第8話
実はまだ白虎の状態で戦うメルを見たことがないのでどんな戦い方をするのかちょっと気になってるんだけど今回は見れなかったな。
まぁ既に体力の限界まで扱かれて、そこで
いきなり全長4.5mもある白虎に変身されたら心が折れるのも分からなくもないから、獣王国の騎士達に根性無しと言うつもりは無いけど。
あっ試合が終わったあとずっと反省会していたハジメくんが帰ってきた。
「お疲れ〜ハジメくん。反省家は終わった?」
「はい終わりました。ってサリーと話してた場所ってここから結構離れてると思うんですけど、聞こえてたんですか!?」
「そりゃもうバッチリと」
「ほら、やっぱり筒抜けだったでしょ?
精霊王を敵に回すなんて馬鹿のする事よ。
早く、そんな馬鹿なことをしていた連中と私たちは無関係ですって言いなさい!」
敵対した馬鹿な連中?
あぁ俺が精霊化を使ってからまるで気配を消すかのように静かになった貴族たちの事かな?
今の俺の場合、精霊化を使っても見た目が精霊っぽくなるぐらいの効果しか無いんだけどね。
貴族って見栄を気にする人達だし見た目が重要だったって事なのかな?
それでも普通に対応してくれる貴族の方が多かったし、中身も見てしっかり見て判断できる人もちゃんといるんだけどね。
「なんでわざわざ俺に言わせるの?
目の前にいるんだから直接言えばいいじゃん」
まぁ俺もそう思う。
「馬鹿言ってんじゃ無いわよ!私が話しかけて怒らせたらどうするのよ。水の精霊って怒らせるといちばん怖いんだから。
いつもはのほほんとしていて滅多に怒らないけど」
「何処を探しても見つからないと思ったら、勇者と契約してたとは…でも、ようやく見つけました、この畑荒らしが!覚悟は出来てるんでしょうね?」
なんの前触れまなくディアーネさんが現れて過去一でブチギレてる。
畑荒らしって言ってたから精霊界にある
ディアーネさんの畑を荒らしたって事かな?
なんて馬鹿なことを……。
そんなのディアーネさんがブチギレない訳が無い。
「あんたがケチケチして果物をくれないのが悪いんじゃない!それに私はもうサリーっていう立派な名前があるんです〜」
「それは欲しいなら代価として働けって言ってるのに働かないから渡さないだけです。
ちゃんと畑を手伝った精霊には渡しています」
話的には光の精霊の方が悪いって断言出来るけど、そもそも多くの精霊たちには労働って概念が無いからな。
ディアーネさんが教えて理解してくれた精霊もいるんだろうけど。
この光の精霊みたいな子も多いんだろうな多分だけど。
「そもそも、自分が使うからって木になってる果物を勝手にとって食べさせないなんて横暴よ!」
あ〜育てるって概念を理解してないなこれ、
光の精霊の感覚では森の中に生えている果物をディアーネさんが独占してるってイメージなのかな?
本来はディアーネさんが1から育てて、美味しくなるように肥料あげたりとかして管理してるから森じゃなくて果樹園なんだけど。
「だからあれは私が種から育てた果樹園なんです。自然の森じゃ無いんです!果物に傷がつかないようにとか、甘くなるように果物を途中で収穫して数を調整したりして管理している私のものなんです。自由に食べたかったらあなたも1から育てればいいじゃないですか」
「嫌よそんなの面倒臭い。森に行けばいつでも食べれるのになんでそんな事しなきゃ行けないのよ。それに私はハジメに協力してて忙しいの、ねぇハジ……どうしてそんな怖い顔をしてるの?」
ハジメくん君が畑荒らしって呼ばれた辺りからずっと鬼のような顔をして君のこと見てたよ?
多分だけど実家が農家とかなんじゃ無いかな?
あの怒りようは被害にあったことがある人の怒り方だ。
「父方の実家が畜産と兼業で農業もやって長期休暇には手伝いもしてたから、農業がどれだけ大変かはよくわかってるんだ。だから作物泥棒は絶対に許さない!野生動物の被害も酷いけど、やっぱり人に取られた方がムカつく。それにサリー、さっき1から育てるのなんて面倒臭いって言ったよね?あちらの女性はその面倒臭いことをして果樹を育てたんだよ?もしサリーが1から育てた果樹から勝手に果物持っていかられたらどう思う?」
「そんなやつ絶対許さない!あっ」
「分かった?サリーはそういう事をしちゃったの。ちゃんと謝りなさい」
「うぅ…ごめんなさい」
「まぁこれ以降勝手に果物を盗んだりしない事です。今回は農業に理解がある素晴らしい勇者に免じて制裁はしないであげます」
丸く収まったのか?光の精霊もちゃんと謝ったし、ディアーネさんも謝罪を受け入れて許したんだから大丈夫だろう。
流石ハジメくん!勇者なだけはある(勇者なのは多分関係ない)
「それと勇者は契約者として連帯責任として罰を受けてもらいます」
「ちょっとハジメは関係ないでしょ!罰なら私にすればいいじゃない!」
「その方があなたも反省するでしょう?
何そんなに難しい事じゃないです。
勇者は異世界の農業に詳しそうでしたのでその知識を後で教えて欲しいだけです」
なんだそういう事か。やっぱりディアーネさんはディアーネさんだったよ。
読んでいただきありがとうございます。
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