第3話

「イスカちゃんにティアナの事を聞きたいけど 、私をどうにかして貰うのが先か…

準備ができてるんなら、すぐに世界樹に連れていくけど、どうする?」


ティアナさんは神獣たちから、やんちゃな娘扱いされてる感じ?

それでイスカは孫。神獣リバイアサンの直系だと考えたらおかしなことではないか。


ニーズさんが世界樹まで連れて行ってくれるらしい。

準備は既に終わってるし、早速連れて行って貰おう。早く解決してエルフの国観光も楽しそうだ。


「準備はもう出来てるのでいつでも大丈夫です」


「それじゃあ、世界樹まで転移で連れて行こう。コウ、イスカちゃん私と手も繋いでくれ、いつもはこんな事しなくても良いんだけど、弱ってる今だとこうしないと一緒に転移ができない」


分体で迎えに来てくれたし、意外と元気だったりする?って思ってたけど、そんなことはなく結構弱ってるみたいだ。


3人で手を繋ぎ円を作ると視界が真っ白に染まり何も見えなくなる。


視界が回復すると、てっぺんが見えない巨大な木とそれに巻き付いている大蛇が目の前に現れる。あれが世界樹とニーズさん本体だろう。

これだけ巨大なのに、飛行船で移動している時とか、エルフの国にいる時に見えなかったのは何重にも張られているらしい結界の効果だろう。


分体の方のニーズさんを見るとなんか薄くなって消えかかっている。


「この体じゃここまでが限界みたいだ。

後は頼んだ」


そう言って分体のニーズさんが消えた。それと同時にニーズさんの本体が動き出した。

シュルシュルと動き、空からニーズさんの顔が現れる。

凄い目が合ってる、ニーズさんの意識が残ってて戦闘しなくて済むとか?


そんな甘いことがある訳なく、しっぽでなぎ払いをしてくる。

100m級の氷の壁で尻尾を受け止めて、氷で包み込む様に尻尾を固定した。


氷で作ったリバイアサンの頭部を噛みつかせて地面に縛りつけようとしている。


「氷がジュウーって言って融けてる、もしかして毒で溶かしてるのか?」


毒ってヨルムンガンドじゃ無かった?

どっちも蛇だしどうでも良いか。

事実、ニーズさんは毒をもってるんだし。


ニーズさんの尻尾を拘束していた氷は毒によって既に溶かされてしまった。

よく見ると周りの木々も溶け始めている。


「やっぱり権能を使って止めるしかないか。イスカ、俺ここから1歩も動けなくなるだろうから護衛よろしく」


「分かりました」


まずは停止の権能でニーズさんの動きを止めることに集中する。

デカいし、権能に抵抗して来るから中々動きを完全に止める事が出来ない。


さっきから尻尾で叩き潰そうとしてくるけど、イスカが氷の壁を作って防いでくれてる。


尻尾だけだと拉致があかないと思ったのか、

口を広げ丸呑みにしようと頭がこちらに向かってくる。

牙部分の毒の方が強いらしく、しっぽの叩きつけを防いでいた。氷の壁が牙が触れた瞬間一瞬で溶ける。


迫ってくるスピードはゆっくりだけど、その分絶望感が凄い。

イスカが何回も氷の壁を作り直してるけど、

一瞬で溶かされてしまい、ニーズさんはドンドン迫ってくる。


イスカは壁で止めるのを諦めて、攻撃で進路を逸らそうと試みるも、多少進路が変わったぐらいで攻撃範囲からは全然抜け出せていない。


「コウさん、このままだと呑み込まれてしまいます。一旦、転移で離脱しましょう」


「この場所、転移使えないから無理」


世界樹を守る結界に転移を無効化するものもあるみたいで、さっき試したけど転移魔法がキャンセルされてしまった。


「なんでそれを早く行ってくれないんですか!もう間に合いませんよコレ!」


イスカが大口を開けて迫ってくるニーズさんを指さしながら叫ぶ。


「大丈夫。間に合ったから」


ニーズさんの動きが止まる。ようやく停止の権能で完璧に動きを止める事ができた。

っと思ったら最後の抵抗なのか毒液を吐いてきた。

氷の壁を作って毒にとかされた瞬間、毒が触れる前まで巻き戻るように逆行の権能も使い、何とか吐き出された毒液を防ぎきった。


「やっぱり神獣相手は一筋縄じゃいかないね」


「私、流石に死んだと思いました」


おそらくだけど、ニーズさんは抵抗していて、これでも本気じゃないと思うんだよね。


ニーズさんが本気だったら、助けたとしてもお互いボロボロになってただろう。


後は逆行を使って、ニーズさんをニョグダに侵食される前まで巻き戻せばいい。

ここまで来れば後は消化試合だろうと油断したのが不味かったのか。


突然右半分の感覚が無くなった。

俺がニーズさんに権能を使っている様に、ニーズさんも俺に権能を使って来ているって事だろう。

俺がニーズさんを助けるのが先か、ニーズさんの毒で死ぬのが先か…耐久勝負は部が悪すぎるけど何とかするしか無いか。


そう思っていたらイスカが拳を氷で覆って、

思いっきりグーパンで殴りつけた。

グーパン自体にダメージは無かったろうけど

イスカが神獣化しているときだけ使える。

全てを壊す権能を載せて殴ったみたいで、殴られた周囲から血が吹き出した。

全身の血管でも破壊したのかな?


突然の痛みに、抵抗が弱まったので一気に終わらせる。

巻き戻しも完了し、権能を解除すると。

ニーズさんがすごい地響きを上げながら地面に倒れた。


これで大丈夫なはずだけど、ニーズさんが目を覚ますまで待つか。

自分の治療を済ませて、大丈夫だよとイスカに手をふった。



読んでいただきありがとうございます。







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