第16話
「ただいま〜」
2層からおりてきてすぐの島に戻ってくると、ハジメくん達は既に目を覚まして、襲撃してくる魔物達と戦っていた。
30cmぐらいのトビウオみたいな魔物がひっきりなしにハジメくん達に向かって飛んできている。
単体としては対して強くないけど、数で圧倒するタイプかな。
「おっと」
こっちにも数匹飛んできたので魔法で迎撃した。
「思ったより凶悪な胸びれしてるな」
俺がトビウオだと思った理由の大きく発達した胸びれ。倒したトビウオの胸びれの部分を確認すると、刃が付いていて鉄にも傷をつけれそうな感じ。
「しかも風属性の魔法で更に切れ味を上げてるっぽい」
ハジメくんに突っ込んでいく、生きてるトビウオを観察していると胸びれに風属性の魔法を使って更に切れ味を上げているのも確認出来た。
「あの状態なら普通の鉄は簡単に切り裂いて来るだろうな」
まぁハジメくん達の防具は鉄なんかよりもっといい素材を使ったものだから、もし被弾しても大した怪我は死にと思うけどね。
「おかえりコウ。海中に何か面白いものはあったか?」
「今のところは、光るサンゴがいっぱいあったぐらいかな?ほら、これもう光ってないけど」
採集したあとも光ってたら便利だな〜って思ってたけど、収納魔法から取り出したただのサンゴになっていた。
「綺麗な赤色をしたサンゴだな、その状態でも装飾品として価値が有りそうだ」
確かに赤珊瑚そっくりだから、人気でるかもって思ってたけど、フィアがそう言うなら確実に人気になるだろう。
ここはダンジョンだから極端な話、赤珊瑚を
取り尽くしても、期間を空ければまた採れるようになるだろうし。
今回は先端部分を少し折って持ってきたけど、丸ごと回収したらそのまま美術品として使えたりもするかな?
地球ならそうだったけど、こっちの世界の人がどう思うか次第かな。
「まだトビウオは飛んでくるのか。一体何匹いるんだよ」
また数匹トビウオがこちらに飛んできたので魔法で迎撃する。
「流石にハジメくん達疲れてきてそうだね。水面に氷を張って蓋しちゃおう」
そう言って周辺の海面に氷を張ってトビウオが飛んで来れないようにした。
「あ〜疲れた。凄いガンガン言ってますけど、これ氷が割れてまたトビウオが飛んで来るとか無いですよね」
氷で蓋をしてもトビウオ達は諦めておらず、氷に突撃してさっきからガンガン凄い音をたてている。
「かなり適当にやったから、あのまま放置してたら10分ぐらいで割れるかな?
あれより力が強い魔物が来たら一瞬で割れると思うよ」
「なんでそんな中途半端な感じにしちゃったんですか!?どうせならもっと丈夫に―」
ハジメくんが喋っている途中でクロカジキのような魔物が氷を砕いて突っ込んできた。
「丁度いい今日の晩ご飯はこのカジキを使ってムニエルを作ろう」
突っ込んできたクロカジキみたいな魔物を氷漬けにしてそのまま収納魔法にしまった。
「ハジメくんの言った通り氷をもっと丈夫にしておこう」
そう言ってただ氷で蓋をするだけでなく、ある程度の深さまで一気に海を凍らせた。
「うん、これで海からは当分魔物は襲ってこないでしょう」
「コウさんを見てると、俺って必要?って気持ちになってきます」
「ただ強いだけが勇者の役割じゃ無いでしょ?それに人間基準だったらもうじゅうぶん強いと思うよ。そんな事より、採集して来たサンゴ、クロカジキが飛び出てきた時の水しぶきがかかったらまた光出したんだよね。もしかして海水に触れている間光るってことかな?」
「俺の悩み、光るサンゴ以下ですか!?」
「まず、精霊王様と実力を比べようっているのが間違いよハジメ」
「そうですよ。私たちエルフからしたら神と同じように信仰されているお方です。
実力を比べるようなお方では無いですよ」
なんだろう?褒められてるのとはなんか違う気がする。
「ところで精霊王様そのサンゴは今回の海中探索で手に入れたのですよね?少し見せて貰えませんか?」
「別に海底に行けば沢山取れるから、これぐらいあげるよ?」
「本当にですか!?新しい素材だったので錬金術に使えないかなって気になったんです。ありがとうございます」
「せっかくだし、皆で海底行ってみる?
景色も綺麗だったよ。熱帯魚もいっぱいいて可愛かったし」
「コウさん完全に遠足気分ですよね?」
ぶっちゃけ否定できない。
「油断はしてないから大丈夫、ギリギリセー
フ」
「ダメとは言ってませんよ?でも、コウさんからしたら、このダンジョンもその程度の難易度しかないんだなって思っただけで」
「まぁ、精霊界にいる時にもっとやばい魔物を倒したりしてたし。それより海底は攻撃的な魔物が居なかったから休憩も出来るし、せっかくのダンジョンだからモンスターと戦うだけじゃなくて、採集するのもいいと思うよ」
もう既に海底に行く気満々の女性陣の方を見ながら、ハジメくんに小声で流石にやっぱりやめようって言える雰囲気じゃ無いから諦めてと言う。
「確かにこれは無理ですね…」
今回ダンジョンに一緒に潜っているメンバー全員を海底へと転移させた。
読んでいただきありがとうございます。
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