第3話
「王城はどうだった?やっぱりバタバタと大変な感じ?」
「そうですね。ですが、その理由はエステル様がご降臨なされていたからでしたが」
なんと!エステルさんが来ているらしい。
「じゃあエステルさんが直接指揮を執ってるんだ」
メイドさんは俺がエステルさんのことをさん呼びしたことに一瞬驚いていたけど特に何も言うことなく説明を続けてくれた。
「はい、今はエステル様が主体になって飛空艇リンドブルムで帝都に直接乗り込むための準備を進めています」
エステルさん、俺が禁術が広がるのを止めているだけで、効果まで無効化できてないって事に気づいてない?
それとも俺がリンドブルムに搭乗する人数ぐらい何とかできるって考えているかだけど…
1回本人に確認した方が良さそう。
それと、闘技場で1回戦うのは多分確定だろうな。
とりあえずこの後も一通りメイドさんの報告を受けてから、エステルさんと直接話すために王城に向かった。
「何これ?」
バタバタしているのに転移で直接行くと無駄に慌てさせるかな?と思って馬車で向かったら貴族の馬車で長蛇の列が出来ていた。
「エステル様に直接会うチャンスだから王都にいた貴族がいっせいに王城に押し寄せているのだろう。やっぱり今からでも転移で直接王城に入るか?」
それが良いかもなと思っていたら、近衛騎士団の団長だったかな?の人が馬を飛ばしてこちらにやって来た。
「エステル様にコウ様が来たらそのまま通して欲しいとお願いされておましたので、お迎えに上がりました」
「分かりました。ですが馬車のまま列を追い越して城に入ろうとするとめんどくさい事になると思うので、馬車は帰らせて転移で城に入ろうと思います」
こっちの方が途中で私を抜かして先に入ろうとする愚か者は誰だ!って絡まれなくてすむし。
なので馬車に屋敷に帰るよう指示を出した後、馬車の中から王城に直接転移した。
城内では特に面倒事もなくエステルさんが居るらしい部屋まで案内された。
「どうしてこんな事に…」
今の状況を簡単に説明すると俺が部屋に入った瞬間エステルさんに土下座された。
ちなみに土下座は現在も進行中。
周りの人の視線が痛い。殺意まで飛ばしてきてる人がいるし。
これはなにかの罰ゲームですか?魔力が全快したからちょっとは楽になってるけど、それでも禁術が広がらないように停止の権能を使い続けてるから常時大量の魔力を消費してて
歩くの辛いなーぐらいにはきつい状態なのに
「エステルさん突然土下座されても訳分からないのでちゃんと説明してください」
こんな感じの流れ前にもやったな。前と言うほど昔の事じゃ無いけど。
「貴様!エステル様に向かってなんという口の利き方……」
「黙れ!誰のお陰で人間界が滅びずにすんでいるのか分かってるの?まさかそこのポンコツ女神のお陰だなんて思ってないでしょうね?もしそんな事を思っているならコウさんがわざわざ人間界を救う必要なんてないのでしょう?今すぐ禁術が広がらないようにしているのを解除して精霊界に帰るべきでは?」
今回はイスカが最初に爆発したか。
正直面倒臭いんだよね。
もういいや、この状態でやるのはちょっとだるいけど、神威解放しながら喋ろう。
「もう面倒臭いから要件だけ話すけど。ぶっちゃけ、わざわざリンドブルムで帝都まで向かうの無駄だと俺は思うから、転移で直接行って倒してこようと思ったんだけど、俺が人員を勝手に決めてだと皆不満でしょ?
だから闘技場で戦ってもらって決めようと思うんだけど、陛下はどう思います?」
闘技場の使用には陛下の許可が必要だろうと思って話を振ったら、えっ!?この状態で余に話振るのって顔をされた。
「そもそも、我々は奴ら関係なしにリンドブルムに乗って帝都に向かえばいいだけなのでは?」
国王が返事をする前に貴族のひとりがそんな事を言った。
「それは無理です。今は禁術が広がらないようにしているだけなのでコウさんの保護無しに中に入ったら死ぬだけです」
すぐさまエステルの補足が入った。
ちょっと神威解放の威力を下げ過ぎたかな?
威力上げちゃうと話し合いが出来なくなっちゃうから問題かな?って思って調整してたんだけどもう良いや、調整してない方が楽だし。
「で、どうするの?こっちとしては正直さっきの人が言ってたように別々で帝都まで行ってノーライフキングを討伐するって事でも全然いいんだけど?寧ろその方が楽だし」
あ〜やっぱりいつものパターンだ、ちょっと威力上げただけでみんな怖がり出しちゃった。
こういうときに便利だから良いけど。
「闘技場を使えるように最速で準備するから30分、時間をもらえないだろうか」
「分かりました。では30分後に闘技場で」
一旦、転移で屋敷に帰った。
別に高圧的に行くつもりはなかったんだけどな〜。
まぁ、結果的にいちいち説明したり、説得する手間が省けたので良かったってことにしよう。
そう言えばエステルさん最後までずっと土下座してたし、理由聞いてなかったな。
読んでいただきありがとうございます。
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