第36話

精霊界に転移した瞬間タックルをくらった。

あまりにベストタイミングすぎて躱せなかった。


「久しぶりフェムト」


タックルをしてきた犯人に挨拶をする。


「久しぶりコウ。コウの匂いがする」


タックルしてそのまま抱きついてきたフェムトがスンスン匂いを嗅ぎ出した。


「匂いを嗅がれるのは流石に恥ずかしい」


フェムトを剥がそうとするけどビクともしない。


「まぁフェムト様、毎日コウのベットで寝て、昨日からベットからコウの匂いがしなくなったってションボリしてたし、ちょっと我慢してあげてよ」


「シャルちゃん!」


流石のフェムトも恥ずかしかったらしい。

顔を真っ赤にしてシャルの名前を叫んでる。


フェムトそんな事してるの?

ちょっと恥ずかしいけど我慢するか。

抱きつかれてること自体は嫌じゃないし。


「シャルも久しぶり」


「久しぶり〜。それと、私を選んでくれてありがとう!」


フェムトに抱きつかれたまま起き上がった瞬間シャルにも抱きつかれた。


「シャルと話してて楽しかったし、1番タイプだったからね」


「じゃあ、正式にコウのお嫁さんになったって事で私も人間界連れてって欲しい」


いつもだったら、特に考えることなく人間界に連れていくけど今、人間界物騒だし・・・。


「フェムト様からどんな状況かはちゃんと聞いてるよ。だからこそ私が役に立つと思うんだよね。探知能力だけならコウより凄い自信あるよ!」


確かにシャルはディルフィーニだから探知能力は俺より優れてる。

その代わり戦闘力はそんなに高くないから心配なんだよね。

今のところ、マルタとメルよりちょっと強いぐらい。

2人が新しい力の使い方になれたら、2人の方が強くなるかなぐらいの実力だったはず。

昨日までのダンジョンでマルタとメルも結構戦闘したから、もう2人の方がシャルより強いかもしれない。


「最低限自分の身を守れる戦闘力は有るし、1人で先行したりしないからお願い!」


「分かった。シャルも連れてくよ。

戦闘力が高くないって言っても俺らの中でって話だし、全体で見ればじゅうぶん上位の実力を持ってるのも確かだからね。ただし勝手な行動をしちゃだめだよ?人間ってずる賢いから」


「それは、人間界講座の時にフェムト様からも言われた」


人間界講座って何?

人間界に行っても普通に行動出来るように人間界の常識でも教えてたのかな?


「分かってるならいいや。じゃあ目的の温泉入ろう」


ーーー


「あ〜染みるわ〜。やっぱ温泉最高」


お風呂は毎日入っているけど、やっぱり天然温泉は違うなー。

天然温泉の成分が入った入浴剤とか作れないかな?

いや、別にここに入りに来れば良いだけか。


「そうだコウ。シャルちゃんと2人で海ぶどうを使ったワイン作ってたんだよ、とりあえず白いぶどうの方から作った白ワイン飲んでみて」


白ワインの方が熟成期間が短いって聞いたことあるけど、流石に早すぎじゃない?


「熟成中は時間加速させたから実質1年ねかせた事になってるよ」


それなら問題ないのか?

取り敢えず飲んでみようか。

フェムトからグラスを受け取る。

ワインなんてアル○カぐらいしか飲んだことないから味の評価なんて出来ないけど。


「飲みやすいし美味しい、でもワインでって考えるなら、ちょっとアルコール度数が高めかな?」


俺がいつも飲んでる清酒よりちょっと低いかなぐらいな気がする。


「そうなんだよ測ったら20%ぐらいだったかな。多分、海ぶどうの糖度がすごい高かったからだと思うんだ」


確かにワインに使うぶどうの糖度が高いとアルコール度数が高くなるって俺も聞いたことある。

糖を分解して酵母がアルコールを生成するからって理由だったはず。


「これは、アルコール度数が普通の白ワインより高いのに飲みやすいので、飲みすぎちゃう人が増えそうですね」


顔がほんのり赤くなったマルタが白ワインを飲みながらそんな事を言っている。

まさにマルタがそれなんじゃ・・・。


「おつまみに今回はビーフジャーキー作ってきたよ」


マジか!ビーフジャーキー食べたかったけど

作り方知らないから無理かなって思ってたんだよ。


「魔道具で自動化してるから牛肉があれば作り放題だよ」


「フェムト大好き!」


フェムトからビーフジャーキーを受け取り

試食する。


「これだよこれ!」


ビーフジャーキーって美味しいけど買うと高いからそんなに食べる機会なかったけど。

これからは食べ放題。

おつまみ用にいっぱい貰っとこう。


「そろそろ、人間界帰らないとまずいか」


なんだかんだ1時間ぐらいワイン飲みながら温泉に浸かって話してた気がする。

ちゃんと夕食が食べれるぐらいにセーブはしてますよ?・・・俺は。


「飲みすぎました」

マルタは完全に酔っていて俺に背負われている。

マルタの分の夕食はシャルが食べればいいだろう。

マルタには後でおじやでも作ってあげよう。


「人間界凄く楽しみです!」


「皆、気をつけるんだよ。後、ほんとにヤバいと思ったら、僕を頼ってね」


フェムトと一旦別れの挨拶をして人間界に帰った。


読んでいただきありがとうございます。



新作始めました。ダンジョンクリアして報酬にスキルを貰って強くなるお話です。

https://kakuyomu.jp/works/16816927859804684114

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