕事の話はしたでしょ?)


確か天然物の精霊門を守ってるんだっけ?

人間界にいる生き物が精霊界に迷い込まないように。


(そうそう、精霊界にいる強い魔物が人間界に行かないようにって意味も有るけど)


精霊界には人間界に1匹紛れ込むだけでも大惨事になるような魔物もいっぱいいるからね。

で、わざわざこの話をするって事は、その天然物の精霊門が今回のお願いに関わってくる訳だ。


(そうだね。その島コウの管理地になったんでしょう?しかもコウそこを精霊や幻獣種達が遊べる施設を作ろうかなって思ってるでしょ?)


今のところはその予定だけど?


(なら、天然物の精霊門をその島に移設させて貰えないかな?その方が管理も楽になると思うし、幻獣種がその島に遊びに行く時のゲートにもできるよ)


確かに精霊は自前の精霊門で好きにこの島に来れるけど幻獣種は自前で転移できる者はそんなに多くないだろうし、そう言う人でも来れるようになるのはいい事だ。


それに精霊や幻獣種にだって悪いことを考えるやつはいるだろう。

神獣アルビオンはそういった輩への抑止力としても効果が有るだろう。

アルさんの仕事は天然物の精霊門の管理なんだからここに移設するなら自然とアルさんもここの島に住むことになるだろうからね。


(コウがあっさり同意してくれてよかったよ。天然物の精霊門を移動するには精霊王4人全員が集まって貰わないと行けないから、既に現地に3人もいるこの機会を逃したくなかったんだよ)


じゃあ、天然物の精霊門の移設は今すぐやらなきゃ行けないってこと?

しょうがないあとの対応はフィア達に任せるか。


(悪いねせっかくのケモ耳美少女、しかも妖狐のこと仲良くなるチャンスだったのに)


別にそんなこと気にする必要ないよ?


(初対面で尻尾と耳しか見てなかった人がよく言うよ)


確かに?あのモフモフの尻尾触らせてくれないかな?って思ったけど!

日本でゲームしてた時狐の獣人とか狐キャラがいたら必ずゲットしてたけどさ〜。


(どう考えても、残念がってるじゃん。またお嫁さん増やつもり?)


いや流石にまだ10歳にもなってないような女の子相手にそんな感情無いよ?

身長だって140cmぐらいしかないし7、8歳ぐらいでしょ?


(13歳だよあの子?だからコウの魔法の授業を受けたいって言ってたんだよ?)


そう言えば、週一で今年の1年生に教えるって話だったもんな。マルタと同い年か…あれで?


(まぁそれはおいといて、精霊門の移動よろしくね。僕は精霊界側の門を移動させとくから)


…うん、フェムトの言う通り精霊門の移設に集中しよう。


「フィア、フェムト様から頼まれごとしちゃったから、ダイワの人達の対応任せていい?屋敷に繋がる精霊門だけ開いて行くから」


「止めるつもりはないが、何をするのか聞いてもいいか?ダメなら聞かないが」


別に隠すことでは無いのでフィアにフェムトから頼まれた、天然物の精霊門の移動を頼まれていることを話す。精霊王が4人全員集まる必要があって既に3人が現地にいる今が1番都合がいいという事もしっかり話す。

この理由がなければ今やらなくても良いんじゃ?言われちゃうだろうし。


「そうか…精霊王が全員集まる必要があるなら、今やってしまいたいのは理解出来る。

だが、ダイワのお姫様も直接お礼を言いたいと言っていたから、少しだけ時間を作ってあげて欲しい。さっきからソワソワして食事所では無くなっているようだし」


フィアに言われてダイワのお姫様の方を見ると目が合った。

すぐに目をそらされちゃったけど。

挨拶ぐらいならそんな時間かからないだろうし。今、挨拶しに行くか。


「じゃあ、今挨拶に行ってくる」


ダイワのお姫様の方に歩いていくと、椅子からガタッと立ち上がり、こちらに走ってきた。


「助けて頂いてありがとうございます。

ダイワの将軍家である織田家の織田コノハとです。こちらだとコノハ・織田になります。コノハと呼んでください」


将軍家って織田なのか…。毛利とか島津とかもいるのかな?

今はそんな事考えるより、返事をする方が先だな。


「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。

水の精霊王コウ・アポストロスです。

俺のことは好きなように呼んでください。

早速ですが皆さんも気になっていると思うので、これからのお話をさせていただいて良いですか?」


「そうですね。私たちはすぐにダイワに帰ることになるのですか?」


突然海賊に捕まって違法奴隷にされかけたんだから、すぐに家に帰りたいよな〜。

俺がダイワに行ったことが1度でもあれば直ぐに送り届けることが出来たのに。


「私がダイワに行ったことがあればそれも可能だったのですが、ダイワに1度も訪れたことが無いので直ぐにダイワへ送り届けることはできません。なので 1度リンファスにある私の屋敷で保護させて頂き、その間にダイワの大使に船などを用意してもらうことになると思います」


この話を聞いて落ち込んじゃうかな?って思ってたのに逆に嬉しそうにしてる?




読んでいただきありがとうございます。

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