第30話

「鼻息が風の弾丸って・・・だったらブレスの方がかっこよかったよ」


鼻から風の弾丸を飛ばして、ハジメくんを攻撃するブラキオサウルスを見ながら呟く。


「何言ってるんですか!風だから目に見えないですし、早いし、1発でもくらったら体に風穴が空く威力。凶悪過ぎますって」


ブラキオサウルスの攻撃を避けながらハジメくんが大声で叫んでる。


「ハジメくん、がんばえ〜」


取り敢えず、ハジメくんの応援でもしておこう。


「ちくしょう!この階層に来てからのコウさんマジで使い物にならねぇ!レイラ、魔法で少しだけ魔物の気を引いて、フィロとネロはレイラの防御を」


ハジメくんの指示で3人が動き出した、レイラさんが魔法を胴体に当ててブラキオサウルスから注意を引こうとしたが、近くにいるハジメくんの方が脅威だと感じているらしい。

全然ヘイトが移らない。


レイラさんの魔法が皮が少し焦げるぐらいで大したダメージがはいってないのも原因だろう。


レイラさんが狙いを当たりやすい胴体から顔に変えた。


ブラキオサウルスは頭に魔法が当たるのは流石に嫌みたいで首を振って魔法を避けている。

ブラキオサウルスもだいぶイライラして来ている見たいだ。ハジメくんへの攻撃頻度が落ちて来た。


ハジメくんは何をするつもりなのかな?と観察していると、剣に魔力を集めている。

剣に魔力が集まるにつれて剣が光り輝いてる。

エク○カリバーでも放つつもりかな。


「これでどうだ!」


ハジメくんが剣を振り抜くと光の斬撃がブラキオサウルスに向かっていく。

ブラキオサウルスも流石に気づいたみたいだけど、もう遅い。


光の斬撃はブラキオサウルスの胴体から真っ二つにした。

流石にあれで生きている魔物はいないだろう。


「倒せた〜。全く酷い目にあった」


ハジメくんはその場に大の字になって倒れ込んでしまった。


「何、終わったみたいな雰囲気出してるの?まだまだいっぱいいるでしょ?そもそもさっきの攻撃あそこまでの威力は要らなかったでしょ。首を狙えば良いんだから。

威力抑えて変わりに待機時間を短くする練習にちょうどいいでしょ」


遠くから近づいてくる竜脚類を指さしながら、ハジメくんにアドバイスする。


「あれ、そのまま使うのも大変なのに、アレンジを加えるって・・・ってもう捕捉されてるし、コウさんの鬼、悪魔、人でなし!」


ハジメくんが俺の事を罵倒しながら戦闘を初めた。強くなりたいならこれぐらい頑張らないと。


「じゃあ、こっちはお客さんの相手をしますかね」


血の匂いの反応したのかぞろぞろと集まってくる肉食恐竜達に向かって歩き出した。


「これで終わりっと。小型から中型の肉食恐竜がメインだったから数が多かったけど、刀を使う良い練習になった」


ユタラプトルの首を切り落とし、追加の増援は来なくなったので、精霊刀についてる血を拭き取り鞘にしまう。


魔法で倒しても良かったけど、それだとすぐ終わって暇になっちゃうからね。


「さてと、ハジメくんはどうかな〜?

おっけこういい感じじゃないか?」


ハジメくんの方を見ると、ちょうどさっきの技でアルゼンチノサウルスを倒したところだった。

消費魔力は半分以下になっていたしなんだかんだ言いつつしっかり改良できているみたいだ。


「さてと、そろそろ階段に向かって移動開始するか」


ハジメくんに声をかけに行こうとしたら

木を薙ぎ倒しながら恐竜が森の中から出てきた。


「ステゴサウルス!なんでそんな凶暴そうな感じなの?草食恐竜だよね君!?」


なんかもうすごい殺る気が伝わってくる。

精霊刀を抜刀し構えると、ステゴサウルスの背中のプレートが俺目掛けて飛んできた。


「それ飛ばせるのかよ!」


飛んで来るプレートを避けたり切ったりしながらステゴサウルスに近づいて行くと、

突然足元から魔法の反応がして、慌てて避けると土のスパイクの様に迫り出してきた。


「土属性の魔法まで使える訳ねってあぶねえ!」


土のスパイクは避けられる前提の攻撃だったらしい、避けた瞬間を狙ってて尻尾で攻撃してきた。

避けるのは難しそうだったので、魔法で氷の壁を作って防御。

しっぽには立派なスパイクがついているから

もし当たったらシャレにならない。槍の穂先に加工したら人気が出そう。


尻尾攻撃を防がれて隙だらけのステゴサウルスの後ろ足を切り落とす。

後ろ足を切り落とされてバランスを崩して更に隙だらけになったところで首に一閃。


首を切り落とされたステゴサウルスは地面に倒れて動かなくなった。


「正直、肉食恐竜より手強かった」


たしかに見た目がちょっとトゲトゲしてるから、肉食恐竜より強そうじゃね?って思ったことが無かったかと言われればあったけど、

まぁいいやここは異世界、どれだけ地球に存在した恐竜に似てても別物なんだし、そう言ったことも有るだろう。


「そろそろ移動するよ〜」


「待ってください。流石にちょっと休ませて」


肩で息をしながらハジメくんが1度休憩しようと提案してくる。


「移動中ルージュの背中に乗ってるだけなんだからそこでじゅうぶん休憩出来るでしょ?」


それでも、じめんに足をつけてしっかり休憩したいです!というハジメくんの意見をガン無視し、念動魔法で無理やりルージュの背中に乗せて、階段に向かって移動を初めた。



読んでいただきありがとうございます。



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