第36話
「ケルディオさんお久しぶりです。いつまでたっても魔物が出てくるので時間が掛かりましたがやっと終わりました」
「少しでも手伝えればと思って。全速力で駆けつけたんですが、後片付けすらもう終わってるんですね。宝石竜があっさり討伐されるのは見えたのでスタンピードが終わったのは何となくわかってたのですが」
「片付けは収納魔法を使うだけで終わりますから。後、倒し方を気にしなかったせいで素材として使えるのは宝石竜だけなんです」
最後に倒した宝石竜以外粉々になってしまったことを説明する。
世間一般で言えば優秀な素材になる魔物もいっぱいいたのでちょっと申し訳ない気持ちになる。宝石竜の素材だけで許して欲しい。
いくら世間一般的に優秀な素材と言っても
宝石竜の素材に比べたら大した事ない素材だし。
「スタンピードなんて普通なら大量の犠牲を出して何とか切り抜けるものです。それを1人で終息させて被害をゼロに抑えた人に倒し方を考えろなんて口が裂けても言えませんよ。たとえそれができる実力を持っていたとしても、それに鉱石竜は綺麗に残っているんです。それだけでじゅうぶんすぎます」
この感じなら文句は言われなさそうかな?
鉱石竜は一体分素材を貰えれば十分すぎるし残りの三体は公爵家2、冒険者ギルド1で上げちゃえばいいや、少しでもいい装備になって人類全体で強くなって貰わないと、今回の後始末で魔力濃度が倍になるって世界神様が言ってたし、魔物を対処できなくて人類滅んじゃうからね。
オルトレーさんには事前に話して騎士たちのレベルアップに力を入れてもらおう。
2度も襲撃を受けてるから軍事に力を入れても不自然じゃないと思うし。
「そう言えば、またスタンピードが起きたってなって街の人達は混乱しませんでしたか?」
「最初はパニックになりましたが、コウ様がスタンピードを対処しているとわかってからはすぐに落ち着きを取り戻しましたのでそこまで問題になりませんでした」
ちょっと恥ずかしい気もするけど、俺の名前が役に立ったなら我慢するか。
「もしかしたら、街中パニックになってるんじゃ?とも思ってたので大した騒ぎになってなくて良かったです。これ以上ここにいても意味ないですしフロンに戻りましょう」
転移を使って一瞬でフロンに帰ってくる。
一瞬で景色が変わった事に馬が興奮して暴れていた。ケルディオさんすまぬ。馬を宥めるケルディオさんと別れて一人公爵の屋敷に向かった。
「今回はほんとに助かった。コウ君がいなかったら滅んでいただろう」
「助けになれて良かったです。ああそれと宝石竜2体をお譲りしますので騎士団の装備を良くするのに使ったりしてください」
「2体分も良いのかい?宝石竜の素材なんてお金を払えば手に入るという物じゃないし勿論、相場以上の金額を払うけど、自分達の装備に使う分とか残しておく必要は無いのかい?」
ぶっちゃけ自分達の装備を新しくするならもっといい素材いっぱいあるからなぁー。
「宝石竜はタダで良いですよ。今後の事を考えると、人類全体でもっと強くなって貰わないと大変かもしれないんで。後、自分達の装備に使う分も宝石竜よりいい素材を沢山持っているので大丈夫です」
更に畳み掛けるように今回の件の元凶の異世界の神と世界神様とした会話の内容を教える。
オルトレーさん途中から頭を抱えながら話を聞いてた。大丈夫かな?大丈夫じゃないだろうな。
「はぁー、正直信じたくない話だ。かと言って知らないふりをして対策をしない訳にも行かない。それと宝石竜をタダで貰うというのは流石に申し訳ないから、2体の鱗、皮、爪、牙、骨といった装備に使える部分を一体丸々買い取る金額で譲ってもらうと言うのでどうだろう?」
錬金術の素材になる内臓系や血あと食べれる肉の部分を諦める代わりに武器や防具と言った装備の素材になるところだけを一体丸々買う金額でか確かに若干安くなるけど、公爵家としてのメンツもあるし安くしすぎるのも問題なのかな?
「分かりました。それでお譲りします」
「気を使わせてしまってすまないね。そろそろフィアも痺れを切らして部屋に来る頃だろうから今日はここまでにしよう」
特にこれ以上話すこともないしちょうど良いや。
「そうですね。それでは失礼します」
そう言ってオルトレーさんの部屋から退出してフィアの部屋に向かう。
一時期お世話になっていた場所なので特に迷うことなく部屋に到着する。
ドアをノックして声をかけた。
「フィア入っても良い?」
返事の代わりにドアが開いた。
「コウも怪我も無さそうだし、無事でよかった」
異世界の神の権能のせいで下手したら左腕無くなってた可能性もあったんだけど黙っておこう。
「本題だった封印が終わった後も問題が色々起きて遅くなっちゃったけど、フィアも無理しなかったみたいだし怪我もないようで良かった。マルタとメルも迎えに行かなきゃ」
転移で2人を迎えに行こうとしたらフィアから待ったがかかった。
「どうしたの?」
「フェムト様から聞いて敵の呪いのような攻撃のせいでコウが左腕を失いかけたのしっかり知ってるからな?」
…もう治ってるんだからフェムトが黙ってくれてればバレないのにって思ったけど、話さない理由がないか。何かの拍子でバレたらフェムトまで怒られるし。
怪我したのを隠そうとしたことでちょっとだけ怒られてからマルタとメルを迎えに行った。
読んでいただきありがとうございます。
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