第6話



「あなたが普通の人間だったとしても、実力は理不尽レベルよ。

ハジメ彼女に出し惜しみなんて出来ないから最初から【共鳴】を使いなさい」


「分かった」


共鳴?精霊と合体して強くなる的なスキルかな?

次の瞬間、光の上位精霊がハジメくんの中に入ったと思ったら、黒髪黒目だったハジメくんが金髪碧眼になった。

共鳴ってい言うよりフュージョン?


まぁどっちでもいいか、重要なのは共鳴を使った今のハジメくんは恐らく、

ハジメくん+光の上位精霊の強さを持ってる。もしかしたら相乗効果とかでそれ以上に強くなってる可能性もあるかも知れないし。


それにハジメくんの持ってる剣からエステルさんの魔力を感じるから剣もただの剣じゃ無いだろうし、フィアでも結構苦戦するんじゃないかな?


「準備は終わったか?本当だったらもう少し時間をかけて試合をしたかったが、あまり時間をかけるとコウがソワソワしだすだろうからこれで終わりにするぞ?」


そう言ったフィアの手の上には直径1cmの極小ブラックホールが30個近く浮いていた。


フィアは初めて魔力と魔法の制御の訓練をフェムトに付きっきりで行った結果

大体直径30cmぐらいまでのブラックホールを制御して自由自在に扱えるようになっている。

今回はサイズをちっちゃくした代わりに数を増やしたみたい。

直径30cmのブラックホールを1つ避けるよりそっちの方が避けづらそうだ。

ブラックホールっていう時点でサイズなんて関係ない気もするけど。


フィアは用意したブラックホールをハジメくんの方に飛ばす。

一般人からしたらじゅうぶん早いけど、

フィアレベルの人が使う魔法と考えるなら

そんなに早くない。

魔法で作ったブラックホールは自由に動かしたり出来るけど、アロー系のような飛ばす魔法と比べると速度が出ないって弱点もある。

その程度だから何?って感じだけど。


ハジメくんからしても余裕をもって避けれる

速度だったようで最小限の動きで躱している。


だが次の瞬間しっかりと躱したはずのハジメくんの左半身が消失した。


いつもはフィアが触れたものしか吸い込んで消失させないように制御してるから近くにいてもブラックホールに吸い込まれることは無い。つまり、フィアの制御で吸い込む範囲は変えられる。

だから今のはブラックホール本体を避けた瞬間フィアがブラックホールの吸い込む範囲を広げたからハジメくんの左半身が吸い込まれて消失したって事だね。

防御も出来ないのに攻撃範囲まである程度自由自在って本当理不尽な攻撃だと思う。

だけど、エステルさんの魔力を感じる剣で斬ってたら何とかなってたかも知れないけど。

簡単に躱せると思って、ギリギリで避けて反撃に繋げようとしたのが失敗だったね。


確か直径1cmのブラックホールだったら半径1mまで吸い込む範囲を広げられるって言ってたかな?

ある意味、初見殺しみたいな感じの魔法だよこれは。

今回は狭い闘技場での試合だし知ってても避けれなかった可能性が高いけど。


ハジメくんがフィールドの外に元通りになって現れた

「避けたと思ったのに被弾した?」


「ハジメが避けた瞬間に魔法の効果範囲を広げられたのよ。避けるんじゃなくてエステル様から貰った剣で斬るのが正解だったみたいね」


「最小限に避けて反撃と思ったんだけど、罠だったってことか。もうちょっといい試合が出来ると思ったのに」


ハジメくんはその場で相棒の光の上位精霊と反省会を始めた。


フィアは?と思ったら何か凄いいい事思いついたって顔をしながらダッシュで帰ってきた。

あんな顔をしてるフィア初めて見たんだけど、一体何を思いついたんだろう?


「なぁコウ、私とコウで勇者が使っていた【共鳴】とやら使えるんじゃないか?」


俺とフィアがフュージョンするって事?

何かちょっと恥ずかしくない?

まぁ試して見るぐらい良いか。


「出来るか分からないけど、せっかくだし

1回試して見るか」


普段は使わなくても何にも問題ないから最初

使って以来全く使わなかった。精霊化を使って人間寄りだった存在を精霊よりに変更する。

人間寄りでも普通に霧になったり出来るし、水中の中で呼吸も出来るから本当、精霊化の出番が無かったけど【共鳴】を使うなら使った方が良いと何となくそう感じたので久しぶりに精霊化を使用した。


全身が透明な青色になってThe水の精霊って感じの見た目になる。


謎なのがこの姿を見た人達が何か俺のこと崇め始めたんだけど…なんで?


人間の見た目で精霊王って言ってたから信じ無かったってこと?


今度から神威解放だけじゃなくて精霊化も一緒に使うようにしようかな。


こっちとしては何を今更って感じだから放置するけど。


精霊化した状態でフィアと手を繋いでフィアの中に入り込むイメージをしながらまずは魔力をフィアに流し込む。


「そう言えば【共鳴】はハジメくんが使ったんだから、フィアが発動させるんじゃない?」


「確かに、ちょっと試してみる」


フィアが目を閉じてしばらくするとお互いの魔力が混ざり合うような感じになって、

成功しそうかなってところでフェムトの突然声が聞こえた。


(ストップ!ストップ!コウが共鳴なんて使ったら大変な事になっちゃう!)



読んでいただきありがとうございます。




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