第52話

「戦うと言っても、この出来損ないの体じゃ僕が1回魔法を使ったらダメになっちゃうから、お互いに本気の攻撃を同時にして、君が生きてたら君の勝ちね」


1発勝負ね、それにしてもクトゥグアからしたら完全におもちゃと遊んでる気分か。



「準備は良い?君がいいって言うタイミングでスタートでいいからね」


「いつでも問題ないよ」


「じゃあ始めよう。3…2…1…0!」


カウントダウンが終わった瞬間、氷と炎がぶつかり合って、大爆発を起こした。

水蒸気やら砂埃やらで辺りが見えなくなってしまったので、それが収まるまで大人しくしている。



「何とか両腕だけですんだか、自分で治してもいいけど、フィアの権能で治してもらおう実験にもなるし」


クトゥグアの炎を完全に抑え込むことが出来なくで、両腕が炭化して崩れてしまった。

腕はすぐに生えてくるし実質無傷と言っても良いだろう。


あれ、ふと思ったんだけど、クトゥグアが完全に消滅しちゃってたらショートカット作って貰えないじゃん。結構本気で攻撃したけど

大丈夫かな?


「あれだけやって両腕だけか〜もうちょっといけると思ったんだけど」


そんな事を考えて1人で勝手に焦っていると

左半身がえぐれたように無くなっている、クトゥグアが現れた。

それだけでなく全身にヒビが入っている。

ヒビが入ってるのは体が脆くて自分の攻撃に耐えられないって言ってたからそれだろう。

あの体でショートカット作れるのかな?


「いくら、本体じゃなくて出来の悪い偽物の身体だからって、相手の方が傷が浅いなんてなんと言う屈辱」


この流れ、ショートカットなんて用意する気ないんじゃ。


「そんな怖い顔しないでよ。ちゃんと約束は守るよ」


クトゥグアがパチンと指を鳴らすと、今まで移動するのに使ってきた裂け目が目の前に現れた。


「大体1時間ぐらいは持つと思うよ。

身体が限界だからじゃあね〜。思ったより良い暇つぶしになったよ」


それだけ言うとクトゥグアの体は粉々に砕け散った。


「ほんとに自然災害みたいなやつだったな」


話が通じるだけ自然災害よりマシだったかもしれない?

(あれは話通じて無かったでしょ?)


フェムトがなんか言ってるけど聞かなかったことにして、質問をする。


(あれってほんとに使って大丈夫だと思う?)


クトゥグアが最後に作った先へ進む為の裂け目が安全かどうかフェムトならある程度わかるだろう。


(その場にいないから詳しくは調べられないけど、今まで先に進むのに使ってた裂け目と同じものなのは保証する。どこに出るかまではその場で調べないと分からないかな)


それだけでもじゅうぶん、行った先が罠だったとか絶対ないとは言えないけど、そう言う場合があるかもって警戒しながら進めば問題ないだろう。

約束通りでもニョグダのいる空間に出るんだから、警戒は必要だし。


まずは腕を治してもらわないと思いだし、フィアに話しかける。


「フィア、権能で俺の怪我を無かったことにできるか試してみて」


そうフィアに言うと呆れた顔をされた。


「なんで腕を自分で治さないんだろうと思ったら、そういう事か」


そんな呆れた顔しなくても実験の為に自分から腕を切り落としたわけじゃないんだし。

と思いながら腕を見るとしっかり元通りになっていた。

回復魔法を使われた時みたいな感覚は全くなかったな。

気づいたら治ってたし。

やっぱスゲこの権能。


「腕も治ったし、あの裂け目を使うかどうかなんだけど、フェムトに聞いたら今まで進むのに使ってた裂け目と同じものなのは間違いないだって」


クトゥグアが作った裂け目についてフェムトに聞いた情報を共有する。


「フェムト様が他の裂け目と同じと言うなら信用出来るが、先は分からないんだろう?

罠の可能性が高いんじゃないか、しかも致死率が高い」


普通はそう思うよね。


「でも、ニョグダのところに一直線って、下手なトラップより致死率高そうじゃない?

それにニョグダだごときに自分を模倣した魔物を作られたのを怒ってたし大丈夫な気がするんだよね。それに普通に進んだらどれだけ掛かるかも謎だし」


早く終わらせられるならそれに越したことはない。

時間を掛ければかけるほど、ニョグダがなにか仕掛けてくるかもしれないし。


結局どうするかの話し合いで30分経過した。


(僕の指示でアルビオンに調べて貰おう、このままじゃ結論出ないでしょ?)


フェムトの指示に従いアルさんが格闘すること20分今までは裂け目の先は真っ黒で先を確認することが出来なかったが、アルさんが頑張ったおかげで向こう側を確認することが出来る。


裂け目の先には粘性のあるアメーバ状の存在をしっかり確認できた。

あっちもこちらに気づいているようで、先が見えるように色々してるアルさんを侵食の権能を使い取り込もうとしている。

勿論、そんなこと出来ないように俺が権能を使ってガチガチにガードをしている。


「アルさん確認できたのでもうOKです」


そう伝えるとアルさんがフゥ吐息を吐く。

それに合わせて裂け目は先が見えない真っ黒な状態に戻った。


「ひとまず、ニョグダがいることは確認できたな」



読んでいただきありがとうございます。




新作始めました。ダンジョンクリアして報酬にスキルを貰って強くなるお話です。


https://kakuyomu.jp/works/16816927859804684114





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