第43話

「と言っても大した理由じゃ無いですよ?

リファーリアの前世が私に名前をつけてくれて、料理を知らなかった私に、料理を教えてくれた人だっただけです」


全く予想してなかった理由だった。


「料理を知らないディアーネさんって、そんな時期存在したの?」


「もっと他に感想無かったんですか?」



最近ディアーネさんのこと水の精霊じゃなくて、料理の精霊だと思ってたから・・・そんな時期が存在したのが信じられなくてつい。


「まぁ話を戻すと大昔の親友がリファーリアさんとして転生してたから、リファーリアさんを守ってあげたいって事でしょ?

因みにどんな人だったの?リファーリアさんの前世だった人は」


こっちからこの質問しないと理由は話したのでもういいですね?って言ってリファーリアさんのところに行っちゃいそうだから、ド直球に聞いてみることにした。


「違うのは名前ぐらいってぐらい、リファーリアにそっくりですよ。初めて見た時驚きました。見た目どころか喋り方や性格までそっくりだったので。ちょっと調べたら、本当に生まれ変わりだと分かったんです。

因みに、リファーリアにその事を言ったら、私が初代様の生まれ変わりって広まると、ソールシュルテン王国で内戦が始まってもおかしくないので、出来るだけ秘密にしておいてくださいって言われました。これが皆さんにも伝えなかった理由ですね」


もし大勢に知られると例えそれが嘘だとしても、利用して王位を手にれようとする派閥が出来かねない。

知られないように黙ってるのが正解だろう。


「成程、聞かなかったことにしよう。

リファーリアさんとディアーネはお互い料理が趣味だから仲が良い。理由はそれだけでOK」


「基本はそれでお願いします。おや?これは幻獣種の気配ですか?」


ディアーネさんも気づいたか。

なんか幻獣種がこの飛行船に近づいて来てるんだよね。


しかもただの幻獣種じゃない気がする。

ティアナさんとイスカに似た感じがする。

リバイアサン・オリジン見たいに、神獣の血が濃く出てる幻獣種だと思う。

今のところ敵意は感じないけど・・・もしこっちが攻撃して敵だと認識されたら面倒だ。

実力は恐らくティアナさん以上負ける気は無いけど、無傷で勝つのは絶対無理。

勿論、飛行船を庇う余裕なんてないから全機撃墜する事になるだろう。

そんな事にならないように急いで甲板に向かう。


「ストップ!あれに敵対しちゃダメだ!

それに今のところ敵意はない、話し合いができる相手だ」


既に、甲板に設置されている魔道砲をフル稼働させて臨戦態勢だったので慌てて止めにかかる。

実際に目視して気づいたけどあれ、マジモンの神獣だぞ!

なんでこんなところにいるんだよ!


「あれはドラゴンだけど魔物じゃない。神獣だ!」


それを聞いて甲板が騒がしくなる。


「全員、静まれ!コウ様今のお話は本当ですか?」


「間違いないと思うよ。あら、本人が喋るつもりみたい」


フェムトと念話をする時と同じ感じがするので念話で話かけてくるつもりだろう。


(私は神獣アルビオン、貴方たちと戦うつもりはありません。精霊神から話を聞いて貴方たちを助ける為に来ました)


どうやらこの念話全員に聞こえていたらしく、俺が乗っている飛行船以外も次々と臨戦態勢を解除している。


こっちに来ないで欲しいな〜と思ってたけど。

確実にこの飛行船に向かって飛んできている。

全長15mぐらいだろうか、竜の中では小型で白一色の純白ドラゴンだ。

勇者が乗ったら凄い映えるだろう。

今からでもハジメくんが乗ってる飛行船に向かってくれないかな。


その願いが通じることは無く甲板上で人化したアルビオンと話をすることになった。


「初めまして水の精霊王。噂は色々と聞いていましたけど、実際にあってなるほどと納得しました。アルビオンだと長いでしょうから、私の事はアルとでも読んでください」


噂って何?気になるけど見えてる地雷を踏み抜くつもりは無いからスルーしよう。


「そう言えば、どうしてフェムトはアルさんに俺たちを助ける様に話を持っていったんですか?1番近くにいたから?」


「それでほぼ正解ですよ。私の仕事は人間界側で、人間界と精霊界を繋ぐ洞窟の守護をすること。なので私は基本、人間界にいるんです。他の神獣は神界にいますから、近い私に声がかかったという訳です。仕事の性質上フェムトと話す機会が多かった事も理由だと思いますよ」


神獣が手を貸してくれるなら俺の負担がだいぶ減るからありがたい。


「目的地まではまだ時間がかかりますけど、アルさんはどうします?飛行船の中案内でもしますか?」


「それも楽しそうだけど、まずは貴方の奥さんたちに挨拶させてもらおうかしら。

ティアナの子もいるんでしょう?

一時期ティアナの世話をしてあげたから、

今日、会えるのを楽しみにしてたの」


そう言うことならという事で、他の飛行船への連絡は他の人に任せて。フィア達のところに案内する事になった。



読んでいただきありがとうございます。


新作始めました。ダンジョンクリアして報酬にスキルを貰って強くなるお話です。

https://kakuyomu.jp/works/16816927859804684114

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