第14話

「ハジメくん準備運動はバッチリ?それともまだほかの魔物で準備運動する?」


討伐した巨大なアリゲーターを収納して近ずいて来たハジメくんに質問する。


「そうですね。今の魔物を倒しただけでLvもちょっと上がりましたし、もうちょっとここでレベル上げしてから行きたいな〜と思ってるんですが、幸い探さなくても魔物の方から来てくれるみたいですし」


足が生えて四足歩行で歩いてこちらに向かってくるサメに指を指しながらハジメくんがそう言った。

さっきの魔物倒しただけでレベルが上がるって、エステルさんどんだけ成長倍率弄ってるんだろう。

狡い!俺なんてこのフロアの魔物全滅させる勢いで倒してようやくレベルが1上がる感じだったのに。

勇者ってやっぱりずるいな〜

(言ってる本人もフェムトに大量の経験値を持った魔物を作って貰ってパワーレベリングした)


「そっかー。じゃあ俺たちはちょっと散歩してくるね。他の島には果物が生えてる場所も有るからそれも採集してくる」


「えっ!?別れて行動ですか?危なくないですか。主に俺たちが」


「さっきのを見てた感じ問題ないと思うよ?この辺りだとさっきの巨大なアリゲーター

より強い魔物もいないみたいだから」


ぶっちゃけ、ずっとハジメくん達の戦闘を見てるって暇だし。


「コウさんがそう言うなら。どのぐらいで帰ってきます?」


「1時間ぐらい?ん?あ〜この感じバハムートか?でもバハムートにしちゃめちゃくちゃ弱い?」


周りの島探索に行こうと思ったら突然さっき迄とは比べ物にならない強さを持った魔物の反応が現れた。

転移を使える魔物なのか?と思ったけどバハムートに似た気配だなと思い。

バハムートって水と同化して気配を消す能力があったな〜と思い出す。

でも、反応がバハムートにしては弱すぎる。


「弱体化させたバハムートとか?」


本来の強さでバハムートを生み出す事が出来なかった迷宮がバハムートを生み出せるところまで性能をダウングレードさせたとか?


「ところでハジメくんは何そんなにビビってんの?」


ハジメくんについて来た人達は皆顔を青くして震えている。


「寧ろ、なんでそんなに余裕そうなんですか?見るからにやばいでしょあれ?」


島ごと飲み込むつもりなのだろうか?


口を大きく開けてそのまま突っ込んでくる。


俺からしたらただ弱点を晒してる愚かなクジラにしか見えないけど。


せっかくのバハムートだし綺麗に倒した方が良いよね?


まずバハムートの周りの海水を凍りつかせて

バハムートの動きを止めた。

逃れようとバハムートが暴れようとしているけど、体はピクリとも動かない。


バハムートの1発で両断できるサイズの氷の刃作りだして、バハムートの頭部を斬り落とした。


「あの程度でビビってるようじゃダメだよ?」


「この程度って精霊王様、バハムートですよね?伝説の魔物ですよ?」


「フィロさん、このバハムートは能力をダウンロードさせた劣化バハムートですよ。

本物のバハムートは子供でもこれの100倍以上のサイズがあります」


やっぱりバハムートにしては弱すぎる、サイズも全長で1kmぐらいしかないし。


「そこまでなんですか…」


「勇者達は1度も巨大な魔物への耐性をつけてもらった方が良いかもしれないですね。

コウさん、1度人化をといても良いですか?」


イスカのリバイアサン姿は刺激が強すぎるんじゃないかな?

劣化バハムートであれだからな〜


「リバイアサンはまだ刺激が強すぎるんじゃ無いかな?」


「1度、私のリバイアサンの姿を見れば驚くことが無くなると思いません?」


イスカを見た後なら、どんな魔物でも弱く感じるだろうけど、荒治療過ぎる。

まぁ時間が勿体ないし、良いか。


「分かったイスカ、人化の解除を許可する」


「いや〜正直、私がリバイアサンの姿で泳ぎ回れそうな海を見てテンション上がっちゃってて、リバイアサンの姿で泳ぎ回りたいな〜って思ってたんです」


それが理由だったのね。


「待ってください!コウさん今から一体何が始まるんですか?」


「見てればわかるよ」


イスカが海の中へと歩いて入っていった。

直後、海の中が光ったと思うと見えているのは頭部だけだがそれでも劣化バハムートより巨大なリバイアサンが現れた。


「イスカお姉ちゃん凄い!」


そう言えばルージュはリバイアサンの状態のイスカを見たこと無かったけ?


ルージュがイスカの周りを飛び回っている。


普通のバハムートは子供でも、イスカより大きいんだから、劣化バハムートがどれだけ弱体化させられているのかよく分かる。

でかけりゃ強いって訳じゃ無いけど、バハムートはデカさを利用して戦ったりする魔物だからね。


ハジメくん達はどうなってるかな?

と振り向いてみると、全員立ったまま気絶していた。


「私の姿を見ただけで気絶するなんてまだまだですね」


「そうだね。俺は初手でブレス攻撃されたもんね」



「もうその話しはやめてください!黒歴史確定なんですから」



勿論、こういう機会がある度にいじってやろうと思うコウだった。



読んでいただきありがとうございます。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る