第41話
「僕はそろそろお風呂から出ようと思うけどコウはまだ入ってる?」
「うん、清酒を飲みながらもうちょっと入ろうかなって思ってる」
おつまみに刺身とチーズも用意してある。
「ずるい!だったら僕もまだお風呂入る。最近のコウは停止の権能で思考を読めないようにしてくるから分からなかった」
最近もしかしたら停止で防げる?と思って試したら割と上手くいった。
最初は意識してないと防げなかったから不便だったけど、最近は特に意識しないでもできるようになった。フェムト対策というよりは
フェムトと同じことが出来る敵が出てきた時の対策として練習している。
こんな事しなくても最近のフェムトはガッツリ思考を読んで来なくなったけど。
「ちゃんとフェムトの分も持ってきてあるから」
フェムトも収納魔法使えるんだからお酒やらおつまみになるご飯持ってるはずだけど、余計なツッコミはしない。
「お風呂に入りながら呑むお酒は美味しいな」
体にはあんまり良くないからお酒の量は少なくするけど。
「やっぱり黄金マグロ美味しかったなー」
おつまみとして持ってきていたカツオの刺身を食べながら、黄金マグロの事を思い出す。
カツオも生きてる間に血抜きして血抜きが終わったらすぐに収納魔法にしまってるから全然生臭くないのでじゅうぶん美味しいけど、やっぱり黄金マグロには勝てない。
フロン迷宮で1回討伐して以来1度も見つけられない。
ティアナさんに相談しても、バハムート以上に見つけるのが難しいので余程運が良くないとって言われた。
「この後、一緒に捕まえに行く?黄金マグロ」
「今すぐ行こう!」
お風呂を上がり脱衣所に走った。
「全くコウは何やってるの」
風呂場で走ったら当然転ぶよね。
わざとやってるんじゃないかってぐらい綺麗に転んだ。
「ちょっとは冷静になった?」
「うん、もう大丈夫」
「それは良かった。後これトレンチコート」
そう言ってフェムトから黒のトレンチコートを渡された。
革で作ったような光沢がある黒のトレンチコートだ。
前をボタンとベルトでしっかり閉めるタイプになっていて激しく動いても邪魔にならなそう。
「さっき話したばっかりだよね?」
フェムトなら一瞬で作れちゃうって事?
フェムトならそれもじゅうぶん有り得る。
「いや単純に話をする前から作ってあっただけだよ。防具を新しくした方がいいって僕も思ってたし」
最初に用意して貰った物から変えてなかったし、革防具に関しては着てなかったからね。
魔術師のローブみたいのは一応着てたけど。
「後はトレンチコートを着る時の服、黒の革手袋、黒のズボン、革のブーツこれで装備1式」
トレンチコートどころか装備1式用意してあった。
1式を貰い眺めてみる。
「何処かで見たことある気がするんだよね」
「コウの思考を読んで参考にしてるから見たことあるのは当然だよ」
「あっ!思い出した。少年ヨ○ハ3号の衣装に似てるんだ」
ところどころ違うところがあって別物にはなってるけど何となく面影がある。
「早く着てみてよ」
ここまで用意して貰って着ないという選択肢は無いけど似合うかな?服を見てかっこいいなとは思ったけど。
「思ってたより軽くて柔らかいから凄い動きやすくて良いんだけど、似合ってる?」
「似合ってる似合ってる!フィアちゃん達にも見せに行こう」
それは何となく恥ずかしい。今、見せに行かなくても結局すぐに見せることになるしわざわざ見せに行かなくても…。
「それじゃあ、黄金マグロは無しだよ?」
「さぁ行こう。新しい装備をフィア達に自慢しに行こう」
黄金マグロを人質に取られてしまったら従うしかない。
今来ている装備を見せる為にフィア達の所に向かった。
マルタとメルが模擬戦をしていて少し離れたところでフィアがそれを見ていた。
「フィア2人はどんな感じ?」
「ああ2人とも動きには慣れて…」
フィアがこっちを見て固まってしまった。
えっなんで?
「フィア〜どうしたの?」
「おしゃれしてるコウを見るのが初めてだからびっくりした」
確かに自分じゃ着る服とか気にしないし魔導師のローブ着て後は適当っていうのがほとんどだったけど、そこまで驚く?
マルタとメルの方を見るとさっきまで2人で模擬戦してた筈なのに、2人が全力ダッシュでこっちに来ていた。
「それがフェムト様が作っているって言ってた新しい装備ですね!凄い似合ってます」
「ほんとにな!フェムト様私も同じのが欲しいです」
「折角だし似たようなのにしようかなとは思ってたから問題ないよ。デザインはコウと相談して決めておくね」
色を白にして少年ヨル○4号風が個人的にいいかも知れない。
この後はコウも普段からおしゃれすればいいのにとメルが言ったのにたいし、マルタがフィアお姉様とメルもでしょう。と言った感じで話が盛り上がっていつの間にか今度、全員で服屋さんに行くことになっていた。
このままだと今すぐ服屋さんに連れていかれそうだったので、フェムトと黄金マグロを確保しに行こうとしてたんだと言って何とか許してもらった。多分黄金マグロじゃなかったら服屋に連れていかれてたと思う。
フィア達の気が変わる前に早く行こうとフェムトを急かして海に向かうコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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