第45話

ルージュの戦っているところを実際に見せてもらう為にマルタのレベル上げをした森に皆で来ていた。


「本当にそのサイズのまま戦うの?」


「ぎゃう!」


森だと狭くて戦いにくいんじゃないの?って

俺が言ったら、むしろルージュは森で戦いたいと言い出した。理由を聞いてみると30cmサイズのミニドラゴンのサイズで戦うから

森の中でも自由に動けると言っている感じだった。


ホムラに捕まるまでは自然界で暮らしてたんだし、ルージュは考えが無しに言ってるわけじゃ無いだろうからルージュのしたい様にさせることにした。


「いくら弱いって言ってもドラゴンだし、マルタちゃんとは違って森の中心からスタートだよ」


普通のドラゴンに比べたら弱いと言っても魔物全体で見れば上の下ぐらいの強さはあるので森の外側から入ってわざわざウルフの相手をするのも時間の無駄なので、この森の中では上位の魔物が住んでいる、最初から森の中心で狩りをすることにした。


「ルージュ俺たちは後ろからついて行くから自由に動いていいよ」


「ぎゃう!」


ルージュは返事をした後、魔物の場所が分かっているようで森の中を迷いなく進む。

俺の魔力感知でも向かっている方向に魔物反応がある。

でも大丈夫かな?魔力量的には敵の方がルージュより多そうだけど。


魔力量だけで魔物の強さが決まる訳じゃないけど、魔力量が多い魔物は身体能力も高いことが多い。

中には魔力が0の代わりに身体能力が異様に高い魔物もいるから、魔力量だけで判断してたら痛い目にあう。


敵もこちらに気づいたみたいでこちらに近づいてくる。


ルージュが前進するのをやめた、どうやらここで迎え撃つつもりらしい。

少し待っていると木々を薙ぎ倒しながらオーガが出てきた。


「ねぇフェムトオーガが凄いこっちを睨んでるんだけど」


「ルージュちゃんは眼中に無いって感じだね」


その様子を見てルージュはむしろ好都合と言った感じだ。


普通の魔物だと舐められてることにキレて何も考えずに突っ込んでいく事が殆どなので、逆にチャンスだと冷静に考えられるルージュの知能はだいぶ高い。


ルージュは前方と両翼の後ろの計3箇所に魔力を集めて魔法を発動しようとしてる。


最初に前方の魔法が発動した。攻撃とかではなく魔力障壁をはる魔法みたいだ。


両翼の後ろからの魔法で攻撃するのかな?と思って見てたら、両翼の後ろで同時に爆発した。


まさか魔法の発動失敗!?と思ったけど、

オーガを見ると胸の部分に綺麗な風穴が空いていた。


爆発で魔力障壁ごと自分を吹っ飛ばして

体当たりしてオーガを貫いたってことだよね多分、中々えげつない攻撃を考えついたなルージュは。


この方法で戦うなら確かに小さくても問題ない。寧ろ小さい方が有利かも?


「今の攻撃を見て私、試練でルージュちゃんと戦うことにならなくて良かったと心から思いました」


俺もそう思う。あの攻撃を知ってたら対処出来るかもしれないけど初見だと難しかったと思うし、マルタは良くて大怪我、下手したら

即死も有り得たかもしれない。


やっぱり知能が高いって恐ろしいな、絶対普通のレッドドラゴンよりルージュの方が厄介だよ。


「ぎゃーう♪」


ルージュがどう?凄いでしょって感じでこっちに飛んできた。


「凄かったぞルージュ。そうだ!前方に張った魔力障壁形を自由に変えられるならくの字みたいな形すると空気抵抗を減らせてスピードがもっと出せると思うよ。後爆発させるところに魔力障壁を筒型にしたもので包んで爆風が後ろだけに行くようにしたら更にスピードが上がると思う」


それを聞いたルージュが言われたことが出来るか試し始めた。

少しするとルージュが悲しそうな顔をしながらこっちに飛んできた。


「出来なかった?」


ルージュが首を縦に振りながら悲しそうな声をだした。


「出来るか分からない思いつきだから出来なくたってそんなに落ち込む必要ないよ。レベル上げたらあっさりできるかもしれないし」


「ぎゃう!」


レベル上げの為にメタ○スライムをフェムトに用意してもらおうと思ったけど、あれ凄い魔力使うから今は無理。と言われてしまったので、ランクの高い魔物を俺が動きを止めてその間にルージュがトドメを刺す、という方法でレベル上げをした。


「流石に進化はし無かったね」


作業のように魔物を倒して、ルージュのレベルが30になったところで終了になった。


「ソウダネ アルジ シンカシタカッタ」


「ルージュはそんなに焦る必要はないよ……ルージュ?」


あれ?俺ルージュと会話しなかったか?


「アリガトウ アルジ デモ ルージュ ヤクニタチタイ」


……やっぱりルージュが喋ってる。

これ本当に進化してないの?


「進化はしなかったけど、レベルアップで元から高かった知能が更に上がって喋れるようになったみたいだね」


「レッドドラゴンのままでも喋れるようになったんだからじゅうぶん凄いよ!ルージュ」


「ギャウ、ホント?ワタシ スゴイ?」


「うん、ただ進化するよりびっくりした」


フェムトが魔物のドラゴンは宝石竜に進化して更にレベルが上がったあたりで喋れるようになる個体が多いって言ってたのにルージュはレッドドラゴンの時点で喋れるようになってしまった。



ルージュは凄いと褒めて甘やかすコウだった。


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