第34話
自己紹介が終わった後、何を喋れば分からなくなって沈黙が続く。
誰か、間に入って話題提供してくれないかなって思ったけど、誰も助けてくれない。
「精霊王様リアは王族だけど料理が好きで結構上手なんですよ」
流石に不味いと思ったのかフィロさんが助け舟を出してくれる。
料理は確かに俺も好きだから共通の趣味てかな感じで話しやすいけど、俺より過剰反応する人がいるから・・・。
「素晴らしいです!料理が好きな人に悪い人はいません。エルフから娶るならこの子にするべきです」
ほら、ディアーネさんが出てきた。調理場で夕食作ってた筈なんだけど、なんで会話聞こえてるんだろう。
寧ろ、フィロさんはこの状況になるのを予想して敢えてこの話をしたのか?
「エットこの方は?」
そりゃ困惑するだろう。
「その人?はディアーネ。料理が大好きな水の上位精霊。ウチの専属料理長です」
「ディアーネです」
「もしかして、料理の精霊さんですか」
思ったよりリファーリア殿下の食い付きが良かった。料理の精霊さん?
「昔から、腕のいい料理人のところには料理好きの精霊が現れて、その精霊に料理をご馳走して認められると、精霊石を貰えるって言うお話が有るんです。劇にもなっている人気のお話なんです。史実を元にしていると聞いていたのですが、まさか本人に会えるなんて・・・後でサインください」
ディアーネさんまさかの大人気。これはこれでいいのかな?
フィロさんが嘘だろマジかって顔で自分の妹のこと見てるけど。
「料理以外に興味が無かったので、私の行動が物語になってるとは知りませんでした。
存外、悪い気はしないですね。教えてくれたお礼としてサインを書いてあげましょう」
思った以上にディアーネさんとリファーリア殿下の相性良さそうだな。
「良かったら夕食、食べていきますか?」
「ほんとですか!料理の精霊さんのサインどころか料理まで食べれるなんて、絶対に食べます」
リファーリア殿下のキャラが完全に崩壊してる。
「そう言えば、ディアーネさん。今日の献立は?」
「今日ですか?タコ飯とタコの唐揚げ、タコとナスの和え物に油揚げと長ネギの入った味噌汁です」
ディアーネさんが悪い訳じゃ無いんだけど、
なんでクトゥルフと戦った後にタコ料理が出てくるんだよ!しかもスープ以外全部タコ入り。
タコ好きだけど、クトゥルフ見た後に美味しく食べれるかと言われると・・・。
「どうしたんですか?」
「いや、異形のタコ型魔物を倒した後だったから、まさか晩御飯タコかって思って。
タコ自体は好きだから、献立はそのままで良いからね」
「タイミングが良くなかったという事ですね。無理しなくてもまだ作っている途中なので変更も可能ですよ」
「タコ食べたいからそのままで大丈夫」
「分かりました。リファーリア様も一緒に調理場に来ますか?」
「是非!」
そう言ってディアーネさんはリファーリア殿下は調理場に消えていった。
「なんか妹がごめんなさい」
「俺もダンジョンにいる時あんな感じのテンションのときが有りましたし、元気で良いんじゃないですか?」
「はぁ、なんかほんとにすみません」
「まぁ、それは一旦置いておいて夕食まで1度解散で良いだろう。ハジメくんたちは客間自由に使ってほしい」
正直、さっきから眠気がすごいからフィアの提案はすごい助かる。
「じゃあ、また後で〜」
メイドさんにハジメくんたちの事をお願いして寝室に移動した。
「なんで皆ついてきてるの?そしてそのクジはなに?」
「誰がコウさんの抱き枕になるのかのクジです」
「そう、で誰が当たりを引いたの?」
「もちろん私です」
マルタが抱き枕になってくれるらしい。
マルタのことを抱きしめてベットに入った。
「待って下さい。これ思った以上に恥ずかしいです。コウさん聞いてますか?もう寝てる!」
〜〜〜
「よく寝たって程寝てないはずだけど、マルタが抱き枕になってくれたおかげか、だいぶ元気になった」
「私は1時間ずっと抱きしめられてたので心臓がバクバクしっぱなしです」
「夕食までもうちょっと時間があるな。
2人で散歩にでも行く?」
「とても魅力的な提案ですが、王都だとお互い有名人なのでゆっくり散歩は難しいです」
そっか俺はともかく国の王女様の顔を知らないわけないか。
「じゃあどうする?」
「精霊界に作った天然温泉に行きましょう。ちょっと汗もかきましたし」
「温泉かじゃあそうするか。タオルとかは収納魔法で持ち歩いてるし、このまま行こうか」
「そうですね。それならフィアお姉様達に捕まることも無いですからね」
それが狙いだったのか。確かに、街で散歩とかだったら、普通に歩いて街に出るから、フィア達に一言いってから出かけただろうけど。
「精霊界なんだからフェムトが来ると思うよ?」
フェムトが気づかない訳ないからね。
(シャルちゃんも一緒に温泉入りたいって)
ほら連絡が来た。
シャルも一緒にって、まぁエルフより先に告白しておかないとって思ってたからちょうど良かったと言えばそうだけど。
「温泉にしましょう。こっちの方が人数は少なくなるはずです」
マルタと二人でフェムトとシャルが待っている天然温泉に転移した。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます