第43話
ホムラの転移魔法で連れてこられた場所は
草木1本生えていない活火山の火口、思ったより暑く感じずちょっと汗が出てくるぐらいだったけど自分のまわりに冷気を纏わせて温度調節した。マルタも自分で温度調節ができているみたいなので一安心。
転移した瞬間攻撃されるかと思っていたのに攻撃されなくてちょっと拍子抜け、と言うか顔を真っ青にしてプルプル震えてるんだけどなんで?
「なにこれ?俺が来る前に襲われでもしたの?ほら君たちが馬鹿にしていた水の精霊王が来ましたよ〜」
この場にいる火の精霊達は誰一人動こうとしない。
「コウさんからフェムト様と似たようなオーラが少し出てますからそれを感じとって怖がってるんじゃないですか?」
神威解放使ってないから神様のオーラ的なやつは出てないはずなんだけど漏れちゃってたかな?
「本当にオーラ出てた?出すつもりはなかったんだけど」
「はい、現在進行形でオーラが出てます」
なんでだろう?俺の戦意が高かったからちょっと漏れちゃったとか?
とりあえずオーラ鎮まれーと念じながら魔力が外に漏れないようにしてみた。
「マルタまだ漏れてる?」
「いや、今は大丈夫です」
どうにかなったみたい。いつの間にかオーラがでて相手を怖がらせるのも嫌だし、無意識にオーラを出さないように練習しておこう。
今回は今のが全力と思われるのも嫌だし1回神気解放しておこう。
さっきまでのちょっと漏れてるのとは違って
意識してオーラを出しているので量が違う
気絶する火の精霊も出だした。
「これでじゅうぶんかな?試練はここでやるってことでいいんだよね」
「そうだな。これだけやればコウと敵対しようと思うやつはいないだろう、試練の相手だったレッドドラゴンを含めて」
さっきから見ないふりしてたんだけど、奥で仰向けになって降伏のポーズしてるレッドドラゴンやっぱりマルタの試練相手だったんだ。
「マルタ今なら簡単に試験をクリア出来ると思うけどどうする?」
「ぎゃ!?」
レッドドラゴンが
なんか降伏してるのに!?って言ってる気がする。こっちの言葉がわかってるのかな?
「流石にあれを倒すのは…言葉も通じてますよね?多分」
マルタも倒すつもり無さそうだし、本当に言葉がわかってるか確かめるために近付いて話しかけてみることにした。
「こんにちはドラゴンさん。ちょっとお話したいから元の状態に戻って」
ぎゃうと返事をして普通の状態に戻った。
「完全にこっちの言葉を理解してそう、こちらとしては逃がしたあとも不用意に暴れなければ普通に逃がしてあげるけどドラゴンさんはどうしたい?」
そう言うとレッドドラゴンがこちらに近ずいて頭を擦り付けてきた。
「俺と一緒がいいの?」
「ぎゃう!」
元気よく返事したので多分そう言う事だろう。
「一緒に来るなら、俺の言う事は絶対もし破るようだったらお肉にしちゃうけどそれでも一緒に来る?」
「ぎゃうぎゃう!」
多分これは着いてくるって事だろう。
頭を撫でてあげると嬉しそうの尻尾を降っている。
普通の人があのしっぽに当たったら骨折じゃすまないだろうな。
「ドラゴンさんって呼ぶのもあれだし着いてくるなら何か名前をつけるか」
「ドラゴンさんってオスメスどっち?」
ぎゃうと返事をしてくれたが
ぎゃうだけじゃわからん。
「オス?」
そう聞くとドラゴンさんは首を横に振った。
違うって言いたいんだろう。
「じゃあメス?」
今度はドラゴンさんが首を縦に振った。
「メスか〜じゃあルージュとかどう?」
少し安直すぎるかもしれないけど、ネーミングセンスなんてもの持ってないので安直な名前の方が双方幸せだと思う。
「ぎゃう!ぎゃー♪」
しっぽと翼をブンブン振り回してる。
喜びを全身で表現してるのかな?
「マルタのために出来るだけ小さくて弱い個体を探して捕まえたんだが、そのドラゴン予想以上に賢いな、いずれ魔物から幻獣種に進化するかもしれんの」
レッドドラゴンは通常10mぐらいのサイズだけどルージュは5mぐらいしかない。
子供の個体なのかな?って思ってたけどそうじゃ無かったらしい。
「弱かったから生き残るために早く賢くなったって事かな?」
「そうかもしれんな」
「コウさん私もルージュちゃん撫でていいですか?」
俺以外の人が撫でてもいいか確認をしてみる。
「ルージュこの子が撫でたいって言ってるんだけど良いかな?」
ルージュはマルタのことをじっと見つめた後、マルタが撫でやすい位置に頭を移動させた。
「これは撫でてもいいよってことなんでしょうか?」
「多分」
犬みたいに尻尾振ってるし大丈夫だろう。
「よーしよしよし」
「ぎゃう♪」
「ドラゴンも可愛いですね」
「ぎゃーう♪」
可愛いって言われたのが嬉しかったのか尻尾の振る速度が上がった。
でも、マルタの試練どうするんだろう?
後日もう1回?
「ホムラこの場合、試験てどうなるの?」
ホムラは少し考えるような態度をとったあと喋り始めた。
「試練の相手であるレッドドラゴンが挑戦者のマルタにこうべを垂れて撫でられている。つまりレッドドラゴンに実力を認めさせ無力化させた。レッドドラゴンを倒したとじゅうぶん言えるだろう。つまり試験合格だ」
合格したのは良かったけどなんか思ってたのと違うって顔をマルタがしている。
俺もこんなつもりじゃなかったんだけど、後で謝っておこうと思ったコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます