第30話
「ところでフィアはどこにいるの?」
「コウ様が寝ている間、代わりに獣王国との話し合いをしていますよ」
報奨を何にするかとか、そもそもまだ王都を取り返しただけで、主犯である辺境伯の土地に赴き抵抗するようなら鎮圧する必要があってそれに参加するのか?とか色々話す事はあっただろうし。
そのつもりは無かったけど、めんどくさい役を押し付けちゃったみたいだな。
「俺の代わりをしてくれてるのか。めんどくさいな〜って思ってたから、有り難いけど。変なやつに絡まれたりしてないかな。それだけが心配」
「いやいや、コウ様の事を知っていて手を出すやつなんているわけないじゃないですか。ゴブリンだって手を出しませんよ」
例えがゴブリンっていうのが何か嫌だけど、
それだけが知能が低くても襲って来ないって言いたいのだろう。
でも、知能が高いからこそ馬鹿なことをする奴がいるのが人間なんだよな。
偏見かもしれないけど、アウルス殿下が王都を取り返した事で、勝った方につこうとして、どちらの勢力にも手を貸さなかった貴族達が大急ぎで王都に来てアウルス殿下にヘコヘコゴマをすっている事だろう。
こういう奴らは大体問題を起こす。
「で、実際バカはどれぐらいいたの?」
いたんでしょ? と確信をもったききかたを したら、ディアーネさんがサッと目を逸らした。
「やっぱり、あったんだね。で、もう解決してるの?」
「はい、コウ様の事を馬鹿にされてキレたフィア様が重力魔法で無力化しました。本当似た者夫婦だなと思いました」
フィアが無事なら良いや。
「厄介事はもう解決してるって事で良いんだよね」
「あれ以降フィア様にちょっかいをかける輩はいません。代わりにリンファス王国に対して飛行船を寄越せとか言い出す輩が出てきましたが、こちらはアウルス殿下も流石に我慢の限界だったようで、戦いにも出てこない癖に口だけは大きい奴だな!とキレて処分されました」
アウルス殿下が可哀想になってきた。
ストレスで禿げたり胃に穴が空かなければいいけど。今のうちにそういうのに効く薬探しておいてあげようかな?
必要になったらあげれるように。
「それ以降何も起きていませんが、口には出しませんが、コウ様の事を下に見ている輩もいます。目覚めたと知ったら絡んでくるかも知れません。なのでその前にえいって殺って力を見せつけてやりましょう」
あれ、ディアーネさんってこんなに血の気が多い 人だっけ?言ってること過激過ぎない!?
実はディアーネさんも絡まれてキレてる?
「ディアーネさんも絡まれたの?」
「使役してやつとか、力を使ってやるとか上から目線の勘違い野郎がそれはもうぞろぞろと」
なるほどね。そんなのがいっぱいいればディアーネさんだってキレて当然だろう。
そもそも精霊が人間と契約する1番の理由は
契約して間は魔物を倒した時の経験値にボーナスが入るからだ。
精霊は下位精霊→中位精霊→上位精霊って感じに レベルを上げることによって進化する。
なので、下位精霊はレベルを効率的にあげるために相性の良い人間を探して契約を結ぼうとする。結果、比較的多くの人が契約している。
中位精霊は経験値ボーナスがあっても上位精霊になるには数百年単位で時間がかかるし、そもそも中位精霊で満足して上位精霊を目指さない精霊も多い。
だから人間と契約している中位精霊は下位精霊と比べて激減する。
上位精霊にいたっては、レベルを上げる必要がないし 、仮にレベル上げをするとしても、倒す魔物が最低でもSSランクとかなので、人間なんて邪魔にしかならない。
上位精霊で人間と契約している者は、物好きか、経験値以外にその上位精霊にとって価値のある物(ディアーネさんで言うと彼女の知らない料理)を持っている人間を見つけた時ぐらいだろう。
だから多くて10人いればいいほうなんじゃないかな?上位精霊と契約している人。
ディアーネさんに話しかけた人達はディアーネさんから見て魅力的な物なんて何一つ持ってない上に、最初から上から目線で話しかけるとか、手の込んだ自殺かな?って感じである。
「思い出したら、イライラしてくました。もう1回王都を氷漬けにしませんか?私がやっても良いんですがその場合王都の人みんな死んじゃいますから、凍らせても中の人が生きてるように出来るコウ様がやった方がいいと思うんですよ」
考え無しの馬鹿のせいでまた王都が氷漬けになるぞこのままだと。
一旦ディアーネさんを落ち着かせなきゃ。
ディアーネさんなら料理でなんとかなるはず。
「まあ1回落ち着こうディアーネさん。
ほら、教える料理1品増やすから」
「それじゃあ舐められたままです。1度痛い目合わせないとああいう輩はまた直ぐに絡んできます」
ディアーネさんが料理で買収できないだと!
明日は槍でも降るのかな?
ディアーネさんをここまでキレさせるとかある意味才能だと思う。絶対そんな才能いらないけど。
王都を氷漬けにするのは嫌なので必死に代案を考えるコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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