第10話
マルタ、メルを連れて精霊界にある海岸に戻ってくると魚や貝、エビやカニが山のように積まれている。
今も海からどんどん運ばれてくる。
運んでくれてるのは多分人化したリバイアサンだなティアナさんが呼んだんだと思うけど
ティアナさん本人が見当たらない。
フェムトに聞けばどこにいるか教えてくれるだろう。
「おかえりコウ、そしてマルタちゃんとメルちゃんは初めましてと言っても獣王国で会ってはいるけど、挨拶してなかったからね。
僕は精霊界の管理者で全ての精霊たちの生みの親、精霊神フェムトだよ。2人はコウのお嫁さんだから僕のことフェムトって呼んでいいからね」
おお!自己紹介が神様っぽい!
もしくは中二病患者。
「マルタです。よろしくお願いします」
「メルです。よろしくお願いします」
「2人ともよろしくね〜」
「で、コウはちょっと海産物が欲しかったぐらいだったけどだいぶ大事になってるけどどうしてって思ってるんでしょ」
「そうだね、既に毎日食べても1年ぐらい無くならない量が用意されてるし、ティアナさんはどこにいるの?」
「量はリバイアサンの元のサイズが基準になってるからだね。一食あたり人間の10人前ぐらい食べるから」
「成程、凄い量食べるなって一瞬思ったけどリバイアサンのサイズで人間換算の10人前ぐらい量でお腹いっぱいって考えるなら寧ろ低燃費?」
「人間とのサイズを考えると燃費が良いよね。ティアナは普通の海産物は若いリバイアサンに任せて、珍しい海の魔物を狩りに行ったから今頃精霊界中の海を探し回ってると思うよ」
「そういう事ね。イスカさんとフィアは?」
「2人で軽めの狩りに行ったよ?」
「フィアが妊娠してるのに!ほんとに大丈夫なの?」
「心配になるのは分かるけど、母子共に健康に育つように僕が加護をかけたんだから、どんなに大暴れしたって問題ないよ。悪阻とかも来ないだろうし、食べ物だって今までと変わりなく食べれるはずだよ。流石にお腹は大きくなるけど」
「フェムトがそう言うんなら大丈夫なんだろうけど、やっぱり心配しちゃうよね」
「狩りに行くのを許可したのは出産迄にヒューマンから進化してて欲しいからっていう理由もあるんだよ」
「進化なんて出産してからゆっくりで問題ないんじゃない?」
「生まれる子が精霊の血が流れてるヒューマンならそれでも問題なかったけど、恐らくコウとオフィーリアちゃんの子は精霊として生まれてくる筈なんだ、確認した感じ」
何となく話が見えてきた。ヒューマンのままだと出産に母親であるフィアが耐えられない的な感じ?
「そういう事。心配なのは分かるけど、しっかりサポートはするから、今回行った場所だって大した敵は出てこない場所に行ってるからランク的にいえばBランクがせいぜいって感じだから」
理由が理由だし、しっかり安全も考えてるみたいだし問題ないか。
「フィアお姉様妊娠してたんですか!」
「フェムトに言われて今日知ったばっかりだけどね」
「この話私たち以外にはまだしてないですよね?」
「そりゃ勿論。フィアの実家のコラーソ公爵家にだって妊娠してるのが隠せなくなるギリギリ辺りで報告に行こうと思ってるし」
悪いなとは思うけど。よからぬ事を考える輩が絶対出てくるだろうし、出来るだけ危険を回避する為に仕方ないと割り切るしかない。
まあ手を出してくる輩には絶対潰すけど。
「それがいいと思いますよ。コウ様なら言いふらしたりはしなくても、お父様とかコラーソ公爵には教えてるかもと思ってましたから」
「流石にね。みんなを無駄な危険に晒したくないし」
「フィアお姉様の妊娠はいい事ですし、あまり考えすぎても疲れるだけです。
最悪 、出産まで精霊界にいれば完全にシャットアウトできる訳ですし」
それが一番楽だよね。フェムトもなんだかんだ言って一緒にいて手助けしてくれるだろうから安全性もバッチリだろう。
これに関してはフィアの意見も聞かないといけないから後で聞いてみよう。
「沖の方が凄い荒れ始めてるけど大丈夫なんですか?」
海の方を見ていたメルが海の異変に気づいた。
確かに凄い水しぶきが上がったりしている。
リバイアサンが何かと戦っているのかな?
視力を強化してよく見てみるとフィアが空中を飛んでるのが見えた。
「荒れてるところにフィアもいるっぽい」
「え!大丈夫なんですか!早く助けに行った方が良いんじゃ」
「問題ないと思うよ。敵の魔力の感じからして多分クラーケンだと思うから。イスカさんもいるはずだし」
クラーケンはフロン迷宮でフィア1人で完封してるしリバイアサン・オリジンのイスカもついてるんだから負ける方が難しいと思う。
出来るだけ身を傷つけないように倒そうとして2人でなにかやってるんだろう。
傷とか気にしないなら瞬殺できるはずだし。
「待ってくださいクラーケンってそれこそ大変でしょ!早くしないと」
「メルの言う通りです。コウさんなんでそんなに落ち着いてるんですか!」
「まー、問題ないから落ち着いて見てなって」
2人はまだ納得してないみたいだけど、水中から巨大なイカ、クラーケンが空中に打ち上げられて、2人の視線がそちらに動いた。
普通なら水面に叩きつけられる筈なのだが、クラーケンは空中で停止している。
フィアの重力魔法だろう。
空中で動きを止められてしまったクラーケンは急所である目と目の間にこちらから視力強化をしなくても見える巨大な氷の剣で突き刺された。
全身真っ赤な色をしているクラーケンが一瞬にして白色になった。
やっぱり戦闘というより、作業って感じだったな。
「ね、問題なかったでしょう?」
2人ともフィアは見えてないけど、クラーケンは巨大だし、氷の剣が突き刺さって動かなくなったのは見えてるだろう。
2人の方を見てみると口を開けたままポカーンとしていた。
読んでいただきありがとうございます。
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