第19話
「動かないんで話を聞いて貰えませんかね?」
弓を構えているエルフ落ち着いてくれないかな〜と手を上に上げながら話しかける。
「お前たちはどこから来た。この島には俺らしか居なかった筈だ。人に擬態した魔物か」
ダンジョンの中だし警戒するのは当たり前だよね。
しかも普通じゃたどり着けない場所だと尚更。
この人たちは強化クラーケンの注意を引いている大鷲に乗ってきたんだろう。
「ここのクラーケンは1度倒してるからね、それに加えて俺が転移魔法を使えるから、4層に行こうと思ってここに直接転移してきた訳。正直、俺たち以外の冒険者がここまで来れると思ってなかった」
「それを証明する方法は?」
「動いていいなら、今すぐクラーケンを倒してるあげる」
「なら、お前だけ自由に動くことを許す。
もし変な動きをしたら他のやつは殺す」
このぐらいの警戒が必要なのはわからなくも
無いけど、ちょっとムカつく。
腹いせにクラーケンを素材として使えないようにしてやろう。
「コキュートス!」
普段、魔法を使う時に技名なんて言わないけど、あのエルフこっちがなんの宣言も無しに魔法使ったら、なんか文句言ってくるかも知れないし、今から魔法使いますよ〜という意味を込めて技名を叫んだ。
効果は歴然、島や周辺海域は全て氷漬けになっている。
このままクラーケンを粉々に粉砕してもいいけど、どうしよう?最初はそうするつもりだったけど、ネチネチ言われるのやだな〜
相手の出方次第?
「化け物!」
アイツ魔法の規模を見てびびったのか、フィア達に向かって構えていた弓を打ちやがった。
勿論、その程度の攻撃で怪我する人なんていないんだけど、フィア達を攻撃したと言う事実は消えない
アイツは殺す。
「てめぇ、ふざけやがって死にたいらしいな?」
ちょっと殺気が漏れちゃったかな?
エルフの男は泡吹いて気絶してしまった。
「コウ、一旦落ち着け。取り敢えず、こいつの仲間と話し合うべきだろう」
「フィアが言うなら仕方ない。もうこっちに来てるみたいだし」
これ以上面倒事になってくれるなよと思いながら人が乗った大鷲がこちらにつくのを待った。
「人間?だよな?ひとまず、今の現状を俺たちに分かるように説明して欲しいんだが」
大鷲に乗っていたのは4人で全員が臨戦態勢だった。
味方ひとりが泡吹い気絶してるんだから警戒もするだろう。
「俺とフィアはクラーケンを倒して4層に行ったことあるし、わざわざクラーケンを倒そうとする冒険者はまだ居ないと思ってたんだよ。だから転移魔法で一気にここ迄転移したんだけど、予想外の先客がいた訳。
これは俺の配慮不足だなと俺も思ったから、そこで泡吹いてるエルフの指示に従ってた訳なんだけど、言ってることが本当か証明しろって言われたから、じゃあクラーケン一瞬で倒してあげるって言ったら、やれるもんならやってみろって言われたから、クラーケンがああなってる」
「うん・・・納得は出来るかは微妙だが言いたいことは分かった。で、ガラクはそれを見て泡吹い気絶したと?」
「違うよ。俺の魔法を見て、化け物って言って、攻撃してきたから、ふざけるなよ?って殺気を放ったから、気絶した。しかも魔法を使った俺じゃなくてフィア達の方に攻撃してきたんだぞ?」
地面に落ちている弓矢を指さしながら、男に説明する。
「その弓矢がガラクが放った物という証拠がない。正直、俺達の功績を横取りしようとしてる奴らにしか見えない」
はぁ〜だる。なんなんこいつら、もう全員ぶっ殺せば良くね?
ダンジョンに吸収されて死体も残らないだろうし。
「待って、待ってください。お前らすぐに謝れ!この人たちは敵対しちゃだめだ!」
なんか森の中からダッシュでひとり追加が来たな。
「お前らと違って俺はずっとフロンで冒険者をやってるから分かる。そのお方はフィア様とコウ様だ!3層を攻略して情報も提供した人達だぞ!お前ら武器を下ろせ」
「まぁ、ここまで来れる冒険者いないだろって一気にここに転移した俺のミスなのは認めてるし、クラーケンも要らないから全部貴方たちが持って帰ってくれて構いません。
あ〜紛らわしいことした謝罪に誠意を見せた方が良いですか?ならこのクラーケン好きに持っていってください」
収納魔法に万単位で収納されてるクラーケンを10匹海に投げ捨てた。
精霊界でレベル上げのために倒したクラーケンだけどこう見るとでかいんだな。
この島を守ってたクラーケンの倍はある。
「そのクラーケンは必要ない。こちらの要求は途上まで一緒に戻り、冒険者ギルドで、本当に3層の攻略をして、情報を公開した人物か確認をとることだ」
「あっそ、じゃあ早く冒険者ギルドに行くぞ。あぁ島を守ってたクラーケンは俺が収納魔法で持って行ってあげるから。って言うことだからハジメくん今日のダンジョンアタックはここ迄だわ、明日朝イチでここから再スタートするからそれで許して」
「まぁ、仕方ないですよ。明日ここから再スタート出来るなら、寧ろちゃんとしたベットで寝れるぶんプラスじゃないですか?」
「悪いね。じゃあ冒険者ギルドに転移しま〜す」
「成程、それで冒険者ギルドに直接転移してきた訳ですか。この方たちは3層を攻略して情報も開示していただいた。
コウ・アポストロス様と
オフィーリア・コラーソ様で間違いないですよ」
「確認は終わったね。こちらのミスが原因だし、謝罪を込めてあの人達の討伐したクラーケン丸ごと1匹俺が運んできてるんだけど、解体所に持っていけばいい?素材は全部あの人たちのね」
「分かりました。では、解体所にご案内致しますね。それと、今回どう言った事があったのか正確に伝わるよう努めさせていただきます。まぁその必要も無さそうですが・・・」
まぁ、聞いてた冒険者はいっぱい居たし、変な噂が流されることは多分無いだろう。
もし、そうなったらその時考えよう。
クラーケンを解体所に置いて、今日何処に泊まる?コラーソ公爵邸?って話になったんだけど、そう言えば、俺の屋敷、完成している筈だよね。となり、俺の屋敷に泊まる事になった。
読んでいただきありがとうございます。
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