第8話
2人ともいい大人だしすぐ収まるかなって思ったけど、逆にどんどんヒートアップしている。
もしかして、平常時でも激務なのになんで帝国が色々仕掛けてきたり、異世界の神が暗躍してたりトドメにホムラによる自国で不正を働いていた貴族の粛清、本来どれか1つでも大事なのに同時に起きているせいでブラック企業も真っ青な労働を強いられているせいで、ストレスが溜まりまくってて今爆発しちゃった?
どうやったら止まるんだろう?むしろ気が済むまでやらせてストレス発散させるべきかな。
それだと結構な時間待たされる気がするんだよね。
やっぱり放置してマルタの所に行っちゃおうかな。
本気で放置して帰ろうかなと考えていたら
サリアさんが一人の女性を連れてきた。
「2人ともいい加減にしなさい!喧嘩するのは別にどうでもいいけどお客様のするものではないでしょう!ごめんなさいねコウくん折角来てくれたのに、おっさんの喧嘩を見せることになってしまって」
「ご無沙汰しておりますアイリーン王妃。
国王と宰相ともなれば常に気を張っていなきゃいけないような方たちですから、色々溜まっていたのでしょう。全然気にしませんよ。勿論、国王と宰相が口論していたなんて噂を流したりなんてしないので安心してください。」
アイリーンさんは第一王妃で王太子とマルタの母親でもある。
いつもは優しい人なんだけど怒らせるといちばん怖い。
現に国王と宰相がこの後の説教を想像して産まれたての子鹿みたいに足をプルプル震わせてる。
あまりに怯えっぷりに俺は悪い事してない筈なのに申し訳ない気分になってきた。
「おっさん2人は無視していいわ。ところでコウくんはなにをしに来たの?精霊界に行ってるって聞いてたけど」
「マルタに会いに来たのと近衛騎士団長と島ウミガメ国で買ってくれませんか?って話を少ししたのでどんな感じになってるのかなーって確認に来ました」
「それなら、この間マルタが久しぶりに会えたのに全然話せなかったって落ち込んでたから早く行ってあげて、島ウミガメの件はコウくんが次来た時にすぐに動き出せるようにこっちで調整しておくわ。」
「ありがとうございます。早速マルタのところに行ってきます。ああそうだ、マルタから聞いているかもしれないですけど、新しく作ったお菓子の羊羹です、良ければお召し上がりください。しっかりサリアさんに毒味して貰ってから食べてくださいね。羊羹に合う緑茶というお茶もお出ししますので是非飲んでください」
そう言ってアイリーンさんとサリアさんの分の羊羹と緑茶を出した。
「毒味にしてはしっかりと2人分あるのね
そういう事だからサリア座って2人で食べましょう」
「そうですね、毒味はしっかりしないと行けませんね。コウ様お気遣いいただきありがとうございます」
アイリーンさんとサリアさんが国王と宰相にわざと見せつけるように羊羹を食べ始めた。
それを見て国王と宰相は俺に自分達の分も出してくれと目で訴えてきているけど用意してもアイリーンさんに没収されるだけだと思うので諦めて欲しい。
可哀想なので後で料理長にデザートにだしてあげてと手渡しておこう。
「羨ましそうに見てないで机の上の書類が片付けば一息つけるのですから頑張ってください。宰相も島ウミガメの買い取りがスムーズにできるようすぐに動き出してください、本来、島ウミガメなどお金がいくらあっても手に入る素材ではないのに1頭丸ごと手に入るチャンスなのです。最優先で準備をしてください」
「「はい!」」
やっぱりこの国のトップはアイリーンさんなのかもしれない。
「そうそう、もうマルタはコウくんに報酬として渡す屋敷に城から引っ越してて城にはいないのよ。屋敷まで馬車で送らせるからもうちょっとだけ待ってて貰えるかしら」
そういえば屋敷が貰えるって話があったな。
次からはそこに転移すれば良くなるから
貴族とすれ違ったりとかも無くなるから楽だね。
フロンに屋敷を建てて貰ってたな確かフィアの妊娠もあるしやっぱりフロンには近いうち行かないとダメだな。
「コウ様お迎えに上がりました。馬車にマルタ様とメル様もお待ちです」
「あれ?ディアーネさんメルも王都についてるの?」
「別れた後、普通に転移で全員連れてけば良いだけなのに気づいたので移動は一瞬で終わりました」
勝手に大人数を転移させるのは無理って思ってた。
「丁度迎えが来たので屋敷に向かうことにします」
「そうね、あまりマルタを待たせるとここまで来ちゃいそうですし。島ウミガメの件は準備が終わりましたら屋敷の方に使いを出しておきますので城まで来てください」
「分かりました。後、サリアさんに羊羹とどら焼きを今ある程度渡しますので、良かったら召し上がってください」
贈答用として包んである羊羹とどら焼きをサリアさんに渡しておく。
「あら本当結構好きな味だったから嬉しいわ。ねえコウくんは商売をしたりするつもりは無いの?ご飯屋さんとかやったら絶対成功すると思うの」
「今のところはないですね。まあなにかの拍子で気分が変わって始めるかもしれないですけど」
「コウくんがお店やってくれたら毎日通うつもりだったけど今は忙しいしね。もしお店をやるつもりになったら相談してね、王都の一等地を用意するから」
「もしお店をやるつもりになったら相談させていただきます」
アイリーンさんとサリアさんに挨拶をして馬車へと向う。
そういえば国王完全に放置したまま出てきちゃったなと思い出したが、まあアイリーンさんが上手くやるだろうと思いそのまま馬車へと向かったのだった。
読んでいただきありがとうございます。
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