第9話
「そんな事で良いんですか?その程度ならいくらでもお教えしますよ?俺的には果樹園でタダ働き50年とかだと思ってたんですけど。収穫物泥棒に与える罰ならならそれでも生ぬるいですけど」
ハジメくんの中での収穫物泥棒に対する怒りが凄い。
一体、日本にいる間に何があったんだろう?
でも相当悪質な収穫物泥棒だったんだろうなきっと。
「まぁいつもなら私も収穫物泥棒など死すら生ぬるい罰を与えるのですが、今回は勇者がしっかり説教をして改心した様ですし、
何より異世界の農業知識はそれだけの価値があると私は思いましたので」
まぁハジメくんから聞けなかったらその知識は一生手に入らない可能性の方が高いもんね。
「分かりました。俺が農業に関して覚えていることを書いてまとめて、お渡ししますね」
「分かりました。急がなくていいので、完成したらコウ様に渡してください。それで私に届きますので」
「話はまとまった?もう試合の準備は出来てて俺ら待ちみたいだから、そろそろ本題に戻ろうと思うんだけど」
ひと試合終わる事になにか起きるから一々ストップして試合が進まない。
1部俺のせいでもあるけど……。
「そういえば人間界って割とせっぱ詰まった状況でしたね。コウ様がそんなに焦ってないから忘れてました」
確かに切羽詰まった状況とは思えない事をしてる自覚は有るけど、俺のせいにしないで欲しい。
「私はおじゃまみたいなので失礼しますね」
そう言ってディアーネさんは精霊界に帰って行った。(逃げたとも言う)
「エステルさん度々お騒がせして申し訳ございません。試合の方に行きましょう」
予定している最後に試合、マルタ対リンファス王国近衛騎士団、騎士団長。
マルタの対戦相手は魔導師かな?って思ってたけど、遠慮なく前衛タイプを当てて来た。
勝ち負けでなにか変わるわけじゃ無いから別に構わないんだけど、まさか完全な後衛魔法使いのマルタにバリバリの前衛を当てて来るとは。
相性的には最悪だよね。
もしかしてマルタは戦場に言って欲しくなかったから前衛タイプを当てた?
防具もちゃっかり、俺があげた魔物の素材を使ったものに変わってるし。
まぁ、マルタもその程度では負けないように訓練を積んできてるんだけどね。
試合が始まった瞬間、近衛騎士団長は距離を詰めようと全力で接近していく、マルタは特に邪魔することなく近衛騎士団長の接近を許した。
ぶっちゃけ今のマルタだったら無詠唱魔法で一瞬で魔法を発動できるので魔法を連打するだけで勝てたと思うんだけど、それじゃつまらないと思ったのかな?
実はマルタもバトルジャンキーだったりする?
それともフィア達に影響された結果だろうか?
レベル上げをしてマルタだってLv75になってるから身体能力もそれなりに高い。
と言ってもステータス的には魔法使いタイプなのでLv75にしては控えめな身体能力だけど。
「な!?」
どうやらマルタは近衛騎士団長と近接戦をするつもりらしい。
近衛騎士団長が間合いに入った瞬間剣で攻撃を仕掛けたが、マルタは自分の魔法で作った氷の剣でそれを受け止めた。
純粋な後衛でも何かしら武器が使えた方がいいからってティアナさんに色々教わってたけど。
剣を使ってガチバトルするような感じじゃなくて前衛が来るまでの時間稼ぎ程度の感じだったはずなんだけど。
「普通に剣で戦えちゃってるんだよなー」
見ている感じ力では負けてるけど速度は勝っている感じ。
あとは技術的には完全に負けてるから流石にこのまま勝利って言うのは難しいだろう。
その後何度か剣戟が続いいたが唐突にマルタの氷の剣が砕けた。
近衛騎士団長は氷の剣の同じところばかり攻撃してたからね。
マルタはそれに気づけなかったようだ。
氷の剣が砕かれた事に一瞬動きを止めてしまったマルタを近衛騎士団長が横1文字で上半身と下半身を真っ二つにした。
これで決着が着いたかと思ったら。
上半身だけのマルタが宙に浮いて普通に喋りだした。
「やっぱり剣で戦うのは無謀でしたね。これからは普通に魔法を使うことにします」
なんでマルタがこんなことが出来ているかと言うと精霊化を姿が変わらないレベルで使用しているから。
見た目は変わらないけど普通の精霊と同じで
単純な物理攻撃はノーダメージになる。
真っ二つになったところで致命傷にならないし、魔力があれば下半身程度普通に生えてくる。
ただし弱点属性での攻撃は2倍のダメージを受ける。
上半身だけだったマルタに普通に下半身が生えてきて、宙に浮いていたマルタが地面に足をつけた。
そして魔法に補正をかける為に精霊化の発動レベルをあげた。
青色だった髪の毛は赤に変わり、両腕手が
ルビーのような透き通った赤色に変わる。
ちなみにまだ全身精霊のように変えることは出来ないって言ってた。
「私としては水属性の魔法の方が好きなので、あまりこの姿は好きじゃないんです。
なので一瞬で終わらせます」
そう言ったマルタの後ろには無数の火球が漂っている。
その火球が全て近衛騎士団長に向かって発射された。
何個かは避けたり剣で斬り落としたりしていたが、やはり全てを対処することは出来ず、
最終的に近衛騎士団長は火だるまになった。
火だるまになった近衛騎士団長が光となって消えて、フィールド外に無傷の状態で現れた。
魔法を使ってからは呆気なかったけど試合終了である。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます