第55話
魔法うんぬんの話から無理やり住居探しに話を戻して、住居を探し始めたコウだったが意外にも中々決まらず難航していた。
「ねぇやっぱり外周部分の住居はダメなんですか?」
「何処でもいいと言っても流石に外周部分にコウ様の住居を用意するというのは…」
俺は海が目の前で見れる外周が良いけど、リバイアサン達的には何処でも良いとは行ったけど、出来るだけ中心付近に住居を用意して欲しいと言う真逆の意見になってしまってるのでさっきから全く話が進まない。
「じゃあさ、家は中心部分のにして家の中に大っきい水槽を作ってそこを空間魔法で外と繋げれば、家の中で海を見れるから両方の意見を取り入れられるんじゃない?空間魔法を通過できるものにフィルターをかけられるからそれを利用して中に侵入してくるって事も無いし」
それもありかも、家に水族館レベルの水槽があるとか凄いロマンだし。
「コウも納得してるみたいだし、コウの気持ちが変わる前に早く用意しちゃおう。
ティアナ土地はまだ余ってるんだよね?」
「中心部分は住居のみのスペースにしてるのでスカスカなので土地は選び放題です」
「なら僕が作っちゃうからコウはその間にイスカちゃんと一緒に水槽に入れる底砂とか岩とかそう言うの取ってきて、そうしないと魚以外何もない水槽になって生簀にしか見えなくなっちゃうから」
という訳でイスカと一緒に水中散歩をしながらレイアウトに使えるものを生態系に影響が出ない範囲で採集中。
「岩や砂を回収すると生き物だけ残るのちょっと面白いね」
収納魔法は生き物を入れることが出来ないので、岩や砂に隠れていた生き物だけその場に残ってしまう。
お陰でカレイ、ヒラメ、アンコウ、オコゼ、鬼カサゴと言った海底に居るような魚種を沢山捕獲できた。
今回はちゃんとイスカにリバイアサン達も食べた事がある魚種か確認してから捕獲した。
そんな感じでレイアウトの材料集めと食材集めをしているとシロイルカっぽい生き物がこちらに近づいてきた。
「敵意は無いっぽいけど、なんで近づいて来たんだろう?」
「キュー?」
シロイルカが首を傾げながら更に近づいてきた。
そして俺の周りをぐるぐる泳ぎ出した。
ほんとに何されてるんだろうこれ?
敵意はないから攻撃するつもりにもなれないし、もうちょっと様子を見て見るか。
少しすると目の前で止まってこちらを見てくる。
撫でて良いって事かな?
胴体を少し撫でて見ると嬉しかったのか、シロイルカの方から体を擦り付けてきた。
その後も撫でて触れ合っていると、イスカから殺気が飛んできた。
「何してるんですか?」
めっちゃ怒ってるんだけど?シロイルカと戯れててサボってたのを怒ってるのかな?
「コウさんには怒ってないので気にしないでください。私はそこの普通のシロイルカのフリをした幻獣種にキレているので」
えっ幻獣種!?一応シロイルカから少し離れて距離をとった。
「せっかく楽しく撫でられてたのにそんなに怒らなくて良いじゃない」
さっきまで戯れていたシロイルカが人化をして喋りだした。
ほんとに幻獣種だったっぽい。
「お初にお目にかかります水の精霊王様。
私は幻獣種ディルフィーニのシャラと申します。それと騙すような行為をとってしまい申し訳ございませんでした。」
「気づけなかった俺の責任でもあるから、気にしないで。ところで何か要件でも?後俺に対して敬語は不要です。面倒くさいから」
未だに俺に近づいてきた理由が分からないし、それを説明してもらおう。
敵対するって感じは全くしないから面倒なことにはならないと思うけど。
「元々、精霊王様がリバイアサンの里に訪れている情報をキャッチしたからどうにかして会うことが出来ないかと思って、リバイアサンを刺激しない距離で泳ぎながら考えてたんです。そしたら精霊王様からこちらに近づいてきたのでちょっとテンション上がっちゃって、先程は本当に失礼しました」
それだけ?元々俺に会いたかったなら他に要件もあるだろうけど、さっきの行動には対した意味はなかったて事ね
「さっきの行動については分かりました。
それで俺を探していた理由は?」
「リバイアサンのように庇護を与えて頂きたく」
別にそんなことしたつもりは無いんだけど、
これ言うと話がややこしくなりそうだし。
庇護を与えているってことで行こう。
「なぜ、わざわざヒヨっ子である俺なんかの庇護を?」
「ディルフィーニは探知する事に長けた幻獣種です。精霊王様の実力は理解しているつもりです。それにオババの占いでも庇護を得るべきと出ていましたので」
オババに占いって、ちょっとあって見たい気がする。
庇護って言ったって何をして欲しいんだろう?庇護下に加えるよって言うだけで満足なのかな?
「庇護下に加えるとして何を求める?」
「庇護下に加えていただいて、今暮らしている場所でそのまま暮らす権利を頂ければ」
「ディルフィーニの暮らす場所にはそこにしかない海ぶどうと言う果物が有るのです。
海ぶどうを手に入れようと抗争を仕掛ける幻獣種もちらほらいますからね。コウさんに正式にディルフィーニの住処と認めて貰いたいのでしょう」
「それも有りますが、1番はリバイアサンに敵対されたくないからです。最近すっかり食に目覚めたリバイアサンが海ぶどうを求めて抗争を仕掛けてくるんじゃないかと皆怖がっています。しかし同じ精霊王様の庇護下に入ればその心配も無くなるでしょう?」
食に目覚めたリバイアサンねぇ、つまりディアーネさんのせいでこんな事になってる?
それに海ぶどう日本にあったのと同じなら、嫌いじゃ無いけど好きでも無いけど。
でも、イスカが果物って言ってたんだよな。
もしかして海にグレープとかマスカットの方のぶどうが生ってるのかな?
庇護を得るのは良いけどディルフィーニの代価次第かな?
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