第14話
ーマルタ、コノハー
「私が何か精霊王様を怒らせるような事をしてしまったのでしょうか?」
コウに対して一言も喋らせてもらなかった為、知らないうちに怒らせるようなことをしてしまったのではと不安になるダイワの姫。
「そんな事は無いですよ。ただ、コウさんはコノハ様の尻尾の様なモフモフしたものが大好きで…。実際そのような事が起きたことは無いんですがコウさんがやらかさないようにコノハ様から遠ざけさせて頂きました」
まぁ確かに私の尻尾と耳しか見てなかったなとコノハは納得する。
「そうなんですね。ご配慮して頂いたのは嬉しいのですが、せめてお礼ぐらい直接させて頂きたいのですが、ダメでしょうか?」
「…そうですね。コウさんが帰ってきたら手配しましょう。コウさんはダイワの事も聞きたいと思ってるでしょうし。ひとまず、私たちがさっきまでいた島に移動しましょう。コウさんがお父様にこの話を報告してくれれば、ダイワにも話が伝わるでしょう」
「そう言えば皆様はどうやってここへ来られたのですか?」
「それはこちらにいる風の精霊王リース様に運んでもらいました。この船を見つけたのもリース様です」
まさか精霊王が2人もいたなんて思ってなかったダイワの人達は全員驚き固まってしまう。
「私はコウくんを手伝ってただけだから気にしないで、いつまでもこんなオンボロ船にいるのもあれだし島に移動しよう。精霊神様の料理人が料理を作って待ってくれてるしね」
リースがそう言って島に繋がる精霊門を出現させる。
「ここを通れば、島に移動できるからどんどん入っちゃって」
精霊王が2人いた事も驚きだけど精霊神様の料理人が自分たちの為に料理を作っていると言われ更に驚く一行。
断ることなんて不可能だしと精霊門をくぐった先で3人目の精霊王と遭遇し、もう勘弁してくれと思うダイワ人一行であった。
ーコウー
1度、王都にある屋敷に転移して、使用人にお願いして、国王にアポをとってもらう。
ニョグダの後始末で今は忙しいだろうし、時間がかかるだろうなと思ってたらすぐに会えるとの事なので国王の執務室に向かった。
「忙しいだろうにこんなに早く時間を作っていただきありがとうございます」
「コウくんの報告は基本最優先事項だからね。しかもわざわざ私だけになんて…今度は何が起きたんだ?」
「今回に関してはほんとに不可抗力ですよ」
海賊に襲われて囚われていた。
ダイワのお姫様や護衛の人たちを助けて保護したことを話すと。
国王は頭を抱えてため息をついた。
「はぁ、私からその事をダイワ側に伝えて欲しいと言う事だな?」
「そういうことですね」
「ダイワの大使からも姫君がコウくんの授業を受けたいと要望があったとは聞いていたが…ダイワの大使を通じて伝えておこう。今はコウくんの屋敷で保護してるのか?」
「異世界の神が拠点にしてた島の調査中に海賊船を発見して助けたので、今はその島にいます」
「この後すぐにダイワの大使を呼んで今の話をするから、出来ればコウくんの屋敷にいて欲しいんだが、大丈夫かな?」
「分かりました。屋敷に移動しておいて貰います。では、屋敷に移動してもらうために島に帰りますね。あっそうだ!これ精霊界で採れるぶどうで作った白ワインなんですけど良かったら飲んでください」
「わざわざありがとう。今晩早速飲ませて貰うよ。それと、ダイワの姫君の話にも関係することだけど魔法学校での非常勤教師どうする?島のことも頼んでしまったし、忙しい様だったらなかった事にも出来るが」
本来ならもう魔法学校は新学期が始まって俺も非常勤教師として週一で無詠唱で魔法が使えるように授業する予定だったんだけど。
ニョグダのせいでそれどころじゃ無くなっちゃって新学期は通常の1ヶ月遅れで始まるって事になってる。
島の管理を押し付けちゃったし、講師の方は断ってもいいよ?事だろうけど。
別に週一だし問題ないだろう。
どんな授業するか全く考えてないけど。
「週一だけですし、それも1日拘束されるわけじゃないんで大丈夫ですよ。無詠唱魔法を使える人間増えて欲しいですし」
世界神様の手を借りたせいで、人間界の魔力濃度が上昇してその分強くなる魔物も出てくるから、人間も強くなってもらわないといけないし。
「国としてはそうしてくれた方が助かるが…難しかったらすぐに言ってくれれば対応しよう」
「ありがとうございます。じゃあ今度こそ島に戻りますね」
普通に帰ろうとすると貴族から娘を嫁にどうですか攻撃を受けるので、国王の執務室から直接転移して移動した。
「やっぱりまだ食事中だよね」
島に転移すると、助けられた人はみんな一心不乱に貰ったご飯を食べていた。
捕まってたのでろくな物を食べれず胃が弱っているだろうからお粥にしたみたいだけど。
あんな勢いで食べたら意味ないんじゃ無いかな?
「コウどうだった?」
「陛下からダイワの大使に今回の話を伝えてくれることになったよ。でも、大使がその後すぐにお姫様と会えるように、俺の屋敷で待機していて欲しいって」
フィアに国王と話して決まったことを報告する。
「なら、もう少しすればみんな落ち着くだろうそれから移動してもらおう」
俺もあれは邪魔出来ないな。
泣きながらご飯を食べる人達を見て大人しく待つことを決めたコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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