第9話
「やっと来ました。獣王国のときは甘える時間どころか話す時間すらなかったですから、今回はどのぐらい一緒にいれますか?せめて夕ご飯ぐらいまでは一緒にいれませんか?」
「今回も用事を済ませてすぐに帰る予定だよ」
「そうですか…」
意地悪でわざと一緒に行かない?誘う前にすぐに帰るって言ったら想像以上落ち込んじゃってる。
「マルタとメルを精霊界に一緒に行かない?って誘うのが今回帰ってきた用事なんだけどね。どう、一緒に行かない?」
「連れてってくれるんですか!行きます絶対ついて行きます!」
「危ないから連れてかないって言ってたのに何があったんですか?」
「別に1人でふらふら歩いていかなければ安全だって分かったから、連れて行こうってなっただけだよ。後、メルは?一緒に来てるんだよね?」
「馬車の中で待ってますよ。そんな事より早く屋敷に戻って出かける準備をしないと。
コウさんも早く馬車に乗ってください」
一緒に行動出来るのが嬉しいみたいで、マルタのテンションがすごく高い。
まあこの場所でずっと喋ってるのも邪魔だろうと思ったので、マルタに従い馬車中に入ることにした。
「コウさん、ふつつかものですが末永くよろしくお願いします」
「こちらこそ気が利かなくて迷惑かけると思うから、気になることとかあったら遠慮なく言ってね。」
その後、馬車の中で待ってたのでまだ話を聞いてないメルにもう一度マルタにした説明をした。
「私も一緒に行きたいいです。コウさんは精霊界で白虎に会ったことは有りませんか?」
「白虎はないかなー、会ってみたかったの?」
「出来れば会ってみたいです。獣王家は幻獣白虎様の血が流れていると伝えられているので」
成程、祖先に会えるかもしれないって思ったら会ってみたくなるか。
俺は会ったこと無いけど、ディアーネさんなら会ったこと有りそうだな、聞けば合わせてくれるかも?
「ディアーネさんは会ったことある?」
「勿論ありますよ。でもあいつ身内にはめっちゃ厳しいんですよね。メル様1人で道中の敵を倒しながら会いに行かないとあってくれないと思います」
「実際それって可能なの?」
「メル様の実力を見たことがないので正確な判断は出来ませんが、コウ様が白虎をボコしてメル様の前に引きずり出すのが1番確実で早いと思います」
この精霊は心が無いのだろうか?自分の祖先である白虎がボコボコにされて自分の前に出てきたらメルだって複雑気持ちになるだろう。
「あのディアーネさん。道中の敵というのはどのぐらいの強さなのですか?」
「Aランクの魔物がメイン、Sランクの魔物もたまに出てくるかな、ぐらいですね」
あれ思ったより大した事ないなって思ったけどメルとマルタはそれって無理なんじゃ…って顔してるな。
「ちなみに精霊界基準で考えたら、これでも難易度はかなり低めですよ。コウ様やオフィーリア様ならちょっと気分転換にハイキングにでも行こうかぐらいの気分で攻略出来ると思いますよ。気をつけるの魔物だけでいいですからね。精霊界なら森自体が侵入者を迷わせるために木々をランダムに移動させる森とか、地形や環境に気にしなきゃ行けない場所の方が多いですからね」
改めてその話を聞くと精霊界ってめっちゃ危ないところだよね。
2人とも不安そうな顔しちゃってるし。
「1人で勝手にどこか行ったりしなければ危なくないですよ。フェムト様にコウ様がいればどんな場所でも安心安全です」
「絶対にコウさんの近くから離れないようにします」
「わたしもです」
2人とも凄い真剣な顔をしている。それよりも、やっぱり精霊界行かないで待ってますとか言われなくてよかった。
「後、ちょっと気になったんですがフィアお姉様もAランク、Sランクの魔物を片手間で倒せるほど強くなってるのですか?私の知るフィアお姉様は強いですがギリギリ人間レベルで規格外の実力者では無かった筈ですが」
「ぶっちゃけ私もなんでオフィーリア様があそこまで急激に強くなったのか謎なんですよね?コウ様、オフィーリア様って実はチェンジリングの取り替え子だったりしないですか?」
「フィアは純粋なヒューマンだよ。フェムトもそう言ってるから間違いないよ。
ヒューマンの上位種に進化しかけてるとは言ってたけど。後、チェンジリングってやっぱり有るんだね、地球じゃおとぎ話の類だったけど」
「精霊がいるんだから当然、妖精族はあんな事しませんけどね」
ディアーネさんは言い方的に良くないってみたいだな。あんな事って言っちゃってるし。
「チェンジリングってなんですか?聞いたことないです」
「簡単に言えば精霊のイタズラの1種です。精霊が産まれた子をさらって行ってしまうのです。取り替え子というのは攫ったのがバレないように代わりに置いていく精霊のことです。そんな事をする意味が分かりませんが」
ディアーネさんの機嫌がどんどん悪くなってる、ディアーネさんにチェンジリングの話をするのはやめておこう。
「馬車が止まった。屋敷に着いたのかな?」
そう思って外を見ると想像の3倍は豪華な屋敷が建っていた。
「ほんとにここであってる?豪華すぎない?」
「間違いないですよ。私たちは急いで準備をしてきますので、コウさんは見て回ったりしていてください」
自分の家で迷うとか普通に起きそうな広さだこれ と思いながら考え無しにふらふら歩いていると、準備が出来たとマルタが迎えに来たので精霊門で精霊界へと転移した。
読んでいただきありがとうございます。
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