第5話
「イスカさん落ち着いてください。突然、番になるなんて言ってどうしたんですか?わざわざ別の種族の俺である必要なくないですか?リバイアサンにだって男はいるんでしょう?」
「確かにリバイアサンは雌だけの種族じゃ無いので雄だってちゃんと居ますよ?
でも、君のことを何があっても守るって言うくせに私より弱いのしかいないってどう思います?」
もしかしてイスカさんって長の娘だからリバイアサンの中で強い方だったりするのかな?
人化してない時のサイズもイスカさんが小さいんじゃなくて、ディアナさんがデカすぎるってこと?
「その言い方だとイスカさんってリバイアサンの中では強い方だったりするの?」
「上から数えて5番目ぐらいの実力なんでそれなりに強い方ですよ。別に弱いのに君のことを守るって言うのをダメとは言いませんよ。でも、強くなろうと努力もしないやつがそれを言うのはどうかと思いません?」
「うーんそれは確かにでも真面目な人がいなかったって訳じゃないでしょ?」
「そりゃそうです。ですが私のところに来るのは真面目じゃない人ばっかりなんです!
将来お姉ちゃんを守れるぐらい強くなって結婚してあげるって言って真面目に特訓してた子もいつの間にか妹といい仲になってたし。私のどこがいけないんでしょうか?」
自分で言ってて悲しくなたのか体育座りをして私なんてどーせ妹とに比べたらお淑やかじゃなくて可愛くないですよと落ち込み出してしまった。
「イスカさん普通に可愛いと思いますけどね」
「じゃあ番になってくれますか?」
「いやもう妻が3人いるのでお断りします」
「断るなら思わせぶりな発言しないでください!ちょっと期待しちゃったじゃないですか!」
「可愛いって感情と結婚したいって感情は別物でしょ?もし結婚してない俺がイスカさんと出会ってたら本気で求婚してたかもしれないけど、今はもう素敵な奥さんたちがいて幸せだし、これ以上奥さん増やすつもりもないからごめんなさい」
「わかりました番になるのは諦めましょう」
正直に対応したからかな、イスカさんも諦めてくれるみたい。
って思ったんだけどなんでまた全裸になってるのあの人。
「別に番にならなくたって子はつくれるでしょう?」
目からハイライト消えてて超怖いんだけど、ジリジリ距離を詰めようとしてくるし。
距離を詰められないようゆっくり後ろに下がっていたら突然全力疾走に切り替えてこっちに突っ込んできた。
「なんで逃げるんですか?精霊王様は服を脱いで大人しくしてもらえれば後は私がしますので、初めてですけどそれなりに自信があります!奥様方より気持ちよくさせてあげます」
やばい身体能力的にはリバイアサンの方が高いからこのままだと追いつかれる。
魔法で攻撃すれば良いんだろうけど、暴走はしてるけど悪い人じゃ無さそうだから攻撃するのは気が引けるどう切り抜けようか。
「げふ、突然体が重くなったんですけど。う動けない精霊王様助けてください」
「今のイスカさんに近づくの怖いし、動けないのはフィアの重力魔法だから死ぬことはないと思うから心配しないで」
このまま追いかけっこしてたら捕まってたろうし助かった。取り敢えずフィアに丸投げしてフェムトのいる方に避難しておこう。
「ちょっと精霊王様どこ行くんですか!?
もう追っかけないんでほんとに助けてください。後ろから凄い殺気を出した女性が近づいてきてるんです!殺される!」
フィアは殺すまではしないだろうし大丈夫だろう多分。
ぶっちゃけ俺も怖い、巻き込まれないようにイスカを無視して全力でフェムトの方に逃げていった。
「楽しそうに遊んでたのにこっちに来て良かったの?」
「フェムトにはほんとに遊んでるように見えたの?」
ほんとに見えてたら眼科に行った方がいいと思う。
「この世界に眼科なんて存在しないよ。
それよりなんでイスカちゃん振っちゃったのいい子なのに」
「今でさえマルタとメルのこと放置気味なのにもう1人増やすってのに無理があると思ったから。女性に失礼だと思うし」
「そこら辺はある程度覚悟してコウと結婚する事を決めてると思うよ。コウとオフィーリアちゃんのイチャイチャを見てるんだから。それと根本的に違うのが、この世界だと構って欲しいなら、しっかり自分からアピールしろっていうのが一般的だからコウがそこまで気にしなくて良いんじゃない?」
「うーんでもなぁ」
「そんなに気になるんなら2人とも連れて来ちゃえばいいじゃん別にコウなら誰連れてきても怒らないよ?」
「それも考えたけど、魔物も人間界にいるやつより強いし、敵対してなくても腕試しで攻撃してくるリバイアサンとかいるんだよ?
危なくない?」
「その節は申し訳ございませんでした」
「別に怒ってるわけじゃないから謝らないでください。実際かなり手加減した攻撃でしたし」
「ありがとうございます。イスカの母親としては精霊王様と結ばれてくれたらとても喜ばしいことだったのですが」
「まあ、それに関しては今後の展開次第としか」
「ここで絶対にないと断言されないだけで十分です。イスカ次第ということですから。
彼女は私を除けば唯一のリバイアサン・オリジンですから、どうしても他のリバイアサンから神聖視されてしまうので番が決まらないのです。私には結ばれようと必死に努力してくれる素敵な旦那がいてくれたのですが。
今の代にはその様な者をおらず、正直精霊王様と番になれなかったら一生独身も有り得ます」
ディアナさん娘の為に脅迫じみた援護射撃ですか?
リバイアサン・オリジンって言うのは世界神が創り出した神獣リバイアサンの直系の子孫が一定確率でなる種族らしく、
リバイアサン・オリジンとして産まれたら同族から神のように崇められるらしい。
確かに神と結婚しようとどれだけ不敬なんだってなるだろうし、ディアナさんの旦那さんは相当頑張ってその座を手に入れたのだろう。
俺がフェムトと結婚しようとするのと同じってことでしょ?全精霊を敵に回すとか絶対無理。だから好きになったとしても絶対フェムトと結婚しようとか思わない。
そう考えた瞬間突然後ろから殴られた。
結構痛い。
「なんで突然攻撃するのフェムト」
「知らないよ!」
やっぱり結婚だとか考える時点で不敬だったぽい。フェムトが機嫌を悪くしてしまった。
「痛い!」
この後、怪我はしないけど痛みを感じるといった絶妙な力加減で殴ってくるフェムトのご機嫌取りに必死になるコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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