第29話
「ん〜、寝てしまったみたいだな。起きていると言ったのに」
ディアーネさんと話していたらフィアが起きてしまった。少し声が大きかったかもしれない。
フィア自身は寝るつもりも無かったみたいだから、ちょっと落ち込んでるし。
「最初っから寝ても良いよって言ってあったし、そんなに気にする必要ないよ」
「落ち込んでいても、なかったことにはならないし、その所為でまた失敗するより、気持ちを切り替えて今後挽回出来るように頑張る方が良いだろう。寝たおかげで、コンディションもバッチリだしな」
「まあ、程々にね。起きた事だし、こっちから何処まで進んでるか確認 しに行って見ようと思うんだけどどう?」
こっちから確認に行ったら、終わってなかったら無駄に焦らせちゃうかな?とも思ったけど、2人に意見を聞いてみてどうするか決めることにした。
「それでいいんじゃないか?外を見る限り時間もだいぶ経っているみたいだし」
「そうですね。寧ろこれ以上遅くなるなら氷を溶かすのは明日にした方が良いでしょう、確認しに行くべきでしょうね」
確かに時間的にはもう夕方、もう1時間もすれば暗くなり始めてしまう。暗くなってから解放しちゃうと、騎士の人達とかが色々確認するのも大変だろうし。
解放された人たちも何もできないだろうし、これ以上遅くなるなら明日の朝の方が良いと言うのはその通りだろう。
「じゃあ、早速確認しに行こう」
飛行船を降りて3人でぞろぞろと城の中に入って行き、途中にいる騎士にアウルス殿下がどこにいるか教えて貰おうと思ったら、お連れ致しますと言うことだったので、お言葉に甘えて案内してもらうことにした。
まあ、城内を勝手に歩き回らないための軽い監視も含まれているんだろうが、獣王国の人間じゃないし、当たり前だろう。
「私はここで失礼致します」
アウルス殿下のいる部屋まで案内してもらい、騎士の人は元の場所に戻って行った。
扉の前には別の騎士がたっているので、用事を説明して、アウルス殿下に伝えてもらう。
直ぐに中に通してもらい、敵対勢力は1箇所には集めきれてないが城内には集められているので、城下にいる人達の解放を直ぐに行う事になった。
部屋にいたままでも、氷を溶かすことも出来るんだが、見ながらやった方が確実だしという事で、王都の上空に移動していた。
「じゃあ、フィア重力魔法で俺の事浮かせといてね」
「任せろ、何があっても解除しないから」
城下の人達を解放するためにまずは、氷を溶かす、溶けたのを確認してから権能も解除していった。
城下の人達は何事も無かったように動き出した。
あとは、フェムトに貰った魔道具を使うだけだったのだが。
「これ、すごい魔力使うんだけど。フィア 、これ使ったら多分魔力の使いすぎで気絶すると思うから後よろしく」
魔道具にどんどん魔力を吸われながら、突然倒れても驚かれないように、フィアに伝えておく。
もうそろそろやばいと思ったところで魔力の吸収が止まり、魔道具が光出して手のひらから浮かび上がって粉々に弾け飛んだ。
城下を見ると、人々が光出していた。
魔道具はちゃんと起動したみたいだ。
その後、魔力を限界まで消費したため、意識を保つのが出来なくなり、そのまま意識を手放してしまった。
「どこだここ?」
目を覚ますとそこは見たことがない豪華な部屋だった。
「城の一室です。好意でかしていただきました」
ディアーネさんが姿を現して説明してくれた。
そういう事か。したら豪華なのは当たり前か。
「まだ魔力が半分ぐらいしか回復してないんだけど、気を失ってからそんなに経ってない?」
「気絶してから今日で2日目ですね」
まじかよ、1日寝てたのか。しかも、それで半分しか魔力回復してないのかよ。
「ねえ本当にそんな時間たってるの?俺の魔力半分ぐらいしか回復してないんだけど」
「コウ様からしたら全体の半分程度でも、私換算だったら5人分、人間換算だと魔力の多い者で50万人分ぐらいです。十分早いと思いますよ」
全体量が多すぎて、全快までに時間がかかってるってことか、今まで使って1~2割ぐらいだったからそこまできにしてなかった。
よっぽどなことしなければ、1割も使わないしそこまで気にする必要はないかな。
「魔力については何となく分かったけど、そもそもなんであの魔道具がそんなに魔力を消費したのかなんだけど」
「城下で健康状態の聞き込みを担当していた人が、冒険者の時の古傷が治ったという人、生肉とか生物の鮮度も回復していたそうですよ。逆に何をすればそんなことできるんですか?」
そういえば『回復』の権能を付与した魔道具だったな。人間どころか食材の鮮度も回復させたってことか、それどころか城下のあらゆる物を回復させたということなんだろうな多分。
例えば道具とか建物の耐久を回復みたいに。
流石権能『回復』の範囲広すぎだろ!
そりゃー魔力だって枯渇するよ。
「はぁー、何となく理由は分かった」
治せるんだったらなんでも良いやってこれ渡された時思ってたけど、今度お願いする時は、こういう所も気をつけようと思うコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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