第2話

王城に報告に行ったメイドさんが帰ってくるまで紅茶を飲みながら休憩していると、フィア達が精霊界から転移してきた。

マルタも精霊魔法使えるようになったから、

転移出来ちゃうもんね。

みんないつの間にか完成していたらしい少年〇ルハ4号風の戦闘服を着ていて準備バッチリである。


「流石に帝国には連れていかないよ?」


みんな人間界のレベルで考えれば上位の実力は持ってる(フィアとイスカに関しては上位とかそんな次元じゃ無い)けど、俺が全力で戦えない状態(意識を保ってるのも辛い)じゃあ何かあった時に守れない。

それにフィアは妊娠1ヶ月半の妊婦さんなんだから余計無理させられない。


「今回はそうも言ってられないのでは無いですか?今の状態まともに戦える状態では無いでしょう?」


確かにその通りなんだよね。しかも禁術はこれ以上範囲が広がらないようにしただけだから、ノーライフキングを討伐するには当然禁術の範囲内に入らなきゃ行けないわけなんだけどこのままじゃ生命力を吸われてノーライフキングと戦う前に死ぬだけだから、更に停止の権能でそうならないように対処をする必要がある。これは禁術じゃなくて、中に入る人にかければいいから普段ならそれほど苦じゃないけど、今の状態で使ったらその後の戦闘はほぼ出来ないと思ってくれていい。

だから今回の俺はノーライフキングをできるだけ少数で討伐出来る人をキャリーするのが

仕事って言うのは理解してるけど。


「それに今の状態なら、ここに居る全員でかかればいくらコウ様でも勝てないでしょう?諦めてください。それにフィア様とイスカ様ならノーライフキング如き一撃ですよ?雑魚アンデットを大量に召喚、使役しているでしょうが、マルタ様とメル様でじゅうぶん対処可能です」


少人数だし1番信用出来る人達なのは確かだし…ここは頼るべきか。


「分かった、みんなにお願いする事にする。みんなの実力も信用してるし」


みんなを連れていくのは良いけど、俺も連れて行けっていう連中出て来るんじゃないかな〜。

いや、絶対出てくるな。

状況を判断できずに、名誉欲しさにそういうこと言い出すバカは絶対いるだろう。

闘技場を使ってフィア達の実力を見せる必要が有るかも。


「そう言えばルージュは?」


すっかり忘れてたけどルージュが居ない。


「ルージュは腐肉に突進したくないからお留守番してるだそうです」


あ〜、アンデットだからゾンビ系も居るのか。スケルトンみたいのばっか想像してた。

確かにルージュの攻撃方法でゾンビ系と戦いたくないよな。

その後、腐肉まみれの状態でこっちに近ずかれるのもやだし、懸命な判断だと思う。


「今回ルージュはそれで正解だと思う」


「そうですね。腐肉まみれでこっちにこられても困りますし。洗っても臭いが残りそうですから。それとフェムト様から魔力ポーションを預かってます。これならコウ様でも魔力全快まで回復できると言っていました」


「それはめっちゃ助かる」


この世界、怪我を治す回復ポーションも有るし、魔力を回復する魔力ポーションもしっかり存在する。

ただし、自前で怪我は治せるから回復ポーションは要らないし、魔力ポーションは割合回復ではなく決まった数値が回復するタイプなので、人間界に存在する魔力ポーションを飲んでも雀の涙程度の回復しかし無い(国宝級の魔力ポーションでも自分の自然回復量の方が高い)のでこちらも使う機会が無かったけど、流石フェムト俺でも俺でも魔力がしっかり回復するポーションを用意してくれたみたいだ。


さっそくフェムトの作ってくれた魔力ポーションを1瓶飲み干す。


「まっず!なにこれ?」


昔飲んだ漢方の五苓散と同じレベルで苦い。

しかも、一気飲みしたから喉がやばい。

むしろ吐かなかった俺を褒めて欲しい。

でも、魔力は本当に全快まで回復した。

良薬口に苦しということだろうか?

美味しい薬って逆に怪しい気もするし。


「ポーションって初めて飲んだけどこんなに不味い物なんだね」


これ、戦闘中に飲めないんじゃない?

苦って止まったりしたら隙になっちゃうし。

そもそも戦闘中にポーションを飲む行為自体が隙か。


「回復ポーションは傷口にかけるだけでも効果が有るからまだマシなんだが、魔力ポーションはしっかり飲む必要が有るからな。

しかも、効果が高い程苦い。コウの魔力が全回復するレベルの魔力ポーションをよく吐かずに飲めたな?」


あ〜これ多分だけど、フェムト製だからフィアが知ってる魔力ポーションよりは苦くないんだろうな多分。


「多分だけど、フェムトの作った物だから、フィアが飲んだ事がある魔力ポーションより苦くないんじゃないかな?じゅうぶん苦いくて不味いけど」


「…確かに、フェムト様が作った魔力ポーションならそれもじゅうぶん有り得る。

私の分も作ってもらうべきだっただろうか?」


フェムトが作る場合俺の魔力が全快まで回復する魔力ポーションで五苓散レベルなら

フィアの魔力量なら麻黄湯レベルの苦さの魔力ポーションで回復出来るんじゃない?

効果が高い程苦いなら俺と同レベルの魔力ポーションを飲む必要は無いし。


「ちゃんとコウ様以外の方のポーションもフェムト様から渡されているので安心してください」


そう言ってポーションをみんなにも渡していた。

みんなここ最近で1番フェムトのことを神って崇めてたと思う。


そんな事をしてたら、城に報告へ行ったメイドさんが帰ってきた。

どんな感じだったか詳しい話を聞かないと。


メイドさんの報告を聞きに向かった。




読んでいただきありがとうございます。


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