第53話

「ほんとにニョグダが居る場所へのショートカットみたいだし、さっさと倒して帰ろう。1時間ぐらいでこの裂け目は消えるって言ってたから後10分ぐらいでこの裂け目消えちゃうし」


ほんとにこの裂け目は安全なのかの話し合いで既に50分は経過してるから、急がないと

せっかくショートカットって分かったのに裂け目が使えなくなる。


「たしかにその通りですけど、テンションが普通の魔物を倒す時と変わらないのはどうしてですか?最終決戦ですよ!しかも相手は神」


「ニョグダが厄介なのは侵食って権能を持っていて、それを使ってあらゆる物を侵食して取り込んでしまう事だから、それが使えなければ絶望的に強い訳じゃ無いから。それに神殺しの剣が有るし」



侵食の権能を防ぐ為にリソースを全部持っていかれるから、俺が攻撃できない分火力が足らない可能性もあったけど、神獣のアルさんが来てくれたし、フィアも権能が使えるようになったから何も問題はない。


「それに、いつのもテンションと変わらないって言うのは以外に重要だよ?変に気負っていつもの調子が出せませんでしたってなったら問題でしょ?」


特にハジメくんは神殺しの剣をこのメンバーで唯一使える人なので緊張して攻撃が当たらないとかなったらやばい。


「言いたいことは分かりましたけど。それが出来るかどうかはべつの話ですよ」


「どっちにしろ、ニョグダと戦わなきゃ行けないんだけどね。ほんとにこの裂け目が消えちゃったらあれだし突入するぞ〜」


ちょ待ってくださいって…と叫ぶハジメくんを引きずりながら裂け目の中に入っていった。


「こっちを見てる。凄い警戒されてる感じ?」


ニョグダは粘性のある黒いアメーバ状の生き物なので目は無いのに、何故か見られていると理解できる。


集まっているところを狙われないように散開すると、触手の様に細く伸ばした胴体を使って俺に攻撃してくる。


「俺だけ狙いすぎだろ!こちとらお前の侵食を中和するので精一杯だってのに」


今までニョグダの事をずっと邪魔してたのは俺なので、その分ヘイトが凄いことになってるっぽい。好都合っちゃ好都合だけど。


ニョグダの侵食の中和と攻撃を避けることに集中する。

触手を鞭の様にしならせて攻撃してくるから軌道が読みずらい。

ドンドン触手の数が増えてきて、ソロソロ避けきれなくなるぞと思っていると。


ニョグダの全身が凍りついて動かなくなった後、ニョグダの3分の1が消滅した。


アルさんとフィアの権能を使った攻撃だろう。


更に間髪入れず、氷でできたリバイアサンの頭部が凍ったニョグダを噛み砕いた。

神獣化しているイスカの攻撃だろう。

これにも権能が付与されているからニョグダにもかなりダメージが入ったはず。


マルタとメルは神相手はまだ荷が重いと思ったので、ディアーネさんと一緒に飛行船の護衛を頼んであるので着いて来てない。

シャルは道中にディルフィーニの探知能力が必要で着いてきて貰ってるから、攻撃せず回避に専念して貰っている。

攻撃できる人でまだ攻撃してないのはハジメくんだけだけど、ハジメくんはまだチャージ中みたい。


ハジメくんの剣に神殺しの能力が付与されている事をニョグダはまだ気づいていないはず、と言うのもエステルさんやマギによって

神殺しの能力は何十もの隠蔽工作がされている。

俺もエステルさんに教えてもらうまで分からなかったし、ただ1度その剣で攻撃すれば流石にバレてしまうので、ハジメくんには時間がかかっても良いから最大火力の攻撃を使うようにお願いしてある。


つまり、あんなに派手だった3人の攻撃もハジメくんの準備が終わるまでの時間稼ぎだ。

それなりにダメージは入ってそうだけど。

復活したニョグダを見るとサイズが元の3分の2に縮んでいた。


3人の攻撃が想像以上だったのだろう。

これ以上攻撃されないように、3人への攻撃が激しくなる。

と言っても体が小さくなってるから触手の本数が減ってるし、そのを触手3人に分散させて攻撃してるので、3人とも余裕で避けてる。


その後も3人がちょくちょく攻撃を加えて、ハジメくんに気が行かないように牽制をしていると、魔力を限界まで込められて光り輝いている神殺しの剣をハジメくんが振り下ろした。


ニョグダに神殺しの効果が付与された光の奔流が襲いかかる。

ニョグダはハジメくんの事なんか気にもしてなかったのでクリーンヒット。

声帯が無いので叫び声が聞こえたりしないけど、暴れ回ってるので相当効いているみたいだ。


「ん?これ逃げようとしてる?」


光の奔流に焼かれ続けて、ほぼ動かなくなったニョグダを警戒して見ていると、こっそり転移魔法を使おうとしている。


ニョグダが弱って来て侵食の中和に全力を使う必要も無くなってきていたので、停止の権能で転移を防ごうとしたら。

ニョグダから魔力が感じられなくなって転移魔法の反応も消滅した。


「これで、もう逃げられないだろう」


やっぱりフィアがニョグダの魔力を消失させたみたいだ。

これでニョグダは魔法も権能も使えなくなった。


その後も光の奔流に焼かれ続けてニョグダは最終的に塵一つ残さず消え去った。




読んでいただきありがとうございます。




新作始めました。ダンジョンクリアして報酬にスキルを貰って強くなるお話です。


https://kakuyomu.jp/works/16816927859804684114




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