第35話
「ようやくまともに歩けるようになったね」
地面にクレーターを作ること数十回、ようやく感覚を掴んでまともに歩けるようになった。
「思ったんだけどさ、手で握ったりとかは大丈夫?握手のつもりが相手の手を握りつぶしちゃったりしない?」
「確かに…でも歩くのでだいぶ感覚は掴んだから大丈夫だと思うよ」
「本当に?じゃあこれ持ってみて」
フェムトがそう言ってインゴットを手渡してきた。
りんごとかなら握りつぶしたかもしれないけど金属を握りつぶすってそれはないでしょうと軽い気持ちで受け取り握ったらインゴットに綺麗な手形が残った。
「歩くのに比べたらマシかな?でも練習は必要だよね」
握るものをどんどん柔らかくしながら練習して最後はフェムトの手を握って問題ないのをしっかり確認した。
「これなら怪我させることはないかな。でも油断はしちゃだめだよ。ふとした時に力が入ってとか有り得るから」
確かにやりそうで怖い。当分は力をセーブする事を意識しながら生活した方が良さそうだ。
「やらかさないように気をつける。じゃあ皆の様子を確認しに行ってくる」
3箇所とも大きい被害はなく事後処理の手伝いをしていると教えてもらったけど、やっぱり直接会って確認したい。
街の被害状況も確認しといた方がいいかもしれない、大きい被害はないって聞いてはいるけど、スタンピードが起きたにしてはって言葉が含まれている可能性がある。
場合によっては復興支援とかも必要かもしれない。
まずはフロンに転移した。
「やはりコウ様でしたか。一度その門を見たことがあったのでコウ様だとは思っていたんですが、もし追加の敵が出てきたらと緊張してしまいました」
スタンピードが来た直後だしそう考えてしまうのも仕方がないか。
「驚かせて悪かった。で、フロンの被害状況ってどうなってる」
「スタンピード発生直後は魔物達に押されて被害も出ていたのですが、水の精霊方が来てくださってからは被害ゼロですので領都内に被害はありません」
「精霊達が役に立ったみたいで良かった。
俺はこのまま公爵様に挨拶を……」
その時1人の冒険者が必死の形相で走ってきた。
「大変だ!フロン迷宮でスタンピードが発生した!」
まじかよ。このタイミングでフロン迷宮も?
フロン迷宮は高難易度ダンジョンだから人が入っても1階か2階しかも出てくる魔物は変わらないのでわざわざ2階に行かず1階でモンスター討伐する冒険者がほとんどだったからスタンピードが発生してもおかしくないけど、今じゃなくていいじゃん!
まぁ俺が行けば良いんだし、さっさと終わらせてこよう。
「俺はそのまま迷宮のスタンピードをどうにかしに行くから、報告はお願い」
それだけ言い残してフロン迷宮の前に転移した。
「うわぁーこれはまた魔物がうじゃうじゃと」
万が一撃ち漏らしが出ても逃げられないように迷宮の出口周辺を氷の壁で囲った。
「現在進行形で出口から魔物がで続けてる。まずは外に出てきちゃった魔物を倒しちゃうか」
冒険者も全員退避済みだって言ってたので
無差別範囲攻撃で一気に魔物を氷像に変えていく。
「素材回収の暇なんてないよなー」
氷像になった魔物を砕きながら新しい魔物がどんどん迷宮から出てくる。
出てきた魔物たちを氷像に変える。
その氷像を砕きながら新しい魔物がさらに出てくるというループを繰り返していたらワイバーンなどの飛行しているタイプの魔物も出てきた。
「だからと言ってやる事は変わらないんだよね」
飛んでる魔物も氷像に変える。氷像になった瞬間地面に落下しその衝撃で粉々になってしまう。
勿体ないな、ワイバーンって美味しいのかなと一瞬考えたがそんな事考えてる場合じゃないかと思い直し、魔物たちを氷像に変える作業に戻る。
1時間ぐらい繰り返しているとどんどん魔物の出てくる数が減ってきてその30分後には魔物が完全に出てこなくなった。
スタンピード終わったか?と思ったら。
迷宮内から巨大な咆哮が複数上がり50m級のドラゴンが4体飛び出してきた。
「鱗の感じからして宝石竜か正直ティアナさんとかにあった後じゃ迫力不足」
宝石竜達の首を氷の刃をで切り落とす。
宝石竜の肉はそれなりに美味しいだろうし回収する。
スタンピードもこれで終わりだろうしこのぐらい問題ないでしょう。
ただ氷像に変えるだけじゃなくて砕けないように強度も上げればよかったか。
スタンピードが終わり余裕が出来たので周辺を見ながらそう思った。
今は凍ってるから気にならないけど辺り一帯肉塊だらけになっている。
氷像のままだったら溶かせば素材として使えるけど、今回は後から出てくる魔物に砕かれて粉々なので素材としては使えない。
どう処分しよう?処分方法が思いつかなかったのでひとまず収納魔法に死蔵しておくことにした。
その後10分程、迷宮から追加で魔物が出てこないか確認するためその場に残り新しい魔物は出てこなかったので氷の壁を解除、フロンに転移で帰ろうと思ったら知ってる騎士の人が馬に乗って向かってきていたのでそちらに向かった。
読んでいただきありがとうございます。
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