第56話
「ディルフィーニ達が庇護下に入りたい理由は分かった。それでディルフィーニ達が庇護下に入って俺にどんなメリットが?」
「確実なものとしては海ぶどうとディルフィーニが培ってきた海ぶどうの栽培技術この2つですね」
それだと海ぶどうの美味しさ次第だけど。
凄い自信がありそうな感じ。
俺に必要以上に手を貸すことも無さそうだし。
「わかった。ディルフィーニを庇護下に加える事にする。だが、必要ないと思ったら容赦無く切り捨てるつもりだから、そのつもりで」
脅しの意味も込めて、神威解放しながら庇護下に加える宣言をする。
まだあって数十分の相手をそこまで信用するのも危ないと思うし一応ね。
「ありがとうございます。精霊王様に必要とされるよう努力してまいります」
「まぁ程々に頑張ってね。要件は終わったみたいだし、俺たちはそろそろ帰ろうと思うんだけど、シャラさんはどうするの?」
「1度里に帰り今回の報告をして、海ぶどうの木とそれを育てる人材を連れてまいります。なのでリバイアサンの縄張りに入る許可を頂きたいのですが」
「だって、イスカどうする?」
「理由を話せば問題ないでしょう。ただ分かりやすいように印になる物を持ってて貰った方が確実でしょう」
印になる物か、水の精霊石を雪の結晶の形に加工した物を渡す。
でも、シロイルカの状態で持ち歩くの不便そうだな。
来る時に海ぶどうの木を持ってくるのも大変だろうし、フェムトから貰った、贈答用アイテムバックも一緒に渡すか。
首?にかけられるようにポシェットタイプの物を渡した。
「海ぶどうの木だと分かるように輸送すると手に入れようと襲ってくる幻獣種が出てくるので、マジックバックは本当に助かります」
海に住む幻獣種からしたら海ぶどうは相当価値のあるものらしい。
果物のぶどうなのか確認しておいた方がいいか。
もしそうだったらワインにしてみるとかも面白そうだ。
極端な話し皮や種ごと潰して容器に移して置いておくだけで、赤ワインができるから難しくないし。
天然酵母に頼るから運に左右されるけど。
いや待てよ?仮に果物のぶどうだったとして、海に生えてるぶどうに発行させる酵母はついてるのかな?
まぁ1度試してみてダメだったら諦めよう。
「凄い変な質問するんだけどさ、海ぶどうって海藻じゃなくて果物なの?」
やっぱり、シャラさんからしたら意味が分からない質問だったみたいで首を傾げている。
イスカは察しがついたみたいでイスカが答えてくれた。
「この世界の海ぶどうは果物のぶどうですよ。水中で採れる数少ない果物の1つなので水中に暮らす幻獣種からしたら喉から手が出る程欲しいものです。味も絶品です」
ほんとに果物なんだ!凄いファンタジー!
それに水中で採れる数少ない果物の1つって言ってたから、他にも果物があるっぽい!
後で詳しく教えてもらおう。
果物のぶどうだとしっかり確認したし、フェムトを説得して圧搾機とか作ってもらおうかな?
成功するか微妙だし最初は手で絞ればいいか。
圧搾機より熟成を加速させる装置とかの方が良いかな?普通だったらそんなの無理だろって思うけど、フェムトなら片手間で作れそうなイメージ。
ディルフィーニの里に帰るシャラさんを見送って俺達もリバイアサンの里へ帰る。
転移で一瞬で帰ることも可能だけど、2人きりのデートなのでリバイアサン状態のイスカの上に乗ってゆっくり帰ることにした。
「そうだ!話の流れ的に勝手に庇護を与えてることにしちゃったけどだいじょうかな?」
「問題ないですよ。寧ろあの場所がリバイアサンの縄張りと正式に認められたことになりますから、寧ろ喜ぶと思いますよ。精霊界にある海の7割は本来、水の精霊王の支配領域です。なので許可を得ず勝手に縄張りにしている幻獣種がほとんどです。リバイアサンもそうでしたが、今回しっかりと認められたことで、縄張りを奪いとろうとする幻獣種が減るでしょう。負けることは無いですけど、次から次へと仕掛けてくるのでめんどくさかったんですよ」
リバイアサンに喧嘩を売るやつの心情が理解できない。
もしかしたら
あたりの砂が光ってる!凄いファンタジー!
って思ってたけど、この世界でも奇跡的な現象なのかも?
リバイアサンが敵だとわかっていたとしても
挑んで手に入れようとするぐらいには。
こんなに考え込まなくてもイスカに聞けば簡単にわかることか。
「イスカやっぱり光る砂って貴重なの?」
「そうですね。あの場所以外では見たことないぐらいには貴重です。それにあの場所は本来陽の光など決して届かない深海です。
そのような場所が浅瀬のように明るくなっているので更に価値が出てしまいました」
「砂を他の場所に移動させたら光ってる範囲を広げることは出来ないの?」
出来たらとっくのとうにやってるだろうから出来ないんだろけど。
「厳密に言うと光っているのは砂ではなく、砂に住む微生物が光っているらしいんですけど、その微生物がこの海域以外に運ぶと死滅してしまうため広げることは出来ないんです。死滅する理由が分かれば広げることが出来るんですが」
砂自体が光ってる訳じゃなかったんだ。
他の場所だと光る微生物が死滅する理由を探すのも面白いかもと思うコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます