第8話
アルトさんが連れてきてくれた怪我をしている使用人は何人かいるので、その人たちもマルタが詠唱魔法化した水属性の回復魔法で治療して1つ分かった事があった。
この詠唱魔法だと怪我して1週間ぐらいたっている傷は治せなかった。
俺が無詠唱で同じ水属性の回復魔法を作ったら治せたので詠唱魔法化した影響みたい。
まぁ、1週間までなら治せるならじゅうぶんだと思うけどね。
「コウ、勇者が何だかお願いが有るみたいだぞ」
身体強化を無詠唱で使えないか1人で色々やってた筈のフィアがハジメくんを連れて屋敷の中から出てきた。
ハジメくんが尋ねて来てたのを出迎えてくれていたらしい。
「マギの要件はこれで終わりで大丈夫?」
「あぁ、身体強化も回復魔法も問題なく詠唱魔法化できてたし、半球ドームの中に人が入れるようにエステルとアミュレットを作らないといけないから私は帰るから、勇者の相手をしてあげな」
なんとなく、エステルさんとマギが一睡もせずに延々とアミュレットを作っている姿を想像してしまった。
本人達は神だからそれでも疲れたりしないだろうけど、すっげブラック。
なにか俺に出来ること……。
そう言えば、マギが久しぶりに食事したけど
美味しいって言ってたな。
収納魔法に入ってるご飯やお菓子あげれば、途中に食べたりして気分転換になるかな?
「マギ、収納魔法にさっきの水の精霊が作った料理をストックしてあるんだけど要る?」
「是非、頼む!」
マギが凄い真剣な顔でそう言った。
相当、気に入ったみたいだな。
俺はまたディアーネさんに作ってもらえばいいやと思ったので、収納魔法にストックしていた料理をほとんどマギに渡した。
予想通りマギも収納魔法も使えたので、いつでもできたてを食べれるだろう。
「お〜こんなにいっぱい。代金は今度来た時になにか持ってくる。じゃあな」
マギはそう言って転移で帰った。
次はハジメくんだね。一体お願いってなんだろう?
「待たせちゃってごめんね?立ったまま話すのもなんだし部屋に移動して話そうか」
ハジメくんを客間まで案内した。
「直ぐにお茶を持ってきてくれると思うからちょっと座って待ってて」
そう言って座った瞬間、失礼致しますと言って、ディアーネさんが入ってきてお茶を置いて退出して行った。
すぐ過ぎるだろう。確かに準備する時間は沢山あったと思うけど。
「えっとお願いが有るって言ってたけど、一体どんなお願い?内容にもよるけど、同じ日本人だし、できるだけ力になるよ?」
勇者だからってイキったりしないいい子だし。
「俺、もっと強くなりたいんです。それの手伝いをして頂けたらなぁ〜と」
「良いよ。何手伝えば良いの?」
流れ的にはどうしてそこまで強くなりたい?
とか聞かなきゃいけないんだろうけど。
面倒臭いし、そう言う会話はカット。
その力で間違った事をしようとしたら、責任取って俺がハジメくんを殺せばいいだけの話だし。
「なんかこう言うのは、もっと強くなりたい理由を聞いたりとかする流れじゃ無いんですか?いや、手伝ってくれるのは嬉しいですけど」
「強くなって悪いことしようとしたら、責任を持ってハジメくんを殺すだけだから、わざわざ聞く必要はないかな〜って」
「ははっそう言うことですか…そうならないように気をつけます」
ハジメくんがなんとも言えない表情をしているけど、今の状態でも人間界でじゅうぶんトップレベルの実力を持っている今より強くなったら、人間界でハジメくんに抵抗できる人いなくなっちゃうし、脅して釘を刺しておかないと。
「で、ハジメくんはどうやって強くなるつもり?」
「ダンジョンでレベル上げが出来ればな〜と俺1人だと日帰り出来る深さまでしか行けなかったので、一緒にダンジョンに潜って貰えたらなと」
「種族進化してるんでしょ?それならそれなりのレベルになってるんじゃないの?」
「それについては、私が説明します。
ハジメは精霊王様の奥さんと違って自力で種族進化したんじゃなくて、エステル様が
神様パワー的なもので無理やり種族進化させたのでレベルは30程度で低いです。
種族進化してからあまり戦闘もできてないから身体能力を生かしきれていません」
だからダンジョンか。ダンジョンなら手っ取り早くレベル上げと強敵との戦闘経験も積める、それなら出来るだけ難易度が高いダンジョンが良いだろう。
フロンダンジョンが丁度いいかな?
と言ううか俺、フロンダンジョンしか知らないし。
今、王都から居なくなるのもどうかなって思うけど、なにかあったら連絡用の魔道具で連絡を入れて貰えばいいか。しまったな、こんな事ならマギにアミュレットを作るのはどれぐらい時間がかかるか聞いておけばよかった。それによってダンジョンの移動をハジメくんに合わせるか、ダンジョン内を飛び回って敵のいるところにハジメくんをキャリーするか決めれたんだけど。
ハジメくんに決めてもらうか。
「分かった。ダンジョンにレベル上げしに行こうか」
読んでいただきありがとうございます。
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