第31話

無い頭をひねり、必死に代案を考えるがいい案が全く浮かばない。

取り敢えず、王都を氷漬けにするのはやだから、他の案がないかディアーネさんに直接聞いてみることにした。


「流石にまた王都を氷漬けにするって言うのは気が進まないんだけど、他に代案見たいのは無いんですか?」


「これでも、人を殺さないように配慮した案だったのですが、コウ様が王都を氷漬けにしたのだって似たような理由ですよね?」


「したからこそ、気が進まないというか」


「そうですか。分かりました、コウ様が悪い事した訳じゃないのに、困らせるのは本意では無いので、他のを考えます。コウ様も引き続き考えてください」


何とか王都の氷漬けは回避出来たけど、しっかり代案を考える必要がある。

ちょっかいをかけてきた奴らだけ、もう関わりたくないとしっかり思わせる方法か、なにかないかなー。

あっそうだ、フェムトに権能の使い方教えて貰ってた時に、他にも習ったものがあったなそれを使えば行けるんじゃないか?


「そう言えば、フェムトがいつも垂れ流してる神様オーラやり方教えて貰ってた俺も使えるようになったんだよ。フェムト程効果は出ないけど、俺が神様オーラを出しながら歩き回るって言うのはどう?」


「それ氷漬けにされるよりもきついと思いますよ?」


そうかな?ちょっとびっくりされるぐらいだと思うんだけど。


「ただ弱っちい神様オーラを出して歩き回るだけだよ?氷漬けにされる方が怖くない?」


「ただそこにいるだけで、神だとわかるオーラを浴びて大丈夫な人なんてそうそういません。肉体的にはノーダメージでも精神的に即死ダメージを受けるようなものです」


「そこまでかな?」


「フェムト様と気軽にあってるからコウ様の感覚が麻痺してるんです。と言うかなんで神様オーラ出せるんですか?人間と精霊のハーフですよね?」


「まあそれは色々あったんだよ」


なんで神様にしか出来ないことが出来るのか、話すと長くなるので超適当に流しておく。


「そんなに説明するのめんどくさかったんですか?まあ、王都を氷漬けにするより、神様オーラ出したまま練り歩いてもらった方が効果があると思うので早速お願いします」


ディアーネさんにそこまで言われて若干不安になってきたけど、やると言ってしまった以上やらない訳には行かない。


フェムトに習ったことを思い出しながら、神様オーラを実際に出してみた。


「練習のとき以来やってなかったけど、すんなり出来て良かった」


「出来たのは良いんですけど、もう少し抑えられませんか?流石にこのままは刺激が強すぎると思います」


「フェムトに比べたら可愛いもんでしょこのぐらい」


「まず、神と比べるというのがおかしいと言うのは一旦置いておいて、オーラの量ではなく、感じられる感情?的なものが正反対なんです」


「どういう事?」


「フェムト様のオーラからは慈悲深い感じで生物としての格が違うと感じはしますが、恐怖は全く感じないんですよ」


そう言い方するって事は、俺のは恐怖を感じるってことか。

フェムトにもこれで大丈夫!何かあった時はこれを使えば大体なんとかなるよって言われたから問題ないと思ってたけど。


「何となく理解してくれたと思うんですけど。コウ様のオーラは無慈悲な絶対的強者って感じで、逆らうことは死を意味するって感じがするんですよ」


恐怖ってレベルを凌駕してるなそれ


「まあ、ある意味今回はこの方が都合良くない?」


ある意味最上級に相手を怖がらせることが出来るわけだし。


「自慢ではないですが、上位精霊の私でそう感じるんですよ?人間がこのオーラにあてられたら、ショック死も有り得るんじゃないですか?」


確かに、もしかしてこれやっちゃった?

城全域で感じられるイメージでオーラ出しちゃったんだけど。

無言でドアを開き廊下を見渡してみると、騎士の人が産まれたての子鹿みたいに足をプルプルさせていた。

目があったと思うとヒィっと声をあげて逃げていった。


「既に手遅れでしたか。でもこれで、変に絡んでくる輩も居なくなるでしょう。ひとまずはですけど」


俺は大丈夫とかいう謎根拠で絡んでくるやついっぱいいるからな。


「ディアーネさんどうしよっか。下手に歩き回ったら更にパニックになっちゃうよね」



「部屋で待っていれば、そのうちフィア様が確認に来ると思うので部屋で大人しく待っていましょう。それよりお腹は空いていませんか?」


確かに寝てたせいで丸一日何も食べてないし、意識したらすごいお腹すいてきた。


「確かにお腹空いた。収納魔法でサンドイッチぐらいはいつも持ち歩いているからそれ食べて待ってようか」


部屋の中に戻って机の上に小腹空いた時に食べれるよう作って持ち歩いているサンドイッチを出す。


「もっと見た事ないような具が挟まっているサンドイッチが出てくると思ったのですが、案外普通でしたね」


「サンドイッチに何を求めてるの?ディアーネさんは」


「私の知らないようなサンドイッチが異世界ならあると思ったんです」


サンドイッチでは無いけど、パン料理なにか作ってみるのもありかもしれないな。

ディアーネさんと話をしながら、ご飯を食べていると。


「城中パニックだと言うのに元凶はのんびりパンを食べてるとは・・・」


ご飯を食べるコウたちを見て呆れた顔をしたフィアが部屋に入ってきた。


読んでいただきありがとうございます。



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