第22話


「明日もダンジョンに行くんだからもう解散にして、明日に備えた方が良いんじゃ無いですか?」


夕食が終わり精霊界にはどんな場所があるのか、色々質問されながら答えていたのだが、

流石、みんな聞き上手なのでこちらも楽しくなって結構な時間話していたらしい。

これ以上は明日のダンジョン探索に影響が出ますよと止められてしまった。


「俺が話しすぎたみたい。ダンジョン探索で疲れているだろうに申し訳ございません」


「気にしないでください。私達も普通じゃ聴けないお話なので、つい色々と質問してしまいましたから」


「この流れで言うのもなんですが、最後にちょっとお時間頂いても宜しいですか?

ハジメくんに確認しておきたいことがあって」


「俺にですか?個別にってことですか?」


「ほかの人達にも関係する事だから、聞いといて欲しいかな」


追加で時間を取らせることになってしますから、申し訳ない気持ちは有るけど今、聞いておかないとタイミング無さそうだし。


「ハジメくん。もし、日本に帰れるとしたら日本に帰りたい?」


「カルボナーラの時の反応を見てですか?

質問を質問で返すことになってしまうんですが、帰ろうと思えば帰れるんですか?」


「そこら辺フェムトと2人っきりで1度話したことが有るんだけど、可能だって。

異世界の神、討伐の報酬として許可がでるって俺は言われたから、ハジメくんも活躍すれば帰れると思うよ」


談話室にいた俺以外に人が全員難しい顔をしている。

フィア達に関しては、自分たちは関係ないって思ってたろうから、更にダメージが大きそう。

俺は帰らないってすぐに言っておくべきだな。


「先に言っておくと俺は帰らないからね?

皆のいない生活とか考えられないし。だからこそ今のタイミングでハジメくんに聞いているだけど」


ハジメくんはまだ婚約とかもして無いはずだし、両思いなんだろうけど。


「俺も帰りませんよ。そもそも修学旅行のバスが事故って地球では既に死んでますし。

レイラ、フィロ、ネロがいない生活なんて嫌です。今回強くなりたいのだって、3人との結婚を認めてもらう為にって言うのが理由なので。でも、将来的に両親に可愛いお嫁が出来ましたって報告はしたいですね」


ハジメくんに名前を呼ばれた3人顔を真っ赤にしてる。

これ以上余計なお節介は必要無さそう。


「現地の人に接触するのが許されるかは分からないけど、地球に新婚旅行に行くのは可能だよ。実際、フェムトと話してたのもそういう内容だし。詳しい話は異世界の神を倒してからだね」



ここ迄、話して今日は解散になった。


ー次の日ー


昨日の予定どうり、ダンジョンに来ているんだけど、朝イチではなく既に昼過ぎだ。

どうしてそうなったのかはご想像にお任せします。

1つ言えるのが、ハジメくんが凄い疲れた顔をしていて、ほかの3人は何故かツヤツヤして絶好調って感じになってる。


後々、問題にならない?ってマルタにこっそり質問したけど、おとぎ話にしか出てこない

種族進化をハジメくんがしてるから問題ないそうです。

ただ、念の為コウさんが祝福しているって分かるようにしておいた方が面倒は少ないかも知れませんねと言われた。

俺が焚きつけた部分もあるし、なにか考えといた方が良いだろう。



「ハジメくんやっぱり今日はダンジョン潜るのやめとく?」


「大丈夫です。ですが、なるべく戦闘は休ませてください」


「ハジメくんがそういうなら、それで進もうか。じゃあ転移魔法でショートカットしようって思ったんだけど、あれはカラードラゴン?結構、湧く頻度が高いんだね」


1層でもカラードラゴンが出現するようになったとは聞いていたけど、もっとレアキャラ的な感じだと思ってたけど。


「倒しに行くんですか?」


「レイラさん達次第かな。どうしますか?」


「わざわざここで倒さなくても、下に行けば嫌になるくらい戦うと思うので下に行くのを優先したいです」


「成程、分かりました。丁度戦闘を始めた冒険者がいるみたいですし俺らは下に進みましょうか」


話している間にカラードラゴンに向かって魔法や弓矢が大量に飛んでいって、カラードラゴンがお返しとばかりに地面に向かってブレスで攻撃していた。


いくつかのパーティーが協力して討伐しようとしているみたいだ。


ドラゴンの中でいちばん弱いカラードラゴンだけど、ドラゴンはドラゴンなので売れない部位は存在しないし、大人数で倒してもそれなりの稼ぎになるのかもしれない。

今のところは冒険者達が押してるみたいだから特に何もせず、4層まで移動した。


「海を攻略したら今度は砂漠。本当に難易度の高いダンジョンですね」


4層に降りると1面の砂砂漠が広がっている。

岩石砂漠や礫砂漠じゃなくて砂砂漠というのもだいぶ厄介だ。

文字通り地面が細かい砂なので、歩くだけでも体力を消耗させられる。

同然のように気温が高くてそれもきついし。


気温は俺が調整するから問題ないけど、4層は俺も今回で2回目だし、前回はすぐ引き返したので、次の階層に降りる階段まで転移も出来ない。


フィアの重力魔法で皆を浮かして飛んで移動するのが良いかなと考えていると、砂の中を移動してこちらに向かってくる魔物の反応があった。


「砂の中から魔物が出てくる!みんな注意して」



読んでいただきありがとうございます。






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