第9話
「ほんとですか!じゃあ今すぐ行きましょう」
「それは無理。さっき収納魔法にストックしていた殆どの料理をマギにあげちゃったから。今日はこれからディアーネさんにお願いして、ストックする料理作りまくって貰うからから、ダンジョンは明日ね」
今更、マギに料理返してって言い難い。
だって凄い嬉しそうな顔してたし、少なくとも俺にはそんな事はできない。
「えーっと、ほんとにそんな理由で明日から?」
食事ってめちゃくちゃ大事だと思うんだ。
しかも、野営する必要があるダンジョンなら
尚更。
それにテントとかそう言う野営道具、
俺何一つ持ってないから、それの準備も必要だから結局、今日今からって言うのはちょっと難しい。
「テントとかも持ってないから今日今からって言うのは難しい。日帰りじゃなくて何日かダンジョンにこもるでしょう?それに俺が爆速でキャリーするから、一日ぐらい大丈夫だよ」
行こうと思っているフロンダンジョンなら
Sランクの魔物がいる階層まで半日もかからずに連れて行けるからと説明して納得してもらった。
「じゃあ俺は明日、朝一でここに来ますね!」
「了解。ダンジョン行くことちゃんと陛下に報告しといてね」
突然、俺らがいなくなったら大事になりそうだし、だからと言って俺が報告に行くとそれも大事になりそうだ。
よってハジメくんに任せる。
「分かりました。報告、連絡、相談大事ですもんね。後、テントとか見に行くならオススメのお店があるんですよ。裏道の分かりにくいところに有るんですけど、腕のいい錬金術師が直接営業しているから品ぞろえがとても良いですよ」
ハジメくんがそう言うならそこに行ってみようかな。
ハジメくんを見送り、ディアーネさんに料理を大量に作って貰うように頼んだ後、フィア達にテント買いに行くけど一緒に来る?って聞いたら皆行くって答えたので、馬車でハジメくんに聞いた錬金術師のお店に向かった。
裏道に有るらしいから、馬車で行けるのは途中までだけど。
少し歩いてハジメくんの言ってた場所に着いたけど、お店じゃなくて普通の家じゃない?
これ入っていいの?って並んでいると、ドアが開いて中からエルフが出てきた。
「えーっと、私に何か御用ですか?」
おっと家の前で大人数で立ってたらそりゃ怪しいよね。ドラゴンもいるし…。
「勇者のハジメくんからここで腕の良い錬金術師がお店をやっているって聞いて来たら、どうやら普通の民家だったので」
「ハジメの紹介?確かに私は錬金術師だけど基本、魔道具は他のお店に納品するだけで直接販売相手ないんだけど…しょうが無い。
中に入ってくれ、どんな物を買いに来たんだ?」
エルフが話を聞いてくれるらしいので民家の中へ入った。外からみるより中は結構しっかりしている。
「ちょっとテントを買いに来たんですけど」
「それなら、空間拡張や温度調節機能がついてるやつが丁度あるぞ、その分高いが兄さん金持ってそうだし」
出来るだけ快適に寝れた方が良いし、高くてもそれを買おう、お金ならいっぱい持ってるし。
「…もしかして、フィロ?なんでこんなところで錬金術師を?」
それを買うと返事しようとしたら、フィアが先に話しかけた。どうやら知り合いっぽい。
「なんで私の名前をってもしかしてオフィーリアか?髪の色が変わった?いや、増えた?から、すぐに気づかなかったけど」
どうやらそっくりさんじゃ無くて知り合い本人みたいだ
「コウ、紹介しておく。彼女はフィロ。
エルフの国の第1王女なのだが…何故こんなところに?」
めっちゃ大物じゃないか。
「なんだって良いだろう。
ちゃんとお母様に許可はとってる。私がきっかけでリンファスと外交問題になったりしないから安心しなさい」
「…もしかしてハジメくんを追っかけてきたの?」
ハジメくんと仲良さそうな感じだったし、ハジメくん以外には錬金術で作ったものを直接販売してないみたいだし。
「だったらなんだっていうの?と言うか貴方誰よ!」
「失礼いたしました。ハジメくんと同じ日本人で、今はフィアの旦那のコウと言います」
「オフィーリアほんとに結婚してたのね?
正直、冗談かと思ってたんだけど、それに相手は水の精霊王って……」
フィアの方を向いていたフィロさんが恐る恐るという感じでこちらを向いた。
これ、どうするのが正解なんだ?
そう考えていると、フィアに
「彼女は王族だ今、正直に言わなくても確実にコウの情報は伝わる。今、正直に教えておいた方が大事にならないぞ」と言われた。
フィアがそう言うならそうなんだろう。
俺が水の精霊王って信じて貰うには精霊化を使うのが1番だとつい先日学んだ。
だから今回も精霊化をしたのだが……。
「大変申し訳ございませんでした」
女性に土下座させる趣味は無いんだけど…。
「別に怒ってないですから、早く顔をあげてください。フィロさんに土下座させたなんてハジメくんに知られたら何を言われるか分かりませんし…」
テントとか野営道具を買うだけの筈だったんだけどな〜。
読んでいただきありがとうございます。
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