第20話

「それにしても今日は厄日だった。これも勇者補正?」


勇者の行くところは何かしらのイベントが起きる的な。


「いやいや、普段はこんな事無いですから、コウさんがトラブル誘引体質なんじゃないですか?」


「2人が合わさった結果だと思うぞ」


「相乗効果ってやつですね。私もそう思います」


「「ぐふぅ」」


談話室で立て続けにトラブルに見舞われたので、ハジメくんとどっちがトラブルを引き寄せてるのか押し付けあって遊んでいたら、

「どちらも引き寄せている」と女性陣に言われてしまった。


「なにかするには微妙な時間だよね」


「そうなんですよね〜。夕食まで少しだけ時間がありますし、だからと言って今から街を散歩するって言うのもアレですし。コウさんトランプとかリバーシ作って無いんですか」


「そういう、娯楽用品みたいのは作ってないな〜。ハジメくんが作れば?フィロさんもいるんだし、リバーシとか簡単に作れるんじゃない?個人的にはUNOが欲しい」


俺には、ものづくりの才能が無いし。

プロの錬金術師が仲間にいるハジメくんが作ればいいと思うんだ。

まぁ、俺もフェムトに頼めば1発なんだろうけど、フェムトに頼んでまで欲しいかって言われるとそうでも無いから。


「それもそうですね。今度フィロに頼んで見よう」


フィロさんは今、ディアーネさんが最高の包丁を作ろうとしてる時に金属に特定の素材を混ぜると金属の性能が上がるという偶然見つけた技術を教わってる。


そのため、今は談話室にいない。


「コウ様基本は教えこんで、あとは自分で感覚を掴むだけの所まで上達したので私は先に帰ってきました。夕食の準備を始めますが、今日はコウ様も何品か担当しますか?」


ちなみに、完成してから1度も来てなかった

フロンの屋敷は使用人を雇ってしっかり管理されていた。

しかし、料理人は雇って無かったのでどうしてって聞いたら。

ディアーネさんが専属料理人みたいなものだから、要らないでしょう?という事らしい。

一応、ディアーネさんはフェムトの専属料理人なんだけど・・・基本、俺たちと一緒にいるしそれで良いかってなった。


「どうしよっかな〜。ダンジョンにいる時はカジキのソテー作ろうかなって思ってたけど、屋敷でくつろいじゃったから、今から解体して調理する気になれないし今日はディアーネさんにぜn・・・分かった何かしら作るから皆そんな顔しないで」


今日は何も作らないって言ったら皆が凄いガッカリした顔するんだもん。

しょうが無い何か作るか。


「それで、何作るか決まりましたか?」


簡単に出来るもの・・・サイダー味のカラーゼリーフィッシュを使ってデザート作ろうかな。


「簡単なデザートを作ることにしたから、後はディアーネさんお願い」


「分かりました」


「カラーゼリーフィッシュがゼラチンみたいに使えなかったら、別のを考えなきゃ行けないけど、まぁ行けるでしょう」


まずはカラーゼリーフィッシュを湯煎で溶かしながら、ゼリーの中に入れる果物を用意する。


今回はイチゴと海ぶどう(白、黒両方)あとマンゴーを入れたものを作る。


イチゴのヘタをとってカットしたり、黒の方の海ぶどうの皮を剥いたりしていると、

カラーゼリーフィッシュが完全に溶けて液体になっていた。


液体になったカラーゼリーフィッシュに砂糖を混ぜて混ざったら絞ったレモン汁を加えて更に混ぜる。


最後に用意した果物を入れて、グラスに入れたら、冷やして固まるのを待てば完成。


「よし、後は固まってくれるのを願うのみ、一応パイナップルとかキュウイは入れなかったけど」


ゼラチンはタンパク質分解酵素を持っているパイナップルとかキュウイみたいな果物が入っていると固まらないから、一応入れなかったんだけど、ゼラチンに似ているだけだから

そもそもこれじゃ固まらないとかも有り得るんだよな〜。


「もう終わったんですか?こっちはもう少し時間が掛かりそうなんで、そしたらこちらを手伝ってください」


「分かった。何作ればいい?」


終わったから談話室でダラダラしてようと思ったけど逃げられなかった。


「コウさんちょっと良いですか?」


丁度いいタイミングでマルタが!

良い感じに談話室に行けるのでは!


「どうしたの?マルタ」


「今まで、どんな料理があったのか話してたら、レイラが異様にパスタに食いついて、ハジメさんもカルボナーラが食べたいって言ってるんですけど、今から出来ますか?」


残念、料理のお願いだった。

今日はトラブルばっかでやる気がなかったけど、仕方ない料理するしかないだろう。


「コウ様が出来るなら私は大丈夫ですよ。

今、ステーキとスープ作っているところですし」


ディアーネさんがメニューが決まってるから

無理って言ってくれる訳もなく当然のごとく承諾。

というかカルボナーラが気になったんだろう。

パスタは色んなソースがあるって言ったのに、まだペペロンチーノしか作ってないから。


「まぁ、生クリームを使わないカルボナーラなら作れるから、それを作るよ」


「お願いします。そう伝えて来ますね」


カルボナーラの材料を集めて準備を始めるコウだった。




読んでいただきありがとうございます。




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