決戦、異世界の神

第1話

「エステルさん何が起きてるか教えて貰えますか?」


何か起きてるのはわかるけど、詳しく聞かないとなにか起きてるかさっぱり分からないからね。


「簡単に言うと島を中心として人間界を上書きして新たな世界を創造しようとしています。しかも禁術と同じように今もドンドン広がってます」


それってやばくないですか?もしかして最後

禁術の範囲が縮小していったのは世界を創造

する為に必要なエネルギーとして異世界の神が回収していた?

とにかく止めないと!


「禁術と同じでこれ以上範囲が広がらないようにしてきます」


「待ってください!コウさんが転移出来るポイントは既に異世界の神の上書きによって別物になっています。なので私が一緒に転移します。1人だともしものとき逃げられないでしょう?」


思ってるより異世界の神による世界の上書きとやらの速度が早い。

大人しくエステルさんの世話になろう。


「分かりましたエステルさん。お願いします」


「では1秒も無駄にできない状況なのでもう転移しますね」


そう言って返事をする前にエステルさんによって転移が発動した。


転移した場所では真っ黒い半球状のドームのようなものがこちらに向かってドンドン広がっていた。


「これが世界の上書き……中を確認することは出来なさそうですね」



「そうですね。中も気になりますがまずは広がるのを止めないと人間界が無くなってしまいます。お願い出来ますか?」


そうだった。

禁術と同じように停止の権能を使いこれ以上範囲が広がるの防ぐ。


「停止の権能がすぐに解除される…」


一瞬止めることは出来るが直ぐに権能を解除され、直ぐにドームの範囲が広がり始めてしまう。


「停止と逆行の重ねがけでなんとかなるか?」


停止で範囲を広げのを止めて、逆行で停止の権能が発動した直後に巻き戻し続ける。

これなら停止の権能が解除されそうになっても逆行のおかげでなんとかなるかも?


「禁術の時の数倍辛い。でも、止まった?」


とりあえず何とかなったみたい?

異世界の神が対応してくる可能性もあるけど

今のところは範囲が広がるのは止まっている。


「何とかなったみたいですね。皆さんも心配しているでしょうから、早く帰りましょう。それにここに長くいると異世界の神から攻撃されないとも限りませんし」


「そうですね。エステルさんお願いします」


今、襲われでもしたら全く抵抗できずにやられると思うから直ぐにこの場から離れて欲しい。


「申し訳ありません。遅かったみたいです」


真っ黒な半球状のドームから魔物のようなものが飛び出してきた。


「よく見るとあれはミ=ゴか?」


その魔物は、COCのルルブに書いてあるミ=ゴの絵そっくりだった。


「あれを世に放つ訳にはいかないな」


ミ=ゴが出て来なくなるまで、魔法で氷の槍を飛ばし続け1匹も撃ち漏らす事無く殲滅した。


この世界に変なカルトでも作られたら洒落にならないからなしっかりと殲滅しないと。


「ああやって魔物が出てきちゃうなら、俺ずっとここにいる必要が有るかも」


魔物も出てこれないように出来れば良かったんだけど、今の状態で精一杯だからそれは難しそうだし…ほんとに突入の準備が出来るまでここにいてクトゥルフ神話生物を倒し続ける必要があるかも?


「それは大丈夫だよ。さっきのような魔物が出てこない様に、君の権能の上から結界を私が張ろう」


突然魔女っぽい人が出てきた。めっちゃ美人!

まぁ、人じゃなくて神様だと思うけど魔力の質的に。


「マギじゃないですか!自分の研究室に閉じこもって魔法の研究をしていたはずでは?」


「そうだけど、私が推薦した馬鹿がやらかしただろう?流石にケジメをつけなきゃと思ってね研究室から出てきた。それに彼が使う魔法も気になってたし」


「紹介しますね、この神はマギ。問題を起こした人間界の管理神の前任です。

なので元管理神と言う感じです」


「コウですよろしくお願いします。

えっとなんとお呼びすれば?」


「君なら私のことは呼び捨てで読んでくれて構わない。その代わり私もコウと呼び捨てで呼ばせてもらうが」


「分かった。よろしくマギ」


「ああ、よろしくなコウ」


「それとエステル。私は人間界の管理神にもう1回つく事になったから、同僚としてよろしく」


「マギなら信用できますし、1度人間界の管理神をやっていたから勝手もわかっている筈なので即戦力です。すごい助かります。

マギはさっき言っていた結界を頼みます。私はそろそろ限界そうなコウさんを皆さんのところに運んできます」


そうなんだよね。正直もう体がだるすぎて1度寝たい。多分寝ればなんとかなると思うんだけど。


「戻って来ましたよ。フィアさんコウさんが限界みたいなので支えてあげてください」



「この状態はコウがダメージを受けたからとかでは無いんですね?」


「大丈夫だよフィア、禁術より広がるのを止めるのが辛くて消耗しただけだから。それとハジメくんクトゥルフ神話って知ってる?」


日本人のハジメくんには確認を取っておくべきだろう。俺もルルブを読んだり、セッションをしたりした事があるから、それなりに知っているけど、全てを覚えている訳じゃないし、ハジメくんが知っていたら知識の擦り合わせしておいた方がいい。


「友達が好きだからクトゥルフ神話TRPGを何度かしたのでなんとなくは知っていますが、どうして今そんなことを?」


「めっちゃミ=ゴに似た魔物が出てきたから、ちなみに異世界の神はニョグダにそっくり」


それを聞いたハジメくんがまじかよって顔をした。




読んでいただきありがとうございます。

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