第28話

もう喋ることしかできないと気づかず、余裕ぶっこいてる瞬神とか言われている少年。

いったい気づいたどんな反応をしてくれるんだろう。いたぶる趣味はないはずだけど、ちょっと楽しみ。


最も本人は、ほら言った通り僕がスキルを使う前に攻撃力してみなよ。まあ、出来ないから瞬神って言われてるんだけどね。とアウルス殿下を煽っている。俺が話し相手になるのはイライラするだろうからやだし、そのままアウルス殿下に任せよう。


「コウ遊んでないで一思いに殺ってしまった方がいいんじゃないか?」


敵がアウルス殿下を煽るのに熱中して 、こちらを気にしてないのを確認してフィアが話しかけてきた。


「このまま、重要なことも喋んないかなって放置してたけど。その方がいいか」


俺が倒す必要も無いし、どうせならこのままアウルス殿下に倒してもらうか。


「アウルス殿下。そいつもう喋る以外何も出来ないので、そのまま近づいてトドメさしちゃってください」


瞬神とアウルス殿下が同時にこちらを向いて、は!?って顔をしている。


「突然喋り出したと思ったら何を言ってるの?僕の事が怖すぎて頭おかしくなっちゃったの?可哀想にこれ以上恥をかく前に僕が殺してあげるよ『クロックアップ』」


クロックアップか恐らくこれが、アウルス殿下の言っていた時間加速のスキルなんだろう。

カ〇ト好きだったから、その技名ちょっと羨ましい。

フリーズって時間停止を使うキャラもいたけど、敵だしな。

さあ、絶対の自信があったスキルが発動しなかった瞬神くんはどんな反応をしてくれるかな?

お!スキルが発動しないし、1歩も動けないことにも気づいたかな焦りだしたね。

もう少し煽っておこう。


「どうしたの?いつになったら俺は攻撃されるのかな?瞬神くん」


「動けないし、スキルも使ってない何をしたんだ!」


さっきまで、あんなに余裕ぶっこいてたのに、実はもう詰んでたと気づいてギャーギャー騒ぎ出した。


「うるさいな〜。もう喋らなくていいよ」


瞬神くんに直接時間停止を使う。目を大きく見開いて口を大きく開いた状態で石像のように動かなくなった。


「ふぅこれで静かになった。アウルス殿下、トドメお願いします」


「ああ、分かった」


アウルス殿下が瞬神に近づいていき、首を切り落とした。


「これで今のところ動けるて敵はゼロですね。追加で現れる可能性もありますし、油断は出来ませんが。後、これも渡しておきますね」


直径8cm程度の球体に加工した。魔石をアウルス殿下に渡す。


「それを持って、氷溶けろーって念じれば、溶けるんで使ってください」


反逆者達を一度に全員解放しちゃうと、何し出すか分からないから、ある程度小分けで解放しなくちゃいけない。

何度も氷を溶かすために呼ばれちゃ正直面倒臭いので、俺以外の人でも氷を溶かせるように、作っておいた物だ。


「私たちでも自由に解放できるということですね。有難く使わせていただきます」


ひとまずこれで、俺のやることは一旦終わりかな。次、働くのは敵を1箇所に集め終わった後、関係ない人の氷を溶かす時だから、ちょっと時間がかかるだろうし、飛行船に戻ってようかな。


「ひとまず俺の出番は終わりだと思うので、一旦飛行船に戻ってようと思います」


「分かりました。コウ殿の御力を借りる場面になりましたら、お呼び致します。

我々は早速頂いた道具を使って、尋問をしようと思います」


そう言って、謁見の間で凍りついた人たちの方に顔を向ける。

その中に、高そうな服を来て偉そうなポーズをとったまま凍ってる。人間と獣人が1人ずついた。多分これが帝国の責任者と獣王国を裏切った辺境伯なんだろう。

素人の俺には尋問なんてできないし、やっぱり大人しく飛行船に帰ろう。


フィアと一緒に飛行船に帰った後、今日はずっと動いてるんだから、1度仮眠をとったらどうだ?人が来たらちゃんと起こすから。

確かにそうしようかなとも思ったけど、フィアも疲れてるんじゃないの?一緒に寝る?

起こすのはディアーネさんに任せればいいし

と言ったけど、コウみたいに魔法を使った訳じゃないし問題ない、時間が勿体ないから早く寝ろと言われてしまった。

眠くなったらディアーネさんに言って寝ていいからねとだけ言って先に眠らせてもらった。


「ん〜、よく寝た。フィアもあの後寝たんだね」


隣で寝ているフィアを見ながら、体を起こし伸びをする。


「コウ様が寝た後直ぐに寝かせました。疲れていたようでしたし、無理させる場面でも無かったので」


フィアが自分から寝たと言うよりかはディアーネさんが気を利かせて寝かせてくれたみたい。やっぱり料理が絡まなければ優秀で常識人だ。


「ありがとうディアーネさん」


寝ているフィアの頭をなでなでしながらディアーネさんにお礼を伝える。

まあ、今度料理を教える時に1品ぐらい多く教えてもいいかも知れない。


「お礼は、新作料理1品で良いですよ」


お礼は善意で渡すものであって、催促されるものじゃないと思うんだけどなー。

やっぱりいつものディアーネさんだなと思いつつ、何を教えるか考えるのだった。

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