第6話

「じゃあ身体強化の詠唱を教えるぞ〜。

[水よ我に纏いて更なる力を与えよ]これが詠唱だな」


思ったより短くて詠唱しやすい呪文だった。

一応詠唱魔法って魔法の規模が大きくなるほど長くて時間がかかるから、身体強化もそうかな?って思ってたんだけど。


「結構短いんだね。呪文」


「この身体強化の魔法はやっている事は高度な事だが、魔力の消費量と規模的には大した事ないからな。だから魔法の効果の割に短い詠唱ですんだ」


身体能力を倍にするっていう中々の効果だけど、大規模な攻撃魔法に比べたら魔力の消費は当然少ないし、魔法の効果だって術者1人に適応されればいいから、規模も最小限。

だから短い詠唱で発動出来るのか。


「身体強化は詠唱魔法でも思ったより使いやすそうかもね。身体強化が切れる瞬間は気をつけ無いと危ないかもしれないけど」


詠唱魔法だと1分で身体強化が切れてしまう。

対人戦だとそれがバレているので1分間しのいで身体強化が切れた瞬間を狙われるとかありそうだし。

威力や効果が固定されてる詠唱魔法の弱点とも言えるのか?


「それは魔法を使う本人が気をつけるしかないな。身体強化が切れた瞬間の対処を重点的に練習するとか。もしくは身体強化を使った状態じゃ無いと全く戦えない敵とは出来るだけ戦わないようにするとか。それより早く身体強化を使ってるところを見せてくれ。考察は身体強化を使った後でも問題ないだろう」


マギはどうやら早く身体強化を使っているところが見たいみたいで、話してないで早く身体強化を使えと言われてしまった。

なにか不具合があったら修正したりも有るだろうし、実際に使って見なきゃ分からないことだって有るだろうから、確かにいつまでも

考察をしてないで実際に使って見るべきか。


「じゃあ身体強化は私がやってみよう」


そうなるだろうなとは思ってたけど 、フィアが1番に立候補した。


「身体強化した後、最初っから全力で動こうとしちゃダメだよ」


身体能力が倍になるって便利ではあるけど、

感覚が大きく変わるだろうから、普通に歩こうとして転けたりしないかちょっと心配。



「分かった。無駄に怪我したく無いしな。

じゃあ行くぞ?[水よ我に纏いて更なる力を与えよ]おおっ!」


フィアが呪文を詠唱した途端フィアから青いオーラのようなものが出ている。

俺が身体強化を使った時と同じ感じだ、ちゃんと成功しているっぽい?


「問題なく発動してるな。ちょっと動いたりしてくれるか?」


マギの指示で歩いたりジャンプしたりしている。


「よし、問題なさそうだな。最後に1分立たなくても解除しようと思えば出来るようにしてるから、それも試して見てくれ」


フィアから出ていた水色のオーラが霧散して消えた。

身体強化を解除したと言うことだろう。


「よし、これも大丈夫そうだ。身体強化の魔法の方は大丈夫そうだな」


マギはそう言って満足そうな顔をしている。

一方フィアはやっぱりダメだったか……もしかしたらと思ったんだが。


「なにか問題でもあった?」


もしかしたら使用者にしか分からない欠点とかあったかもしれない。


「詠唱魔法で身体強化を使ってこんな感覚なのかって、なんとなく分かったから無詠唱で使えないかな?って試したけどダメだった。何度も詠唱魔法で身体強化を使ってイメージをもっと明確に出来るようになれば、使えるのだろうか?」


フィアならサラッと使えるようになっちゃうかも?って思ってたけど、流石にそうは行かなかったみたい。

でも、何かきっかけがあれば簡単に無詠唱で使えるようになりそう。


フィアの方を見ると詠唱魔法で身体強化をして確認しながら体を動かしていた。


「無詠唱で使えるように色々試すのは良いけど、あんまり無理しちゃダメだよ?」


凄い集中しているので聞こえて無いだろうけど、一応声をかけておく。

予想通り返事は帰ってこなかったけど。


「次の回復魔法行こうか。マギ、説明よろしく」


今回の詠唱魔法化に関わってはいるけど、マギに魔法を見せただけで、ほかは全てマギがやっているので説明なんてできるわけが無いのでマギに丸投げする。


「フィアの方を見てるのもなんだか面白そうなんだが…コウがこう言ってるし次の回復魔法に進むか」


「マギがそう言うって事はフィア実はいい線行ってる?」


「あぁかなりいい線言ってると思う。多分、ちょっとすれば無詠唱で身体強化出来るようになるだろう」



流石フィアだな。やっぱりフィアはなんでも出来るな〜。


「それもあるが、コウとフィアは【共鳴】しようとして結果フィアにコウの因子が混じっただろう」


そうなんだよね。分類上もう亜神と言ってもいい俺がいくら1段階進化しているとしても

人間と【共鳴】を使うのは不味かったらしい。直前でフェムトが止めてくれたから、髪に青のメッシュが入ったのと魔法の適正が増えたり、魔力量が増えたり程度ですんだ。

あれ以上進んでたらフィアの魂は消滅していたらしい。

まじで危なかった。


「なにか問題が起きそう?」


「問題っちゃ問題だが、悪いことは起きない。コウの因子がフィアに馴染んで来てるな〜っと思って、魔力の質変わってきてるだろ?」


そう言われてフィアを見てみると、確かに魔力の質が変化して来てる。

フィアの魔力の質がフェムトの言う神の魔力の質に近づいていた。




読んでいただきありがとうございます。



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