第42話

冒険者ギルドで階層の情報を報告してから1週間ようやく、多国籍軍の編制が完了した。


今は出陣式?見たいのをしている真っ最中、

飛行船を10機、総勢1万5千の多国籍軍。

単純計算で一機に1500人乗ってる計算になる。非戦闘員も乗ってるから実際にはもう少し多いけど。


各国の国王たちが演説をして軍全体を鼓舞している。

なんか全校集会で校長先生の長い話を聞いてる気分。

ボーッと聞き流していたらいつの間にか終わったらしい。

国王たちじゃなくて、ハジメくんがなんか喋ってる。


おお、剣を掲げて勇者っぽいポーズとってる。

兵士たちも歓声をあげている。

勇者も大変だね。


ハジメくんが後ろに下がって、エステルさんが現れた。


エステルさんが、敵はめっちゃ強いけど皆なら勝てますって言ってる。

本当はもっと気合いの入った感じだけど、意味としてはこんな感じ。


あれ?多国籍軍の人達が光出した!?


「この戦い限定ですが、私の加護を皆さんに与えました」


加護か、そう言えば俺も加護を与える側なんだよね。俺も同じ事した方が良い?

1番の効果の低い加護なら多国籍軍全員行けるし、今回は世界を救うための戦いなんだから、そのぐらいした方が良いだろう。

多国籍軍の人達全員が入るように範囲指定して・・・ほいっと、光が収まったと思ったらまたみんな光り出した。今度は青色の光に包まれてる。

よし、これで水の精霊王の加護(小)がついた。

と言っても魔力1.5倍と水属性魔法の適性がつくだけの大したことない物だけど。

獣人の人達は闘気が1.5倍になるけど、水属性魔法の適性はつかない。

勿論、エステルと同じでこの加護はこの戦い限定にしてある。


「私だけでなく、水の精霊王も皆さんに加護を与えてくれた様ですね」


わざわざ説明しなくていいのに・・・。

面倒事になる前に退散!

加護を与えるのはめっちゃ疲れるから一足先に船室に向かったとでも言い訳しておいて。

そうフィアに言って搭乗予定の飛行船の船室に転移した。


「あの後、ちょっとした騒ぎになったんだぞ?」


1時間ぐらい後だろうか?フィア達が船室に来て軽くお説教されている。


「加護を与えると疲れるのは本当だよ?」


普通の状態だったら、30分ぐらい椅子に座ってれば復活するぐらいだから大して疲れるわけじゃ無いけど。


「エステル様もそう言っていたが、面倒事から逃げてるって丸わかりだったからな」


「水の精霊王は人見知りだから大勢の人に見られるのは嫌いなんだよ」


「コウのおかげで死者は減るだろう、それに悪い事をした訳じゃ無いんだから堂々と立ってれば良かったのに」


そんな感じで話をしてると船室が揺れた。

どうやら動き始めた見たいだ。

と言っても場所に着くまで全速力で2時間はかかる。

10機で艦隊組んで進むんだからもっと掛かるだろう。

今のところ俺のやることはない、出番が来るまで大人しくしてよう。


「コウ様、私はリファーリアの所に行ってきますね」


「はいよー、丁度いいから、ディアーネさんはリアさん含めた非戦闘員を守ってあげて」


「分かりました。リファーリアを守るついでに他の非戦闘員も守ります」


そう言ってい、ディアーネさんは船室から出ていった。


ディアーネさんとリアさんは同じ料理が趣味だからか、この一週間ですごく仲良くなった。

でも、最初会った時からやけにリアさん推しが凄かったんだよなディアーネさん。

リアさんにそれとなくディアーネさんとあったこと有るの?って聞いてみたけど、今回が初めての筈ですって言ってたんだよね。

精霊的にリアさんと相性が良かったとか?

考えても分かんないし、ディアーネさんも教えるつもり無さそうだし。

ディアーネさんとリアさんは仲がいいこれでじゅうぶん。


(そう?どうしても知りたかったら、教えてあげようと思ってたけど)


フェムトの声が脳に直接聞こえてきた。

そう言っちゃったら、何か料理以外に理由があるって言ってるようなもんじゃん。

ディアーネさんが話すつもりが無いのに聞くつもりは無いよ。

後、フェムトがバラそうとしてたのはディアーネさんに報告するから、ディアーネさんの機嫌を治す方法考えときなよ。


(ちょ、それはまずいって、ディアーネ怒ると怖いんだから。ご飯も作ってくれなくなるし)


そんな事俺も知ってる。

ディアーネさんの機嫌が治る食材でも用意して反省してなさい。


(ほんとに人の過去を勝手に話そうとするなんて、本当困った人です)


突然ディアーネさんの声が聞こえた。

フェムトと俺の念話に割り込んできたの!?


(フェムト様のことですから、こう言うことするだろうなって、罠を張っていただけです。フェムト様、コウ様がいつになっても作らないチョコが気になっているのでお願いしますね)


そう言えばフェムトがカカオから、チョコレートの原料を作ってくれる魔道具を作ってくれたけどチョコレートは作ってなかったな。

言い訳すると手作業で美味しく作れる気がしなかったんだもん。


(分かったディアーネ、最高のチョコレートを用意しておこう。勿論それを作れる魔道具も)


(なら今回はこれ以上言わないです。コウ様は理由知りたいですか?)


さっきも言ったけど、ディアーネさんが話す気ないなら別に聞かなくてもいいよ。

ディアーネさんとリアさんの相性が良いでも別に問題ないし。


(このまま話すのもあれです。1度戻って直接お話します)


フェムトの尊い犠牲によってディアーネさんが理由を話してくれることになった。




読んでいただきありがとうございます。















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