第23話
砂の中を移動してこちらに向かって魔物は
それ程強くないけど、数が多いタイプで多分魚っぽい感じ。
全員戦闘態勢で少し待っていると俺たちから
少し離れたところからバショウカジキの見た目をしたカジキが飛び跳ねて突っ込んでくる。
「また、こんな感じ?こんな敵ばっかりじゃない?」
それは俺も思った。でも地面が細かい砂だからね。歩く魔物より砂の中を水のように泳ぐ魔物の方が便利だとダンジョンが判断したのかもしれない。
「ちょっと!突っ込んでくるだけじゃなくて水属性の魔法を使ってきますよ!あの魔物」
3層のクロカジキやトビウオに似た魔物のように突っ込んでくるしか脳がないと思っていたのだが、今回の魔物は水属性の魔法を使って氷柱をこちらに飛ばしてきた。
「やっぱり似たような姿でも階を跨ぐと強くなってるね」
各々で氷柱を対処するのを確認しつつ氷柱と一緒に突っ込んでくるバショウカジキ型の魔物を精霊刀で両断する。
魔法で倒しても良いんだけど、刀も使わないと技術が上達しないからね。
そんな感じで全員で100匹ぐらい倒した頃だろうか、少し離れたところから大きな砂埃をあげながらこちらに近ずいてくる魔物が現れた。
「なんだあれ!砂のドラゴンか?」
ハジメくんがそんな感想を述べる。
確かに砂が集まって東洋竜見たいな見た目をしてる。
多分だけど砂をそういう形で纏っているだけで、本体は違う気がする。
もしくは砂ゴーレムみたいな。
バショウカジキ型の魔物を倒しながら、東洋竜の姿をした砂の魔物に向かって魔法で氷の槍を飛ばしてみるが砂が弾けたりするだけで
ダメージは無さそう。
「ちょっと、コウさんでもダメージを与えられない魔物ってやばくないですか!?
まだ距離がありますし撤退した方が」
俺の魔法がダメージを与えられなかったのを見てハジメくんがテンパってる。
「まぁハジメくん1回落ち着いて。あの魔物は多分魔法で砂を纏っているか、砂のゴーレムだと思うんだよね。だから砂を攻撃したってダメージが与えられなかったんだと思うよ」
まだ距離があるからもうちょっと近ずいてきてから氷漬けにしたかったんだけど、ハジメくん以外も俺の魔法が聞いてなくて、びっくりしてたから早めに片付けた方が良さそう。
氷漬けにした後転移で近づいて少しづつ氷を溶かしていくと、途中で魔石が出てきた。
魔石を回収して氷を完全に溶かすと東洋竜見たいな姿をしていた砂は形を崩した。
おそらく、砂のゴーレムだったという事だろう。
普通に戦ったら結構苦戦する相手だろうな。
体の砂は無限にあるし、砂が衝撃を吸収してしまうので魔石を狙って壊すのも難しい。
どうかは分からないけど、魔石が体を構成している砂の中を自由に動き回るとかだったらもっと厄介だっただろう。
「よし!討伐完了。でも、魔石しか取れないから渋い魔物だな」
「魔石以外全部砂だったんですね。それなら最初の攻撃が効かなかったことも納得です。でも、静かに近づいて来て奇襲とかも怖いですね」
そっか、さっきは派手に砂埃をあげながら登場してくれたけど、大人しく周りの砂に同化して近づいてきたり、動かないで獲物が上に来るのを待っている可能性もあるのか、これは想像以上に厄介な魔物だぞ砂のゴーレムって。
「それなのに、倒して手に入るのが魔石だけって割に合わな過ぎない?」
「確かにそうですが、結構質のいい魔石ですね!カラードラゴンより質の高い魔石ですよ。この魔石があれば作りたくても出来なかった魔道具も作れそうです」
魔石だけだとしても、錬金術師のフィロさんからしたら結構欲しい素材見たい。
「でも、カラードラゴンより質がいい程度だとちょっと微妙じゃない?昨日倒した劣化バハムートの方が絶対性能いいだろうし、全身素材になるよ?」
「それは全くもってその通りなんですが、私にあれを倒すのは無理ですよ」
「それなら劣化バハムートの素材は差し上げますよ。こっちはバハムートの素材を持ってますし」
それにサイズがサイズだからいくら使ってもバハムートの素材無くならないんだよね。
だからあげたりしてるんだけど、それでも無くなりそうにない。
「流石にそれを受け取るのは・・・。
もし貰うとしても、祖国に素材を渡して欲しいです」
「エルフの王国にはバハムートとクジャタの牛革を渡すから問題ないと思うよ。ぶっちゃけバハムートって一体がデカすぎて、収納魔法の肥やしになりまくってるんだよ。俺の使う魔道具も作ってもらうってことで、その報酬ってことじゃダメかな」
「伝説の魔物の素材が収納魔法の肥やし・・・。ですが昨日のバハムートでも小さいと言われるなら、その通りなのかもしれませんね。私だって使い切れないと思うので、使う分だけ少しもらうと言う事なら」
「色々、持ってるから。ハジメくん達の装備強化に好きに使ってくれて構わないからね」
「それにしてもバハムートは凄い美味しいと言われていますが実際どうなんですか?」
「結構美味しかったよ。バハムートの肉なんてそれこそ毎日好きなだけ食べても数十年無くならない量あるから今日の晩ご飯はバハムートにしようか」
「いくら大量に有るからって、そんな伝説の魔物の肉を頂くのは流石に」
「昨日の夜のステーキ、クジャタの肉だよ?」
「え!?」
そういって驚いた状態でフィロさんが固まってしまった。
読んでいただきありがとうございます。
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